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国王からの手紙 ~内容~

「・・・とっ取りあえず・・・手紙を読もう・・・かな」


「ほむ・・・ではワシは、手紙鳥の面倒でも見るかのぅ」




『親愛なるアルフレッド


 久々に手紙を送るので、若干硬い文章は許して欲しい。

 元気にしているかな。中々手紙が来ないから心配していたのだ。しかも、手紙鳥も送り先が分からずに戻ってくる始末。いつもどこに居るのか分からずじまいであった。

 なので、今回の手紙も宛先不明で帰ってくるであろうと思っていたのだが、カレン殿からの手紙鳥が来たものだから驚いた。アルフレッドは、もう少しカレン殿に感謝し、労るべきであろうな。しかも、エレン殿も居るという。彼女にはもう少し宮廷で仕事をしてほしいものだ。溜まりに溜まった仕事を皆で消化するのにも限界が来ていると陳情が来ているほどだ。おっと、話が逸れたな。

 カレン殿が、ライラック島に着いたことを知らせてくれ他と同時に、ストルネ提督の報告をあげてくれている。国民権の発行はやはり難しい。そもそも、アルフレッドは彼ら彼女らに我が国の国民権の説明をしたのであろうか。いやっしてはいないのであろう。なので、一時滞在権を同封しておく。人数に関しては、カレン殿から正確な報告があがっているから心配はするな。確り人数分有るはずだ。これで、不法滞在とはならないから安心してほしい。

 しかしな、この様なことはアルフレッド。お主自身が行うことだ。父はとても悲しいぞ。と思ったのだが、対外的な印章を手渡すのを忘れていたこちらの責任でもあるから、この問題は不問とする。

 追伸


 再来月の始まりには、王都にて立太子の儀を行う。晴れてお主が王太子となる。この国を継ぐ者となる。であるからして、一度王都に戻ってきなさい。どうせ何処かに転移陣を設置しておるのであろう。偶には顔を見せに来なさい。


 追伸の追伸

 

 プレズモという普人族の商人と謁見したぞ。ずいぶん懐かしい人物の末裔と出会ったのだな。彼はこの王都に店を開きたいと言うことであった。その事も相談したい。


                  父より』





「あはは・・・これはカレンにお礼を言わないとな・・・」



「おっおっ!どうしたのじゃ?急に・・・」


「ん?」


エレンの声がしたので振り向くと、青色の手紙鳥が肩に止まった。────青色だったっけ・・・?


«アル!»


「うえぇ!母上っ!」


«まったく・・・貴方って子は・・・何時になったら親を安心させる行動ができるのでしょうね・・・»


手紙鳥が声を発したと思ったらまさかの母上の声だった・・・動物念話・・・か


「申し訳ありません。忙しくてつい・・・」


«忙しいのはカレン殿からの手紙で、百も承知です!貴方もあの人と同様、仕事をすると集中することも分かっているのです。ですが・・・何も連絡がなければ、流石に心配にもなります!»


「はい・・・申し訳ありません」


«まったく・・・エレン殿もです!»


「うぐっ」


«一度帰ってきて仕事をしてください!»


「うぅ・・・アルが帰るときに一緒に帰りますのじゃ・・・」


«・・・まぁそれで良しとしましょう。再来月、必ず3人で戻ってきなさい!»


「「はっ・・・はい・・・」」


«それと・・・ストルネ提督。この様な形でのご挨拶をお許しくださいね»


「いっいえっ!妃殿下。こちらこそ無届けで申し訳なく・・・いえ。滞在権を許可していただき誠にありがとうございます」


«良いんです。私たちの息子の世話をしていただいているのですから»


「ははうぇ・・・」


«次は、正式に王都でお会いいたしましょう»


「はっ!ご配慮有難く」


«アル»


「はい」


«確りやりなさい。身体に気をつけてね»


「はい。再来月には必ず戻ります」


«楽しみにしていますね。カレン殿にもよろしく伝えてくださいね。それでは帰ります。エレン殿・・・仕事・・・沢山有りますからね»


「ひいぃ・・・」


«では!»


そう言って青い手紙鳥は空と同化して見えなくなった。立太子の儀・・・か

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