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製材所を作ろう③

私秘蔵の焼き菓子を2人に食べられてしまった翌日・・・。


「のぅアル・・・そろそろ許してはもらえぬかのぅ・・・食べてしまったことは申し訳ないのじゃ」


「私も・・・あの甘美な誘惑に負けてしまい申し訳ありませんでした」


「うぅ・・・一口しか食べてなかったのに・・・食べ物の恨みは恐ろしいのだよ?カレンだってエレンだってさ、好物を許可無く食べたら怒るでしょ?」


「うっ・・・うむ」


「・・・はい」


「これに懲りたら、ちゃんと許可を取ってね。聞いてくれさえすれば良いからさ」


「ありがとう」


「申し訳ありません」


「さっ!終わり終わり!反省を次に生かせば良いことだから!さぁて今日の朝ご飯は・・・」


コンコン


「ん?朝早くから誰だろう・・・カレン」


「はい」


・・・この感じは2人。ストルネ殿とプルーナさん・・・どうしたんだろう・・・。


「アルフレッド様。ストルネ殿とプルーナ様がお越しですが。如何致しましょうか」


「通していいよ」


「畏まりました」


2人が一緒に来たって事は、もう大丈夫なのかな。それに・・・工兵も見つかったって事かな・・・。


「失礼致します。お二人をお連れしました」


「どうぞ・・・と言っても、扉も壁もないから丸見えなんだけれどもね」


「失礼致します。何事も上下を確りとせねば。貴方様はこの地の御領主ですからな」


「失礼しまーす!そうだよアルくん!一番偉い人なんだから!」


「あはは。ありがとう。2人とも座ってください。今日は一体・・・」


2人が席に着くと、カレンが紅茶を淹れた器を持ってくる。ストルネ殿とプルーナさんは、紅茶と意匠を凝らした器に目を見張るも、何かを思い直したのか、元の表情に戻る。カレンは拳一つ分空けて私の左隣に。エレンは同じく右隣に着席し、ストルネ殿が口を開いた。


「アルフレッド殿。ご依頼いただいた工兵の件ですが・・・扱う物によって、人選を絞りたく」


「あぁ!私が魔法で生み出す粘土を使って欲しくて・・・土に親和性のある方をお願いできればと」


「畏まりました。ではそのように手配いたします。───力自慢の件ですが・・・」


「何か問題でも起きましたか?」


「いえ。元が同じ実力のため、30名ほど決着がつかないと・・・」


「成る程・・・では、その30名には後日石を運ぶ仕事をお願いします」


「・・・!では!」


「はい。港の修繕を行い、艦が着けるように工事を開始します」


「・・・しかし・・・この様に早くて宜しいので?」


「何がです?」


「我々としては大変有難いのですが・・・人が居なくなると、この島の開発が遅くなるかと思いまして・・・」


「あぁ・・・。非常に申し上げにくいのですが・・・確か、艦は街の西側の砂浜に放置されていますよね」


「・・・はい。定期的に点検はしているのですが・・・完全に座礁しておりますね・・・」


「・・・海に潜られている方に聞くと分かると思うのですが、この島は一部を除いて島の岸壁に近いほど水深が浅いのです。ですので・・・」


「港の掘り下げが必要・・・」


「そうです。それに、艦を点検する施設も作らねばなりませんので・・・」


「ですね・・・しかし、計画が動くことが嬉しいのですよ。彼者達以外にも多くの人間が手伝いますぞ!」 


「ありがとうございます。では、計画を一段階進めますが・・・」


「はいはぁい!しっつもぉん!」


「ん?どうしたの?」


「水路は畑の近くも通るの?」


「うん。その予定だよ?」


「そうしたらさっ!アレ育てられる!?」


「アレ?」


「こ・む・ぎ!」


「あぁ!うん。できるよ!それも予定に入れて水路造るから」


「やった!」


「して・・・アルフレッド殿。鋸の手配は・・・」


「えぇ。氷魔法を用いる予定です」


「ですが・・・」


「摩擦熱に関しては、風魔法で冷却しながら行います。鋸に関しては、回転刃に当たる部分に小さな穴を開け、そこから取り入れた水を瞬時に凍らせて、刃を回転させます。そうすることによって、木を切ると言う寸法です」


「なるほど。では鋸まではどう丸太を?」


「そこも氷を使って滑らせます。少し傾斜を作り、自重で滑り落ちながら切るようにします。勿論、支持線を両脇に設けますよ」


「それならば、安全に製材が可能ですな」


「問題は建屋となるのです。今現在、木材がないので、石造りとなります。が、建設に時間を要するので・・・水路と同時進行になります。そこで、建屋の建設は、ストルネ殿に一任したく・・・」


「・・・。現場の監督と言うことですかな」


「・・・そうなりますね。お嫌ですか」


「いえ・・・。ただ・・・」


「ただ?」


「建設の指揮など、若い時に執ったきりで・・・上手くできるかどうか・・・」


「そこは、誘致地区なのでご心配なく。安全に怪我無く働けるよう見守っていただきたいのです。大きな怪我をすることなく、皆さん全員を帰還させるために・・・ね」


「畏まりました。監督の命、謹んで受け致します」


「よろしくお願いします。鋸などの魔道具は、明日までに完成させますので」


「分かりました。では、人員の再選出をし、明日またお伺い致します」


「分かりました。よろしくお願いします」


「それではお暇させていただきます」


「それじゃぁね!アルくん!」


「カレン」


「それでは、お2人ともお送りいたします」


2人は軽く会釈をして、帰っていった。関係が修復されていて何より!さぁ頑張って鋸を創らないとね!

もし、宜しければご評価いただければと思います。


今後ともよろしくお願いします。

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