主人公が考え事してたら色々あって(ない)周りが悲しんだりするお話(おそらく)

作者: 一般人















いつだっけ。


あの鳥みたいに羽ばたきたくて、空を踏みしめて飛び回ったりしたい。


それを叶えようって気持ちを失っちゃったのは。














ある日の午後。僕は昔に流行った曲を首元にかけたヘッドホンで聞いて歩いてた。そうだね、感傷に浸って楽しんでるって言った方が正しいかな。なんか微妙な表現だけど。

あ、歩きヘッドホンは周りの音が聞こえなくて危ないからせめて首にかけて聞こうね!(責任は取らない)




なんで人は生きてるんだろ…なんてことを考えるのは野暮ってものだと思う。生きてる意味を求めてる人は沢山いるけど、意味なんて個人が決める価値観であって、それこそ悩むだけ無駄だと思うけど。結局自分が納得出来なきゃ、誰かからただ「意味がある」って言われたって悩み続けるでしょ?諦めるといいよ、生きていく上で大切だって色んな人が言ってるから。


まあ諦める云々は絶対認めたくないんですけど。さっきの話と矛盾してる?人間は矛盾の塊だって言うし問題ない。こんな考えをどう受け取るかも自分次第だよ。でもこんな個人差があまり許されないのがこの国の教育…いや洗脳なんだけどね!知らんけど。適当。なんとなく考えてることに理路整然としたものを求めないで…それはそれとして毎日が憂鬱やで(適当)。


あー学校嫌だ。今日はもう終わったけど、これがまだ2年も続くかもしれないなんて思うと憂鬱。


それを母さんに話すと、「昔に比べたらめちゃくちゃいいじゃん」なんて言う。僕が求めてるのはそういうのじゃないんだよ。

そりゃ30年ぐらいも昔なら体罰もあっただろうし、色々厳しかったんだろうね。けど、ただでさえ時代によって常識なんて変わってくものなのに、人によってかなり違う感覚面のことを簡単に済ませないで欲しいなぁ。まぁいい人なんだけどね。ちなみに僕の父親はそういう「基本はいい人」っていうのがそもそもないから考えるだけ無駄。って言っても僕がいい人になれる保証なんてないし、その「いい人」っていう価値観も人それぞれであって…いやキリがないからやめよ。


うーん、父親は僕がもしも自殺なんてしたら悲しむだろうか。

案外悲しむかもしれないし、家が自分のものになったーって喜ぶかもしれない。喜ぶ方がありうる。

お母さんとかは勿論、なんて言ったら自信過剰かもしれないけど、多分悲しんでくれると思う。


じゃああいつはどうだろう。一応親友…幼なじみだし。

ここで親友から幼なじみに言い換える時点でダメだと自分でも思う。仲良い確証がないならまだしも、幼稚園の頃から一緒に遊んだり、一緒に帰ったり、一緒にイタズラしたりしてたしな……中学生の終わりまでは。なんか、()()立派に育っちゃってさ……これが子離れの気分か、辛い。


はぁ、なんでこうなったのやら。僕が何かしただろうか。

いやしてない。多分してないね。僕は何もしてなさすぎて全ての面で凡人にも劣ると思うよ。


まあそれがダメなんですけどね。でもなにかして怒られるのは怖いじゃん?

まあ何もしてなくても怒られちゃうんだけどね、逆に。いや普通に逆でもないな…。


なんで怒られるんだろ。自分なりに考えてやってるつもりだったんだけどな。別に怒らなくったっていいじゃないか。それが3度目でもあるまいし。僕がよく失敗することは知ってるでしょ。


でもいつも間違ってばっかりだから、実質100度目ぐらいに感じられるんだろうな。自業自得とも言えなくもないような気がするかもしれない。


ありゃ、夕日が目に染みるなぁ。




無駄な思考だけが頭の中をまわってて、どうしようもない。

気分転換だ〜なんて考えて流してた曲のせいかな。これまたどうしようもない郷愁の気持ちってヤツがこんな風に色々考えさせるんだろう。へっ、デキる高校生は辛いぜ…


あぁ、夕焼け空の赤い光が目に刺さるけど、ぶっちゃけ他の景色なんて目に入らない。見えてるはずなのに、はっきりしない。こんな風に周りのことを考えてても、意識して見ようとしなきゃ見えない。不思議。意識しようなんて考えも浮かばない今なら、自分のことしか考えられない今なら、あの人たちと一緒にいてもややこしい事考えなくても済みそう。あっあっ現実に戻される!心頭滅却!ぬっ……ふぅ。あれ、なんか違う気がする。




