エレンの捜し物
「さてと・・・」
ワシはアルに頼まれた水場探しに出た。カレンはやる気一杯の様子じゃったし・・・ワシもやるかのぅ!
「まっ鉄壁万年片思いには負けぬようにせねばな!ナハハ!さぁ風の精霊達よ我が元に集え!」
腐ってもワシは風の大精霊。風は何処へでも流れゆく。何時も側にいる。故に呼びかけ、集めるのは造作も無いことじゃ!
「えれんさまだぁ」
「ひさびさっ!」
「なになにぃ?」
「おしごとおしごと?」
「えれんさまがまじめにしごとっ?やりでもふる?」
若干一名失礼なヤツがいるが、まぁ良い。
「お前達。この島に水場はあるかの?」
「みずばー?」
「みつばー?」
「みずらー?」
「みつけるみつける?」
「みずばをさがすしごと?うぅん・・・」
言葉があまりにも稚拙だが・・・2人ほど真面目な者が居るのが幸いか・・・最後のヤツ見直したぞ。
「そうじゃ。飲むことができる綺麗な水を溜めている場所じゃ」
「あったー?」
「わかんなぁい 」
「ヒミコサマー」
「みつけるがんばる!」
「おおきなみずば・・・まわりのみずはのめないし・・・」
・・・自由じゃ。しかも意味の分からんことを言っている者まで・・・
「島の周りの水は、海と言って塩辛く飲むことはできない。それ以外にはないのかのぅ」
「まわりのみずのめないー」
「みずはのまないー」
「ドウキョーデオイノリ!」
「このしまのまわりのめないみず!それいがいしらない・・・」
「うぅんうぅん・・・」
自由な風であっても知らぬ事は多いか・・・
「お主ら、この島に来てどの位じゃ?」
「ついさっきー」
「ぼくもー」
「オナジク?おなじくー!」
「さっききた!さっききた!」
「わたしは、ここにきてからにかい、つきとたいようがのぼりました」
・・・一番使えるのは最後の者だけか・・・
「わかったのじゃ。教えてくれてありがとう。突然呼んですまなかったのじゃ」
「いえいえー」
「だいじょぶー!」
「かえるかえるー」
「どどどっておとがするー」
「はたらくきになった、えれんさまをたすけられず、ごめんなさい」
「いいのじゃ。一言余計な者もおるが・・・助かったのじゃ!また呼んだら頼むぞ!」
「「「「あいあいさぁー」」」」
「つぎはがんばりますっ!」
ふぅ・・・風は自由だからのぅ・・・ん?そう言えば・・・
「どどどと音がする?・・・あぁ!ちょちょっと!───行ってしまったか。また流石に呼ぶのは気か引けるしのぅ・・・そうじゃ!」
アルには目立つ行動はせぬよう言われてはおるが・・・一番手っ取り早い方法で探すかの!