国王からの手紙
「潮が・・・満ちてきましたな・・・」
そう言うストルネ殿は、水門を静かに見つめている。信頼はしているが不安はあると言ったところか。
「大丈夫ですよ。大型の魔獣が来てもビクともしませんから。それよりもたった2刻で全てが終わるとは・・・団結力恐るべし・・・」
「何を仰いますかアルフレッド殿。貴殿の御業あってこそですよ!」
「あはは。まぁさんちゃんが凄いと言うことで」
「ですな」
『「ソレホドデモ」』
そうだった。さんちゃんは工事中ずっと小脇に抱えていたんだ。でも、褒められてまんざらでもないから良かった。
「しかし・・・不思議なものですな。この誘致というのは」
「建てたい目的のものを手早く素早く建築する・・・。考えても考えつかない────」
『「ソウゾウノメガミサマ ノ オチカラ デスカラ」』
「ふぅむ・・・」
「どうしましたストルネ殿?」
「いやっ・・・ただ・・・」
「ただ?」
「神と呼ばれる存在は、このスキル使用板で我々の行動を観察しているのか・・・と思いまして」
『「オナカガスキマシタネ マタナニカアリマシタラ オヨビクダサイ」』
「あっ!さんちゃん・・・勝手に倉庫に戻っちゃった・・・。強ち、ストルネ殿のお考えは間違いではないのかもしれませんね・・・」
「ですなぁ」
「おぉうぃ!提督!アルくぅん!」
「あっプルーナさん!」
「凄い音が畑の方まで聞こえてきたから、向かってきたけど・・・おぉ!港が干からびてる・・・それに水門もある・・・もしかして完成!?」
「いやぁ・・・まだ第一段階だから・・・もう少しかかるかなぁ」
「そっかぁ・・・」
「それよりもプルーナさん・・・聞いてよ!」
「なになに?」
「ストルネ殿がね─────」「あぁぁ!アルフレッド殿!」
「てぇいぃとぉくぅ!・・・なぁんでそんな無茶したのかなぁ!!───────」
「うぅ・・・申し訳ない」
「謝って済むなら巡回衛兵は要らないんだよ!?」
私が音の正体をプルーナさんに伝えると、案の定叱られた。筋骨隆々の男性がみるみる萎み、生まれたての子鹿のように震えている・・・。
「これに懲りたら、無茶はしないでよね!」
「・・・善処する」
「だぁかぁらぁ──────」
「まっまぁ・・・プルーナさん・・・」
「アルくんにだって責任があるんだからね!─────」
「「以後気をつけます」」
「フンスッ」
「どうしたのじゃ2人とも?」
「いやっ・・・別に・・・」
「聞いてよエレン!実は・・・」
「あぁ!あぁ!エレンはどうしてここに?」
「うっうむ・・・王都から手紙鳥が来たのじゃ。アル宛にな」
「・・・あっ!!!忘れた」
「なにがじゃ?」