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土地改良①

「アルフレッド様。ただいま戻りました」


「うん。お帰り。首尾は・・・上々のようだね」


かご一杯の海藻と貝殻だね。・・・籠なんか無かったけれど、貰ったのかな?嗅覚の良い彼女には臭いも厳しそうだし、早々に受け取ろうかな・・・。


「こちらの海藻が・・・」


「───カレン。その籠を先に受け取るよ」


「──申し訳ありません」


「大丈夫だよ。それにこの臭いじゃね・・・」


「はい」


「これは・・・海藻?すっごい臭いじゃが、何かに使えるのか?」


「エレンの見つけてくれた水源と同じくらい重要なモノだよ」


「ほぉ!農業は詳しくないからのう・・・アルのお手並み拝見じゃな」


「なぁにこの臭い!」


「おぉ・・・ケルプか!それとこの二枚貝は・・・」


「あ!プルーナとストルネ殿。臭いが行きました?」


「うむ。独特の潮を思い起こさせる香りが飛んできたのだよ」


「そうですね。確りと乾燥させないと、独特の臭いを発しますから・・・」


「へぇー!これがケルプ!茶色いね」


「うん。これを元に汁物を────」


「プルーナ様。少々近すぎかと」


「そうじゃ!アルに近づきすぎじゃ!」


「えぇー!そんなことないよぅ!」


ん?近かった?・・・確かに顔がすぐ横にあったけど・・・


「近くでよく見たかったんだもん!」


「それにしては近すぎかと」


「うむ!もう少し離れて見ても良いじゃろう!」


「───アルフレッド殿も苦労されますな」


「ん?どういうこと?」


「・・・いやはや(苦労するのは彼女たちか)して、これらをどのように使うので?」


「昆布。ストルネ殿達がケルプと呼んでいる海藻は、乾燥させて粉々に砕きます。二枚貝・・・浅蜊・蛤・牡蠣。白の勇者様が残された名前ですが・・・。これらは焼いた後にこちらも砕きます。そして、土にすき込みます」


「ふむ。するとどうなるので?」


「ここは火山性の土地で、酸がキツいようなので、それを弱くさせる手伝いをするのです」


「ほぉ!作物が育たなかったのは、土の力のためか!」


「そうですね。なので、土の改良を行います」


「カレン!」


「────。───ッ!はい!」


「3人で何を話していたのかは分からないけれど、昆布と貝殻を沢山貰ってきて欲しい」


「ワシらも行くか」


「えぇー!アタシは残りたいよぅ」


「行くのじゃ!」


「ちぇぇ」


「?まぁ人数が多いに越したことはないかな!兎に角大量に。ある分だけ貰ってきて」


「畏まりました」


「うん。宜しくね」

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