国王の私室にて①
時間の概念をば。
1刻と表記しています。本来の一刻は約2時間をさしますが、本作品では文字数削減の意味を込めて一刻=1時間。半刻=30分。四半刻=15分。としてお読みください。
なので、数字表記とさせていただいております。
他にも度量衡の単位にに関しても古い表記を使用していきます。
前書きにて解説しますので、よろしくお願いいたします。
「はぁ・・・。うぅん・・・。あぁ・・・。」
アルフレッドは、父親である国王の私室扉前を入る踏ん切りがつかず、ウロウロウロウロしている。
「そんなところでウロウロせず、さっさとノックしてお入りください。アルフレッド様」
「うっ・・・そうは言ってもね、これから怒られると思うと・・・さ・・・」
「何を今更。怒られることが少し先になるか今すぐになるかの違いではありませんか。良いからさっさと入れ。」
「怒られることが確定で、何より言葉が辛辣!まっまぁカレンの言う通り、覚悟を決めて入るか・・・」
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コンコンコン
「入りなさい」
理知的でしかし温かみのある声が、扉の奥から返ってくる。
(若しかしてそこまで怒っていない?いやいや。楽観的予測は避けて、意を決して入ろう)
「失礼致します」
重厚な音と伴に、国王の私室の扉が開かれる。
目の前には齢50を迎えたであろう精悍な顔立ちで、アルフレッドと同じ翡翠色の瞳をした男性が、笑みを浮かべながら柔らかな一人がけのソファに腰掛けていた。
「待っておったぞ。アルよ。しかし、お主が遅刻せずにやってくるなど・・・今日は雪でも降るのかな」
「え゛っ・・・」
「ん?どうかしたのか」
「いっいえっ・・・何でもありません」
(カレンは確か、10刻と言っていたはずッ)
アルフレッドは、惚けた顔をしながらも必死に頭を回転させていた。自身の後ろで笑いをこらえている侍女に気づかずに・・・。
「そっそれでッ父上、何かご用がおありでしたか」
アルフレッドは動揺しながらも、国王に呼ばれた理由を尋ねる。
「おぉ・・・。そうであったな。」
そう言いながら、席を立った国王がアルフレッドの前に歩き近づく。
「そろそろなのだよ。あれがもう直ぐ始まる」
少し陰のある困ったような笑みを浮かべながら、淡々と国王が話しかける。それを聞いたアルフレッドは、スッと目を細めながら
「あぁ。そろそろでしたか。今回は1500年程ですか。封印がもったのは。それではまた、私めが同行することになりますか」
普段のアルフレッドからは想像もできないような怜悧な声で国王に話す。
「また・・・ですか。アルフレッド様」
呆れたような心配したような声音でカレンがアルフレッドに問いかける。
「カレン・・・。仕方の無いことだよ。これは僕の役目でもあるからね」
アルフレッドは、後ろを振り向かずに自身に仕える侍女に静かに語りかける。
「ですがッ・・・」
「ゴホンッ」
・・・!!!
「二人とも、場所をわきまえて欲しいのだがなぁ。」
「「しっ失礼しました///」」
「ハッハッハ。仲良きことは良きことだかな。」
二人の惚気た空気を吹き飛ばず国王の姿に、いつも毒づいてくるカレンも思わず赤面してしまう。そんな様子を
(普段との差があって、やはりこの様な時のカレンは可愛いな)
と赤面しながらも考えているアルフレッド。そんな二人の様子を微笑ましく思いながら見ていた国王が口を開く。
「今回は、アルの同行は無しとしている」
「はっ!?」
────アルフレッドは、国王からの言葉を信じられない様子で目を丸くした─────────
やっとアルフレッドの特長の一つが明らかとなりました。
容姿に関しては、徐々に明らかになっていきますのでお楽しみに。