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エレンとカレンの捜し物

「土は───ふむふむ。なるほど」


「これが───これでな」


「アタシは───だったよ」


「──これで・・・」


うん。この土地に関しての聞き取りは大分進んだかな。しかし・・・聞けば聞くほど作物栽培に向かないよなぁ・・・よく馬鈴薯が育ったもんだよ・・・


「アルー!」


おっ!最初に戻ってきたのはエレンだ。でも・・・歩いてくる気配が・・・おっと!


「よっと!ただいまなのじゃ」


「お帰り!首尾はどう?」


「うぅん・・・ちと言いにくいが・・・」


「アルフレッド殿!エレン殿が空を飛んでいたように感じたのだが・・・」


「うむ。如何にも。飛翔の魔法が使えるのじゃ」


「成る程!そうであったか!いやぁ・・・小柄な身でありながら、実に器用なことを・・・のうプルーナ」


「うんうん!アタシは魔法がからっきしだから羨ましいよ!それでさ、提督。あっちのことなんだけど───」


「おぉ。スマンスマン。では失礼致します」


飛翔ってそんなに難しかったかなぁ・・・まぁいっか。


「飛翔ではなくワシの羽を使っていたのじゃがな」


「だと思ったよ。魔力を感じなかったからね」


「たはは。アルには分かってしまうか」


「それで、水場はどうだった?」


「それが・・・ここから直線距離で2粁ほどなのじゃが・・・川が大きく湾曲して海に注いでおる」


「そうかぁ・・・小川的なものは見つからなかった?」


「うむ・・・こちら側は川面よりも大分高く位置しているようでな。川向こうは湿地帯となっておった」


「へぇ!川向の開発は骨が折れそうだ!」


「なぜ大変なのに満面の笑みなのかが気になるのじゃが・・・まぁよい。───川から水を引くのは難しいぞ」


「滝は?滝はあった?」


「滝はあったが・・・ここからじゃと10粁ほど離れておる。水路を作るには管理の問題もあって難しいと思うのう」


「保全の魔法は?」


「保全魔法を用いたところで、自然の驚異には敵うまいて・・・」


「あぁ・・・」


私達の目の前には高く聳えるライラック山。確かにあれにやられたらひとたまりもないけれど・・・対策は追々かな。まずは揚水車の制作と水路の設計が第一かな。

・・・でも、川向に湿地かぁ・・・これは幸先が良い!やりたかったことができるかも知れないッ!


「あとはカレン待ちかな」


「なんじゃ!彼奴はまだ戻っておらなんだ。何処かで空腹で倒れてるのやもしれんな!クックック」


「・・・笑うものじゃないよ・・・」


「───エレン。あとでお説教二倍です」


「あっ!」「げぇ・・・!」


「遅くなりましたアルフレッド様」


「お帰りカレン。首尾は・・・上々のようだね!」

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