野営地にて
ドラ〇もんの銀河超特急・・・見た目は7両編成。中身は100両編成超・・・。あれに度肝を抜かれた思い出があります・・・。
目の前に広がる光景は夢なのだろうか・・・イテテテ・・・やはり夢ではないみたいだ。俺は今回志願して連れてきてもらった人間の一人だ。石材の掘り出しと運搬の任を受けてこの場に来たのだが・・・提督が協力しているアルフレッド様は、何というか・・・底が知れないというか・・・。
普通何もないところに、一瞬で小屋ってできるのか!?いやっできないだろう!窓まで付いた木製の小屋・・・いやっ一軒家だ。それも三棟も!まっまぁ・・・魔法で作り上げたって言うなら、森人族の魔力は桁外れって事で落ち着くんだが・・・中に入った途端に倒れそうになった。外見よりも確実に広いっ!何だよ何処かの宿屋かよって位部屋数がある。しかも家具付きで風呂まである!ん・・・なに?ご本人が空間魔法を使っている・・・だって!?ありえねぇよ!なんだよこの、技術と魔力の無駄遣いは!常識外れにも程があるって!
・・・このお方が味方で良かった・・・ん?皆も同じか?よかった・・・驚いていたのは俺だけじゃなかったんだな────────。
「アルフレッド様・・・」
同行していた兵の皆さんが、まず外見を見て、中を見て固まっている。少しの間固まっていた彼らは、次第に動き出し、ある者は自分の頬を抓り、またある者はお互いの肩をたたき合いながらうなずき合っていた・・・。そんなに感動してくれたのかな?だったら良かった・・・。
「アルフレッド様・・・。皆様が喜んでくれたとお思いでしょうが・・・実際は唯々驚愕しているだけですからね」
「えっ・・・こんなに良い部屋を用意したのに?」
「・・・良すぎるのですよ」
「だってさ・・・天幕だと流石に寒いし寝辛いじゃない?少しでも快適に・・・」
「細かいご配慮は、流石としか言い様がありませんが・・・行き過ぎた配慮は堕落を生みますので・・・。あまり手を出しすぎませぬよう心に留め置いてくださいませ」
「カレン殿の言う通りですな」
「ストルネ殿」
「これだけ好待遇であると、いざ天幕での野営ともなると不平不満が出る恐れがあるので・・・これ以後は控えていただきたく」
「うぅん・・・申し訳ありませんでした・・・。私は過去に野営で苦労したもので・・・」
「その苦労も立派な財産となり得ますな。だからこそここまでの配慮をしてくださった。今回は、幾たびも野営を経験している者達だからこそ、ここまでで済んでおりますが・・・」
「そうですね。経験者が善意で行うことは、必ずしも受け手の成長には繋がらない。と言うことですね・・・。いやはや反省反省。皆さんにも声をかけてきますね」
「分かっていただければ何よりです。はい。よろしくお願いいたします」
「ストルネ様。ありがとうございます。私が言いましてもここまで受け止めてはくれませんので」
「いえ。お気になさらず。ただ、アルフレッド殿は相当に苦労されておられたのですな」
「あまり私達にも自分語りをされないので・・・このような場合でのみ、あの方の過去に触れることができるというか・・・」
「少し・・・怖がりな部分もお有りなのですね」
「かも知れませんね・・・」
「ん?2人して何の話し?」
「いえ。何でもありません。ただ・・・」
「ただ?」
「アルフレッド様は、少々やり過ぎるところがあると話していただけですよ」
「むぅ・・・今後は気を付けるよぅ」
「ところで・・・夜間哨戒の人数割りはどう致しますか?」
「ん?要らないよ」
「何故です!?流石に夜は魔物からこの地を守らねば・・・」
「ストルネ殿。ご自分で話していて、何かお気づきになりませんか」
「むっ・・・夜間哨戒は当然ではないですか」
「あぁ・・・お気を悪くしないでください。私が言いたいのは、街が魔獣に襲われたことはありましたか?と言うことです。あっ勿論、陸上のですが」
「・・・確かに・・・。海に出ると何某かには遭遇するという報告を受けますが、陸上では何も・・・」
「ですよね。やっぱり・・・か」
「なにかありましたか?」
「ここでは何ですから。私達の小屋の方に。皆さんには休むよう伝えてから来てください。行こうカレン」
「・・・?はい。承りました」
ストルネ殿の話を聞いて確信した・・・。やはり、一度壊してしまったものは、元には戻らないのだと。