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備忘録の1
ひとむかし前までは、とてもいきいきとしていたボクのおばさん。
ばあちゃんがボケるまでは・・・。
ばあちゃんは今、82歳。70代の頃のばあちゃんは、年齢よりも若く見え、孫のボクから見てもいつもおしゃれでキレイなばあちゃんだった。
外出の時は、いつも必ずスカートをはき、髪も自分でセットをして、友達とカラオケ、昼にはランチと毎日が楽しそうだった。
その生活をガラリと変えてしまったのは、コロナの流行だ。友達とのカラオケ、昼のランチにも行けない日々が続き、毎日、毎日、つけっぱなしのテレビをただ見ているだけの生活。
ばあちゃんは、日に日に、身なりを気にしなくなり、同じ話を何度もするようになっていった。
ばあちゃんと一緒に住んでいるおばさんは、何年か前に仕事をやめた。
これからは、自分の好きなようにしたいことをし、生きるのが、ゆめだった。そのために、お金もためた。
でも、ばあちゃんの頭が少しずつ、こわれていき、おばさんの自由もゆめも、かなえることはできなくなっていった。