あーあ、考えられる頭があるって大変だね〜あーあ。


あいつ今どこにいるんだろ。というかここどこだろ。僕のいる世界が誰かのつくった物語とかだったら、「ぼーっとして歩いていたら、無意識にあいつとの思い出の場所にたどりついていた」なんてパターンもあるだろうけど、生憎と見覚えがない。もしくはそれすらもフラグなのか。


随分と緑の多い場所だね。スマホで確認すればストレートで家まで行けるんだろうけど、そんなに急いでるわけじゃないんだし、とりあえずこのまま歩くか。


こんなとこは来たことないな。ちょっと遠い高校に通ってるから、その辺はしょうがなくもあるけど。でもおかしいな、近場のこういう場所は把握してたつもりだったんだけど。



ひえーめっちゃ濁ったダム?池?いやダム?高いな、何十メートルあるんだろ。いや高いというより水面が低いって言った方が正しい……なんて、誰かに説明する訳でもないのにどうでもいいこと考えたりして。


ここでもそのうち池の水ならぬ「ダムの水全部抜いてみた!」みたいな企画をやるんだろうな。知らんけど。こういうのもなんだけど人骨見つかりそう。ここも隠しスポットとかだったりするんだろうか。

でも道路は一応舗装されてるし、たまーーに車通るし、さすがになさそう。そんなに例のスポットが沢山あってたまるか。


いかん、ネガティブなことを考えるんじゃない。

いいか、逆に考えるんだ。死んじゃってもいいさと……って死なねーし。まだ希望に溢れた未来が待って…る…はずだし。

人間は変わる生き物って言うし。



まだ視界は晴れない。



おっ車の音。これはトラックかな?転生トラックだったらどうしよう。轢かれちゃうなー俺TUEEEEしちゃうなー。ハイエースだったらハイエースされそう。お助け^〜。



深呼吸でもしたら少しは見えるだろうか。



お?トラックか。これは転生トラックじゃなくて運送トラックですな。居眠り運転はさすがにないよ、意外と取り締まり厳しいらしいし。まあ知らないけど。



やり直しか死、どちらかを選ぶなら、きっと死を選んでた。



でもちょっと怖いな、なんで結構細い道でダム側歩いてるんだろ。ダムをのんきに観察してたからでしょ(自問自答)。ダム側の柵はガードレールの向こう側、水面に下る坂の途中にあるし、もしうまくふっ飛ばされたら余裕で水に叩きつけられて昇天でしょ絶対。



そうでなきゃ、歳をとって死ぬまで、だらだらと過ごしていたから。



おかしいな、時間がゆっくり流れてるように感じる。走馬灯ってこれ?急に僕死ぬの?百日後に死ぬワニ的な?なにそれ。逃げなきゃ──なにから?



逃げて逃げて、生涯恥さらし。そんな人生を歩むんだってわかってた。



逃げるべきなのか?走馬灯に浮かんだ思い出…いや、記憶に何を学んだ?そもそも逃げられるのか?



だからきっと、僕のことを大切に思ってくれてた人のことをほとんど考えずに死ぬ選択を選んだのは、正解じゃなくても間違いではなかったのかもしれない。



高速で突っ込んでくるトラックに?お前は次を期待して呑気に転生トラック〜なんて言ってる方がお似合いじゃないか。



目の前に迫るトラックは、僕をどこかに連れて行ってくれるような気がした。それがたとえ幻覚だって、僕は確かに、ちょっとだけ、救いを感じてた。自分からそれをする勇気なんてどこかに置いてきてしまったから。









ああ眩しいなぁ。あいつ元気かなぁ。死ってこんな唐突なんだ。なんかふわふわしてる。







何も考えられない。








































君は今どこにいるのだろうか。

もしも天国やら地獄やらがあるのなら、君はどちらにいるのだろうか。

もし天国なら、私はこれから善行を積む必要があるし、

地獄ならば、君の父親を殺すという悪行を神妙に執り行わなければならないね。

教えてくれるだろうか?

