6/200
国王の私室にて④
国王の私室でのお話は最後です。
「もう昔のことです。それに、この言葉遣いにも大分慣れてしまいましたので」
カレンは淡々と自分の口調について答えている。
「そうですな。いやはや。失礼致した。今後ともアルの事をよろしく頼みますぞ」
「えぇ。それは勿論。私の主ですから。それでは。アルフレッド様を追いかけますので失礼しますね」
国王の言葉に対し、素っ気なく答え部屋を辞していったカレン。
「お似合いなのだが・・・いやはやこればかりはどうにもいかぬな…」
扉が閉まったことを確認し、国王がふと呟くも扉越しに「聞こえております。過度な干渉はお控えくださいませ」と聞こえ、後頭部を掻きながら、呆れた様子で扉の先を見つめる国王。最早、仕事のできる顔から子どものことを心配する親の顔になっていた。
「いやはや・・・何事も上手くいかんな」
コンコンコン
「陛下。まもなく会議のお時間となります。円卓の間にご移動頂きたく」
「わかった。今行く」
扉の外から聞こえる側仕えの男性の声に応答し、緩んだ頬を元に戻し、愛用の杖を腰に差して自室から出て行く。
「今日の会議も荒れそうだな。やる気にさせたのだ。これ以上水を差されるわけには行かぬな」
国王は気持ちを切り替え、この後に控える紛糾するであろう会議に辟易しつつも部屋から出て行った────
ようやく、主人公に戻ります。