衛星都市─マルゲリテ─①
「いやぁ助かった!うちの馬が暴れたときはどうしようかと思ったよ。壊れたのはうちの商品が少しだけ。あんたら二人が止めてくれなかったら・・・ぞっとするよ」
「もう少し早く気づければ商品も無事だったのですが・・・申し訳ありません」
「いやいや!高いモノではないから気にしないでくれ!それより賠償金の方が高くつくからな。儲けものだよ!」
豪快な笑い方をしながら二人に感謝する商人。発着場で起きた暴れ馬の事故は、目の前で笑っている商人の馬が起こしたとのことであった。疑問に思うことも多く、カレンが馬が暴れた理由を聞くと───。
「あぁ・・・落ちていた硬いモノを踏んでしまって驚いたみたいなんだ。そっちの兄さんに治してもらったからもう歩けるみたいだが。普段は大人しいのに何でなんだろうなぁ・・・」
(アルフレッド様。踏んでいたモノは何だったのですか)
(あぁ。何か黒いモノとしか言えないかな。もう鞄の中に入れたよ)
商人の話を聞きながらも声を落として二人は事故の原因を共有し合った。
「さてお二人さん」
「「はい」」
「お若い二人が何をとは聞かないが、うちの馬を止めてもらったお礼に昼でもどうだい?奢るぞ!」
丁度時刻はお昼時。二人は顔を見合わせて大きく頷き、了承の意を伝えた。
「結構結構!俺の恩人だ!良いところに連れていってやるから期待してくれよな!あっそうそう!まだ名乗ってなかったな!俺はプレズモって言うんだ。遅くなって申し訳ない」
「僕はアルと言います」
「私はカレンです」
「アル坊にカレン嬢だな!っても、恩人に失礼か」
「いやっ・・・しっくりくるのでそのままで大丈夫ですよ!」
「私も大丈夫です」
「おぉ。二人とも礼儀正しいな・・・。若しかしてどっか良いとこの出かい?」
竹を割った性格のプレズモから突然出てきた質問に対し、曖昧な笑みで答える二人。
「っと・・・そうだよな。他人様の身の上に土足で踏み込むのは良くないな。ッし。行こうか旨い飯屋に」
「ご配慮感謝いたします」
「よせやい!背中がむずむずするぜ。よしっとこれが最後だ。荷物も片付いた。ではでは。昼飯を食べに行こうや!」
口を動かしながらも手を動かしていたプレズモに感心しながら、二人は後を着いていく。この後の食事に胸を躍らせながら──────。