カレンの捜し物
「さて・・・アルフレッド様の探しているモノはっと・・・」
私は、アルフレッド様達と別れ、一人街へと向かった。実に抽象的なお願いなので、何を探せばいいのか悩む部分もありますが・・・。昔読まれていた本の内容を思い出してみればあるいは・・・
───鉄壁カレン───のじゃぁ────!
「まったく・・・エレンは・・・後でお説教ですね・・・」
エレンの声が不意に聞こえてきた。どうやら私のことを言っているみたいですが・・・今は放っておきましょう。
「・・・あら?昨日には見なかったのですが」
「おぉ!えらく綺麗だな!」
「恐れ入ります。こちらのお店、昨日はありませんでしたが・・・」
「んあ?あぁ!昨日はストルネ様が隠れてろッてんで、出していなかったんさ」
「なるほど。取り扱っているモノは・・・炭ですか?」
「これか?これはこの辺りで採れる海藻を干したモノだよ。これを煮込んで出た汁を濾して、その汁でもって料理を作ると旨くなるんだ」
「なるほど・・・出汁ですね」
「出汁・・・そうか。この国ではそう言うのか!良いことを聞いた!ありがとうよ!」
「大したことは致しておりません。つかぬ事をお伺いいたしますが、その出汁をとった後のモノは何処に有りますでしょう?」
「あぁ・・・大概は燃やしてしまうから・・・おっ!おぉうい!」
「?なんだい急に呼んで。忙しいのにさっまったく・・・」
「そんなつれないこと言うなよ・・・この娘さんが使い終わった海藻が欲しいんだってよ」
「あぁ!昨日は世話になったね!」
「いえ。それで・・・」
「あるよ!昨日使ったヤツがさ!一緒に来てご覧なさいな」
「ありがとうございます。御店主もありがとうございます」
「なんのなんの!入り用だったらまた寄ってくれ!・・・物々交換にはなるけどな」
「?畏まりました」
そう言って私は店主にお辞儀をし、ご婦人の後に着いて行きました。しかし最後の物々交換に引っかかりを覚えますね・・・。何故金銭取引ではないのでしょう・・・。
「ほらここだよ!」
おっと。いけませんね。考え込むと周りが見えなくなるのは。アルフレッド様の癖がうつったのでしょうか・・・。
「ありがとうございます。・・・ここは───」
「そうだよ!昨日騒いだ広場さね。・・・いたいた!アンタ!」
「おぉ。なんだ?どうした昨日の娘さんまで連れて」
「それが、使った海藻が欲しいって───」
これは・・・見渡しても海藻の気配がしない・・・。また何処かに案内されるのでしょうか・・・。流石にお腹が空きましたね・・・。
「おう。じゃぁコッチに───」
───クゥ
「!!!」
「アハハ!そう言えばお昼ご飯がまだだったね!食べていくかい?」
「・・・ご迷惑でなければ」
なっなんと絶妙な・・・でも、空腹には抗えないのでご相伴にあずかりましょう・・・。
「─────ごちそうさまでした」
「はい。お粗末様」
・・・驚きました。焼き魚に貝の蒸し物。それとふかした馬鈴薯。素朴なモノなのにどれをとっても深い味わいでした。
「めしは・・・聞かなくても分かるな。アハハ!」
「大変美味しかったです。塩にも何か工夫が?」
「あぁ!藻塩のことかい?海藻に着いた塩粒を食べたヤツが旨いって言うもんだから、皆溜め込んでいるんだよ」
「なるほど・・・ここでも海藻が良い仕事を・・・」
「さてと。肝心のモノの場所に案内しようじゃないか」
「よろしくお願いいたします」
「おう」
アルフレッド様が求めているモノがあれば良いのですが・・・。それ以上に、出汁の使い方と塩に関して有意義な情報を得ることができました!これで、私の料理も一段上を目指すことができます!
「ついたぜ?──おい!大丈夫か!?」
「っは!・・・失礼致しました」
「おっ・・・おう。ブツブツ言ってるから驚いたぜ」
「申し訳ありません」
「あぁ。大丈夫なら別に良いんだが。ほれ!これが昨日使った後に出たヤツだ。必要なだけ持って行ってくれ」
「・・・これが。分かりました。アルフレッド様に確認いたしますので少し頂いていきます。処理はいつ頃まで?」
「置いておくと日光にやられて匂いがキツくなる。あと一刻もしたら綺麗さっぱりだな」
「わかりました」
これをアルフレッド様が求めているかどうかは分かりませんが、少しばかり持っていき、指示を仰ぎましょう────。