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衛星都市に向けて
本日も宜しくお願い致します。
──王都駅馬車発着場
「ふぅ・・・着いた。早朝に出てきたとはいえ、人が多いね」
「はい・・・王都から各衛星都市を結ぶ始発発着場ですからね。しかし、朝早いのにこの人混み・・・この人々は一体どこから現れるのでしょうか・・・」
「まぁ・・・王都も人口が増えたって事だよ」
二人は発着場に居る人混みに辟易としながらも、目的地に近い衛星都市の切符を購入して、乗り込む。
「これで・・・よしっ!8刻頃には着くね」
「そうですね。しかし、専用軌道は便利ですね」
「魔獣が駆除された衛星都市と王都の間だけ。だけどね。しかし・・・揺れが少ないのは良いことだよね」
「短時間でも座っているだけというのは辛いですから────」
「・・・だね。おっ出発だ」
馬の嘶きと共に、ガタンと言う音がして乗合馬車が進み始める。客車を二両付けた乗合馬車は、煉瓦で舗装された直線路を進む。
王都近郊と衛星都市は、舗装された乗合馬車の専用軌道と歩行者と荷車が通る道で直線的に結ばれている。都市の数は八都市。そのうちの一つマルゲリテ行きに乗った二人を乗せた馬車は順調に進んで行った───。
『ご乗車お疲れ様でした。終着マルゲリテです。お忘れ物の無いようにお降りください────』
「んんぅーん!着いた!」
「はい!個室よりも外の方が良いです!」
「そうだね。さぁ・・・白兎の森に近いタラサコ村に向かおう────」
『うわぁぁぁ────とっとめてくれぇ───』
「!!大変だ!あの馬を止めないと───」
「私は近くの人の避難を促しますッ」
マルゲリテ発着場で起きた事故を止めに行くアルフレッドとカレン。
果たして────。
何時もお読みいただきありがとうございます。駅馬車の専用軌道に関しては、ローマの道をイメージしていただければと思います。