??日目/監禁の始まり
ヤンデレ好きです ギャグも好きです
なら合わせればいいよな!!!
「聖く〜ん!! 起きて〜!! 朝だっよっ〜!!」
「うるせぇ!!!」
とてつもなく大きな声で飛び起こされる俺、大空聖。
俺の上に跨るコイツ、坂本結衣。
コイツはクラスの人気者なのにも関わらず、無駄に俺に着いて回る。
正直目立ちたくない俺には非常に厄介な相手。
コミュニケーション能力は最高値、顔も端正に整っており、胸も大きい。
綺麗な癖毛かかった桃色の髪。
ぱっちりと開いた惹き込まれるような赤色の瞳。
男子女子関わらず友達が多い、陽キャの塊の様な奴。
何故そんな奴が俺に着いて回っているかと言うと、俺達は幼馴染なのだ。
昔から仲が良く、俺がかなり活発だった子供の頃に知り合った。
男友達の様な関係性でいつも家に上がっては二人でゲームをしたり、キャッチボールをしたり。
結衣は未だに昔の俺を引きずっているのだろうか。
「朝から起こすなよ……今日はまだ休日だろ、多分。別にゆっくり寝ても良いだろ……」
「今日は聖くんと一緒にお昼寝しに来たんだ〜っ!!」
「お昼寝したいなら尚更起こさず勝手に隣に入っててくれ!!!」
あぁ、朝っぱらから大声を出すと喉に悪い。
俺は起き上がると、結衣と目が合う。
綺麗に整った顔が鼻と鼻がぶつかり合うような距離に来て、俺は不覚にもドキッとしてしまう。
結衣は不思議そうな顔をすると、ニコッと俺に笑いかけた。
「……キス、しちゃう?」
「誰がするか」
「ぶー、聖くんのけち。ドキドキして眠気無くなっちゃったじゃん! どうしよっかなぁ……」
そうだ、言っていなかった。
俺は今、コイツに監禁されている。
こんないつも通りの調子で話しているが、正直恐怖を感じている。
時は遡って、数日前。
──────
「聖くんが私のお家に来るなんて久しぶり〜っ! 頑張って接待しちゃうよ〜っ!」
俺は聖の家に久々に遊びに来ていた。
聖は親が金持ちらしく可愛い子供には旅を、の精神で一人暮らしさせているらしい。
俺は部屋に上がると、その豪華さに思わず声が出る。
リビングは広く、テレビは大型。
キッチンとリビングは繋がっており、キッチンのコンロはIH製の様だった。
2階もあり、何部屋もあるが一人暮らしには少々、と言うかかなり広い部屋だった。
「お前、こんな所に住んでたのか……流石だな」
「聖くんに自慢したくて頑張って毎日呼んでたのに、聖くんが頑なに来てくれないから〜! ゆっくりしといてねっ!」
俺はリビングのソファに座る。
ふかふかで眠ろうと思えば、うちのベッドより快適に眠れるであろうソファだった。
結衣はキッチンに行くと、冷蔵庫から飲み物を取り出している。
「私の部屋行こっか! リビングだとなんかちょっと落ち着かなくて……」
「お前、男を自分の部屋に連れ込む理由が『落ち着かない』って何だよ……まぁ良いけど、結衣の部屋なんて昔はほぼ毎日行ってたしな」
結衣は紅茶らしき物が置かれたおぼんを持ちながら、2階へと上がって行く。
俺も後ろに着いて行く。
「それじゃ、開けるね? あっ、先入ってて! 忘れ物……あったから」
結衣は部屋の扉を開けると、そそくさと一階へ降りて行く。
結衣を置いて、俺は結衣の部屋に先に入る事になった。
「暗いな……明かり、何処だ……? あった、これか」
明かりを点けた俺の前にあったモノ。
それは。
「な、何だよコレ……」
壁一面に貼られた、俺。
俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺。
シャワーを浴びている俺や、寝顔。
学校で発表をする事になって、緊張しながら壇上に立った俺。
様々な俺の写真が、壁一面に貼られていた。
「お、おかしい! こんなの……!」
後退ると、背中に何かが当たる。
どうやらそれは結衣のテーブルの様で、当たった衝撃で何かが落ちる。
それはどうやら日記の様で、俺は好奇心に負け中を覗いてしまった。
「8月12日 今日は聖くんのボールペンを使った。凄く良かった。彼の感触が感じられて、凄く興奮した」
「8月13日 聖くんの髪の毛を久しぶりに食べた。やっぱり私はどの食事よりも聖の何かを自らの中に含む方が満足感を感じる」
「8月14日 彼のタオルとTシャツを盗んで来た。嗅ぐと彼の匂いがして、心臓が跳ね上がってキュンキュンする。凄くゾクゾク出来て良かった、今度はゴミ箱を漁ろう」
「8月15日 ついに、明日聖くんを家に呼べる事になった。私の部屋を見たらビックリしてくれるだろう。監禁する計画が上手く行ったら良いんだけど」
日記の中にはおぞましい文字が連なっていた。
俺は足の力が抜けてしまい、その場に倒れ込む。
立ち上がろうとすると、後ろに人の気配がする。
「ドッキリ大成功〜。それじゃあ、聖くん。お休みなさい」
背中にビリビリとした感覚がして、気を失う。
気を失う前に見たのは、結衣の狂気的な笑みだった。
──────
「あ、聖くん。起きた? 今ね、聖の手錠の確認してるから、ちょっと待っててね!」
「手錠……手錠?! ちょっとお前、何やってんだよ! 外せって……!」
「聖くんが悪いんだよ、かっこいい聖が。昔よりクールになって大人びた聖くんが大好きなの。でも聖くんが誰かに奪われるかもしれないって考えると、心臓がバクバクして恐怖を感じたの。だから、先手を打つ事にしたんだ」
結衣は淡々と俺の手錠を確認していく。
全ての確認が終わったのか結衣は俺の上に跨る。
「こうすれば、私だけの聖になるって思ったの。身勝手で、聖くんの幸せを考えていない愛だけど……絶対聖くんを幸せにします。だから……私と、付き合って下さい」
人生で初めて受けた誰かからの告白。
その相手がこんな状況の、こんな幼馴染になるとは思っていなかった。
「こ、断る! 結衣の事は悪く思ってないけど……こんな状況で告白なんて受けれるかよ!」
俺は手錠をガチャガチャと動かし、逃げようと四苦八苦する。
無情にも、手錠は俺から外れる事はない。
逃げ場の無い俺は結衣の顔を見てしまった。
結衣の顔は、絶望しながらも顔は紅潮している不気味な顔だった。
「それじゃあ……私が聖くんをどれだけ好きか、教えてあげる。今日一日、ずっと好きって言ってあげるから……こんな身勝手な私を愛してくれるまで♡」
俺と結衣の監禁生活が、今日始まってしまった。
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