いや、君のことだから既に次の輪廻に行っているかもしれない。





今日は君の葬式だ。

私はこの前君から借りた男物の制服を着て出席している。まさかあの時の会話がフラグになるとは……()はフラグなど建てさせないようにしよう。

あぁ、早く次が来ないかな。いっその事君の後を追ってみるのも悪くない。君の口癖だろう、「いつかを待つより今を掴め」って。まぁ君は言ったことないだろうけど。

君にしてみれば、突然愛を貰ったことに疑問を持っただろうけど、私に言わせてみればそれこそ心外だ。覚えてくれていても良かっただろう。

君はいつもいつも、僕をおいて先に行ってしまう。せっかちだな。しかも2度目を望まない。いいさ、私が覚えていれば。

さてせっかくだ、君のワイヤレスイヤホンで曲でも聞いてるさ。こんな時にピッタリな曲…某ゼロから始まる死に戻り少年のアニメのed曲でも聞こう。君ならこうするだろうから。

っと、そろそろ私の番だ、君に祈ってやろう。生憎と、私は仏教徒でもキリスト教徒でもないから、形式に囚われる必要もない気もするけどね。まぁ今どきの冠婚葬祭は儀式的な意味合いが大きいらしいけど……君と私には関係ない話だ。実際はどうなのか〜とか知ったもんじゃないね。君曰く、決めるのは自分だから。





あれ?僕(私)は何を考えてたんだっけ?





どうでもいいか……今度は覚えててくれよ?僕は神じゃないんだ。だから万能じゃないし、君が拒んでも辞めたりしない。崇高な目的なんて持っちゃいない。僕が僕らしくあるために、君は諦めることを諦めなくちゃいけない。


あぁ、どうか安らかに眠ってくれ……もう苦しまないように。私はそれを願ってる。








あれ?



君が■んでから、どうにも思考が定まらない。

私は私(僕)で、僕は僕(私)。

おかしいな、私は今何歳だっけ?君は1■歳でいなくなったから…私も1■歳?

僕は確か■■■歳だった気がするけど。


あぁ、私(僕)がこうなってしまったのも、君がいなくなったせいだ。君がこれからも僕のそばにいなくちゃいけないって思ってるのに、私は君がようやく安寧を手に入れることを夢見てる。



おかしい。



























よくもやってくれたな。

単純に死ぬだけじゃ効率が悪いというのに、換えはあとひとつしかないというのに。最後まで言うことを聞かない■■■■だったな。

かけた労力にあったリターンを期待してたが、どうやら無駄だったらしい。この調子ではもうひとつの方も役に立たないだろう。多少の自由をくれてやったのは間違いだったか。

敷かれたレールを走るのはもう嫌だと言っていたらしいが、脱線する勇気も分かれ道を見つける観察力も耐え忍ぶ忍耐力さえも持っていない自分のせいじゃないか。

世の中はいつの時代であろうと弱肉強食、さりとて弱者が強者を打ち倒すことも出来るだろうに。つくづく才能がない。それに比べ、あれの幼馴染の何たる器の大きさよ。生まれた家が俺の下なら、喜んで席を譲ったものを……


情けないことこの上ない。
























──え?クラスメイトが亡くなって悲しくないですかって?

そりゃ人並みには悲しいですよ、誰かが死んでちょっとでも悲しまない人は人じゃありませんよ。


──交友関係?そうですね、友達はいなかったんじゃないですか?おーいお前ら、どうだったっけー?あぁいない?らしいですよ。

…あっ、そういえば昔何回か話したことあるんですけど、なんかその頃から近寄り難いというか、1人にしてくれってオーラ出てましたね。ずっと1人でいましたもん。寂しくなかったんすかね?



──何か思うところはありますかって?そっすね、あいつもしかして自■するつもりだったんじゃないですか?あのあたり、そういうのの隠れスポットだったりするって噂があるらしいっす。





──まぁ残念ですね





































季節も時間も世界も巡る。ともに巡る魂がひとつ、ふたつ……いや、本当に巡っているのだろうか?


まだ終わらないらしい。しかし本人達にとっては、もう終わっているのかもしれない。


なぜならそれすらも、価値観の相違に過ぎないのだから。