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石材確保

「・・・ここは、わたくしがでむくほかないのです・・・」


「姫様・・・。畏まりました。お供いたします」


「あなたがきてくれれば、たよりになるけれど・・・」


「もとより姫様にこの身を捧げた立場。何処までもお守りいたします」


「ありがとう・・・。その身、わたくしがあずかります」


「ハッ!この身に代えましても姫様をお守りいたします!」


──────









「おぉうい!こっちにも板を!」


「あいよぅ!」


製材所ができて早一週間。住民?総出で、嵐や経年劣化で生じた雨漏りや、穴が開いていた壁やら扉などを木板で補修。やっぱり街は活気がなきゃね!響き渡る槌の音。あれやこれやを運搬する人の声。もう直ぐ昼時ともあって、辺りには香ばしい香が立ちこめる。まだまだ主食は馬鈴薯だけれど、馬鈴薯を水に浸して加工して作られた粉を使った料理ができたりと、衣・食・住が整いつつあることも、良い傾向。街が生きているって感じ!


「アルフレッド殿!探しましたぞ!」


「あぁ!ストルネ殿。如何致しました?」


「彼らの住居も順調に修復が進んでおります。アルフレッド殿には返しきれないご恩が・・・」


「あまりお気になさらず。私もこの島の開拓を行わなければなりませんので、お互い様ですよ。それはそうと、何かお話しが合ったのでは?」


「おぉ!そうです!近々、この周りの海水が大きく後退する時期が来ると・・・」


「大潮ですね!そうしたら・・・造船所と港の整備を始めなければですね。分かりました。以前お願いしていた人員は?」


「抜かりなく。声をかければ、すぐに集合が可能です」


「分かりました。では、昼食後に広場で」


「承りました」






今日のお昼は、小型の茶海老(ブラウンシュリンプ)をいれた馬鈴薯粉焼きだそうな。この辺りの海域では滅多にお目にかかれない代物だ・・・。


「うん。濃厚な味わいだ。美味しいよ」


「それは・・・作った甲斐が有りました。なんでもこの地域で見かけることはまずなく、殻は柔らかく、身は締まっていて甘みがあり、ミソも濃厚な味わいだと言うことで、この様な形にしてみました。出汁も味付けにも殻やミソから出た旨味だけで調理しております。私も生で味を見ましたが、口に入れた瞬間に身が蕩け、とても甘く感動しました。火を通してみると、甘さが増すとともに歯ごたえが生まれ、どのよう他さな食べ方でも味わえると考え、味の薄い馬鈴薯粉と合わせてみました・・・これがまた旨味を───」


「わかった!分かったのじゃ!カレン!途轍もなく旨味を含んでいると言うことは分かったのじゃ!」


「むぅ・・・」


「まぁでも、カレンが言うとおり旨味が凄いね!」


「ですよねですよね!」


私から同意を得たのが嬉しいのか、カレンは目を輝かせながら、こちらに迫ってきた。笑顔が間近・・・睫毛長いなぁ・・・って!そんなことを考えている場合ではなかったんだ!


「そっそうだ。2人とも。昼食が終わったら、ストルネ殿と一緒に石材になりそうな岩石を見つけに行こうかと思っているのだけど」


「ふむ・・・今回はこの辺りの散策をしようかのぅ」


「では、私がお供いたします」


「わかった。カレン、宜しくね。エレンも留守番宜しく」


「畏まりました」「分かったのじゃ」





カレンを連れて広場に向かうと、男女人種関係なく40人程の人集りが・・・あれ?人数増えてる?


「お待たせしました。聞いていた人数より少し多い気が・・・」


「お待ちしていましたぞ!いやはや・・・我々の生活圏外への探索と言うことで・・・少々人数が増えてしまいました・・・大丈夫でしょうか」


「えぇ。人数は多いに越したことはありませんので。ただ、険しい場所を行くので、体力面の方は・・・」


「力自慢と探索班なので、体力面の問題はありません。存分にお使いくだされ」


「ありがとうございます」


「今回はプルーナ様はいらっしゃらないのですね」


「ええ。プルーナは糸瓜栽培の準備をすると畑の方に」


「なるほど」


「?どうしたのカレン?」


「いえ。何でもありません」


「ふふふ」


「??ストルネ殿まで・・・まっいいか・・・さぁ皆さん!ここから5粁程の山登りです!」


「「「ハッ」」」


「では。進発!」



途中休憩を挟みながら、山道を進むこと4刻。草木が生い茂る林から、石混じりの草地へと地面が変貌していった。ライラック山まではまだ距離があるものの、この辺りは火山性の瓦斯(ガス)が所々噴出している場所だ。周囲よりも若干暑く感じる場所だ。


「さぁ。あと少しですよ!頑張りましょう」


「アルフレッド様・・・鼻が・・・鼻がっ辛いです」


「あぁ・・・この臭気のせいか・・・カレンの鼻には厳しいかもね・・・そうだ!」


「・・・あら?臭いが・・・」


風紗(ウインドベール)でカレンを覆ってみたんだ。効果があって良かったよ」


「ありがとうございます!」


「・・・皆さんも・・・ですか?」


───コクコク───





「いやぁ・・・臭気を気にしなくて良いのはいいですな。心なしか涼しいですし」


「この臭いがある近くには温泉もあるんですよ」


「なんと!・・・街まで引くことは・・・できないですよね・・・」


「うぅん・・・排水路を建設し次第ではありますが。可能ですよ」


「おぉ!それは楽しみですな!」


「まずは、石材の確保ですね。魔法で作るよりも自然物で作る方が何かと強固ですから」


「なるほど」


「っと!着きました。ここです」


到着したのは、岩が露出した崖。ここから石材を切り出して、街へと運んでいく予定だ。


「・・・これなら沢山の石材を確保できますね」


「ええ。ここで切り出して整形し、街まで運びます。帰りは、必要最低限の石材を切り出して道を整備しながら戻ります」


「しかし・・・今回は工兵を連れておりませんが・・・」


「大丈夫ですよ。さんちゃんで整地しながら来ましたので、必要石材と人員さえあればすぐに作りながら戻ることができます。険しいところは階段になるみたいなので、ある程度まとまった石材が必要ですがね・・・」


「ということは、今日は」


「野営になりますね。まぁ私が倉庫(ストレージ)に収納している建屋を使うので、ご心配なく」


「おぉ・・・」


「と言うことで、皆さん!本日はここを野営(キャンプ)地とします!」


さぁ久々の野営だ。皆が快適に過ごせるように準備しないと!

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