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人の確保と食糧と

サブタイトルは変えるかも知れません・・・。

馬鈴薯が定期的に収穫できるようになった2日後・・・


「うぅん・・・どう?さんちゃん」


『コレハ ダイブ キソガ イタンデイマスネ』


「やっぱりかぁ・・・200年も点検してなければそうなるよね・・・でも、手入れせずとも、もったのは良い方なのかなぁ」


『「ソウデスネ クイ トシテツカッタ モクザイガ ヨカッタノデショウ」』


「そうだね・・・材質は杉。しかも、海中に全てが浸かっている状態だからね。ただ、周りを固めている石材はどうしようもないね」



私は今、さんちゃんを通して港の埠頭の確認を行っている。なんでも機能が増えたようで、地中2米ほどで有れば、見たいものを選択して、その外は透明化できる。それを使って、埠頭の足回りを見ていたのだが・・・基礎杭はともかく岩でできた部分に関しては総取り替えが必要な状態であった。水の力というものは恐ろしい・・・。


「あっ!アルくん!」


「プルーナさん!」


「どうどう?埠頭の様子は?」


「うぅん・・・これは難しいかもしれないなぁ。そっちはどう?」


「アタシ達の方は問題ないよ!2人共飲み込みが早くて助かるの!アタシなんかすぐに必要なくなっちゃうかも!えへへ・・・」


「まっ・・・まぁ指導はお手柔らかにね・・・。それで?ここに来たのは?」


「あっそうだ!畑の様子を見てもらうのと、馬鈴薯以外にも何か育てたいなって!」


「わかった。カレンとエレンにも声をかけてから行くから、先に戻ってて」


「うん!待ってるね!」


さすがは軍人。走る姿にもブレがないし、速度も速い・・・あっこけ・・・おぉ!空中回転・・・。────道も・・・直さなきゃだめだな・・・。───2人に声をかけなきゃ。





カレンとエレンはっと・・・おっ?あれは・・・。


「カレン!エレン!畑の方に行くけど・・・ストルネ殿も居たんですね」


「アルフレッド様」


「おぉ!アル丁度良いところに」


「ん?」


「いやな。ストルネ殿がプルーナのところに行かぬから説得しておったのじゃ」


「中々に罪悪感が強いらしく・・・」


「面目次第も無い・・・」


「まぁ・・・ね。でも、プルーナさんも少し離れた方が良いと思うので。気持ちの整理がついたら、いつも通りに接してあげてください」


「お気遣い痛み入ります・・・。畑の方に行くと仰っていましたが・・・何か問題でも?」


「あぁ。いえ。何か新しい作物を育てたいと言うことで・・・植えるものを決めに行くのですよ」


「なるほど。でしたら・・・」


「あっ。まだ小麦とかは無理ですよ。水利が調整できていないので・・・」


「そうですか・・・でしたら・・・糸瓜(へちま)なんてどうでしょう」


「「「糸瓜?」」」


「はい。ご存知ないですか?」


「いえ。知っていますが・・・中々育てようとは思わなかったですね。胡瓜や南瓜の方が美味しいので・・・」


「確かに食料として考えるならその2つが優秀ですね。そちらも育ていただきたいですね」


「わかりました!やりましょう!」


「話がそれてしまいましたが・・・糸瓜を我が家では身体を洗うものとして使っておりました。古布を使ってはいますが・・・どうも軟らかすぎて・・・」


「なるほど・・・あっ!確か・・・蒼と白の勇者様がいっ・・・んんっ。残した文献に薬にもなると」


「ほぉ。薬ですか」


「糸瓜水と言って、鎮咳薬(ちんがいやく)として使うことができると。その外にも効能があったと思うのですが・・・忘れてしまいました」


「ほぉ!あのたわしになる作物にそのような使い道が・・・」


「育てましょう糸瓜。今後風邪が流行らないとも限りませんし・・・身体を綺麗にすることも健康に繋がりますしね!ただ・・・食す場合は、苦みのあるものは退けるようにしないといけませんね」


「それは・・・なぜです?」


「まぁどのような作物にも、身体に悪影響を及ぼすことがある。と言うことです。食中りになる可能性があるので・・・もし、食用とする場合、口に含んで苦味を感じたら吐き出すように指示をお願いします」


