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備忘録の9
夏休み。朝食を食べた後は、某アニメの再放送をみるのが日課だった。
もともとは何の興味もなかったジャンルのアニメ。むしろ苦手だった。
だけど一転。のめり込んでいくようになったのは、やはり、おばさんの影響である。
おばさんが、そこそこ好きでみていたのを、ボクが我慢してみていたのが、いつの間にか、その世界を探求するまでになっていった。
まず、再放送から、毎週のリアルタイム放送をみるようになった。
おばさんは、読書家だ。
だから、おばさんは、「テレビより単行本を読んだ方がストーリーが早くわかっていい」と進言する。
そして、「漫画」というものを知る。
ボクはおばさんと一緒に、だいたい昼前に駅前の書店に出かける。
途中、商店街にある喫茶店で休憩を挟み、ソーダフロート500円を注文するのがお決まりだ。
書店は、商店街から5分ほど。
1日に購入するのは、3冊までと決めている。とくに根拠はない。
まずは1巻から3巻まで。
たぶん、書店の店員さんには「何でいまさら1巻なんだろう」と思われていたことと思う。
店員さんは3冊の単行本を茶色い紙袋に入れてくれる。
ボクはそれをおじさんがセカンドバッグを抱えるような感じで、わくわくしながら、帰る。
家に着いたら、手を洗って、すべてを落ち着かせて、読む。
「こんな複雑なストーリーがメインだったのか」
このときボクははじめて「物事をもっと知りたい」という感情をもつようになる。
以来、このアニメは、ボクの人生を語る上では欠かせないものとなっている。
ボクはおばさんは、勉強は全然できないのだが、「知的な愉しみ」への誘導は、なぜかうまい。
うん。結果的に。