「畏まりました。皆にはそのように伝えます」


「さすがはアルじゃな。ワシは腹が膨れればそれで良いとおもぉておるからのう」


「でも、最近は美味しいものを好んで食べているではありませんか」


「それは・・・カレンの作る料理が旨いからのぅ!」


「ありがとう。ですが、青椒(ピーマン)を残すのだけは止めてください」


「しかたなかろう!苦いのじゃから!」


「まったく・・・いつまで経っても子どものままなのですから・・・」


「むぅ・・・」


「ははっ!じゃぁ青椒も育てるかな」


「そっそれだけはっ!」


「「「あははは!」」」


「まぁ・・・エレンに無理に食べさせることはしないけれど、栄養価が高いのは事実だから・・・大きく甘く育つように改良してみるよ」


「あれが甘くなるのか!?」


「まぁ独特の青臭さは残るかもだけれど・・・」


「うぐっ・・・まぁ・・・苦くなければ良いのじゃ」


「私も青臭さを軽減できるように努めますよ」


「助かるのじゃぁ!」


「そうそう!ストルネ殿にもお願いが」


「なんでしょう?」


「工兵の中で、木工・・・贅沢を言うと車輪などを作った経験のある方を紹介いただけないでしょうか」


「それはお安いご用ですが。一体・・・」


「先程少しお話ししました、水利の改善を仕様かと思いまして」


「成る程。この後すぐにでも呼び出しますよ」


「あぁ・・・声をかけていただくのは今日で構わないのですが、来ていただくのは2日後でお願いします。あっ!あと力自慢の方も数名・・・」


『「ワタシヲ トオシテミツケレバ ヨロシイノデハ」』


「しっ!さんちゃんを通すと楽だけど、ストルネ殿の部下なんだから。勝手に探るのは御法度だよ」


「・・・どうしました?」


「!何でも無いですよ!人捜しの件、よろしくお願いしますね」


「・・・承りました」


「では。また後ほど。カレンとエレンは───」


「お供いたします」「一緒に行くのじゃ」


「うん。ではストルネ殿」


「はい。プルーナをよろしくお願いします」


「・・・気持ちの整理。つけてくださいね」


そう言うとストルネ殿は、ペコリとお辞儀をして去って行った。

まったく・・・年をとると意固地になりやすくて困るよ・・・。


「どの口が言うのじゃ」


「・・・聞こえてた?」


「はっきりとな」


「あはっあははは・・・」






「あっ!アルくん!待ってたよぉ!」


「お待たせ!あっリジアさんにラパさんもこんにちは」


「こんにちはぁ」 「こんにちはです」


「ねぇねぇ!アルくん・・・畑を拡げようよ」


「うん。私もそう思っていたんだ。4米四方から10米四方に増やそうか」


「えぇぇ・・・それじゃぁ小さいよぅ。作業人数も増えたしさ!ここはドドンといっちゃおうよ!」


「うぅん・・・じゃぁ・・・誘致面積は合計で一畝(いっせ)にして、実際に開墾するのは10米四方にするのはどう?」


「徐々に増やす感じ?」


「うん。負担無く、作業に余裕ができたら拡げていく感じで」


「うん。それなら良いかも!」


・・・ふぅ・・・。    ギロッ  


ヒィ!


「あんまり2人に負担をかけないの!」


「むぅ・・・農作業も立派な訓練になるんだもん」


「だからと言って、2人が倒れちゃったら島の皆さんの食糧補給が途絶えるでしょ?」


「むぅ・・・善処します」


「よろしい」


「で?何を植えるの?」


「えっとね・・・糸瓜と南瓜、それに胡瓜に青椒!」


「へぇ!南瓜はスープにしても蒸かしても美味しいし、胡瓜はこれからの時期に助かるね!青椒の苦さアタシ好きだよ!」


「うぇぇ・・・よく食べられるのぅ」


「なんで?あの苦さが良いじゃん!」


「おいらも好きだなぁ青椒」


「わたしも好きです。まぁ好んで多くは食べませんが・・・油でサッと炒めるとシャキシャキして美味しいですよね」


「ほら見なさい。貴女の舌がお子様なのですよ」


「むむぅ」


「・・・糸瓜かぁ。久々だなぁ。小さい頃おかぁさんがよく育ててたっけ。最近は何故か育たないって去年実家に帰った時言ってたなぁ」


「ん・・・?」


糸瓜が育たない?いくら北方でも、季節風の影響で暖かい時期だってあるのに────。

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