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舞踏会-3

時間がない? 違う、時間は作るものなのだ! とかやってる内に書籍2巻の大きなミスを見つけたぞ! あぶなーい!

 今回の舞踏会の会場として、帝城に複数あるそういう用途の部屋の中でも最も大きい場所が使用されていた。無論、単なる部屋の大きさだけを考えれば、帝城にはより広い部屋だってある。しかし、舞踏会の会場となると、単に広さだけで片がつくものではない。


 舞踏会は単に踊るだけの会というわけでは無く、それは1つの権力闘争の場であり、縁故を強めるための場所でもあるがゆえだ。


 それも今回の舞踏会は皇帝が開いたものであり、つまりは今回の場所に来た者は、皇帝の声がかかったある程度の地位のあるものばかり。皇帝の招きに逆らえる貴族は少ないために、結果として派閥を超えて様々な貴族達が集まることとなる。

 ようは通常であれば会えない様な天上人や、敵対派閥の貴族などと渡りをつける良いチャンスでもあった。


 そこまで考えられているため、他人との会話が面倒なほど広すぎても狭すぎてもいけなく、相応しい様式を整えた場所で無ければならない。

 それらまで考えれば部屋の数は自ずと限られてきたのだ。


 そんな部屋にはいまや多くの貴族達が華やかな格好で集まり、穏やかな表情で談話をおこなっていた。天気の移り変わりや、自らの趣味などの穏やかな話を語り合っているが、それは表面的なものでしかない。

 談合、他派閥との交渉、威圧など、そういったドロドロとしたものが透けて見える。

 夫人や連れられた息女などの女達も互いの服装などを微笑みの仮面の下で観察し、自分達の敵となる人物を探しており、たわいも無い会話に紛れて棘をぶつけ合っていた。

 ある意味、今回の舞踏会こそ貴族社会の醜悪な部分を集約した部分といえよう。


 そんな彼らの話題として最も最新トピックスは新たに領土を得た貴族の話題だ。

 彼らの貴族としての目からすれば、先に行われた式典において一部拙いところもあったが、辺境侯という人物は貴族社会を知る人物に思われた。

 これには若干の驚きがあった。

 辺境侯という人物は強大な魔法使いであり、かつての主席魔法使いフールーダのような人物を僅かにイメージしていたためだ。フールーダは自分は魔法使いであると公言し、貴族社会とは線を引いていた。そのために式典などでは非常に荒い動きが多々見受けられた。

 それに対して辺境侯は──という具合に。


 無論、厳しい眼で見ればまだまだというべきだろうが、それでも貴族の品位に関して知識にあると言うのは彼らからしても好ましい。

 それに貴族社会にさほど詳しくない方が彼らからすれば嬉しいのだから。



 彼らがにこやかに微笑む中、真剣に働く者たちだって多い。

 見事な料理が乗ったテーブルでは、《毒感知/ディテクト・ポイズン》が付与された専用の道具を持った従者が料理を取り分けており、部屋の端に目をやれば楽団が雰囲気を壊さぬように静かな曲を奏でている。

 さらには貴族達の中を選りすぐったメイドたちがすり抜けるように歩きながら、貴族の言葉に従って働いていた。彼女達はメイドであると共に、毒殺等の暗殺の警戒訓練を受けた、ある意味その道のプロ達である。


 無論、帝国の最高権力者が開いた舞踏会で暗殺などを行えば、その結果がどのようなことになるかの想像ができないほどの愚か者は数少ない。しかしそれでもこれだけの欲望が集まれば、何が起こるかは不明であり、警戒は怠れなかったためだ。



 権力と欲望が入り混じり、警戒が行われる中、同じ派閥の令嬢同士が裏表の無い他愛も無い会話をしているのが、僅かな清涼剤だ。

 皆、気品と美しさを兼ね備えた少女達である。顔に施しているのが僅かな紅だけだというのだから、その可憐さは決して化粧によって作られたものではなく天然のもの。

 しかも着ている服は見事なものばかりであり、家の格を感じさせた。

 和気藹々とおしゃべりをする彼女達の話題にあるのは、辺境侯と呼ばれる新たな貴族の正体だ。

 仮面を被っておりその素顔はうかがい知ることが出来ないために、令嬢達の意見としては2つに分かれている。一つは絶世の美男子だ。そしてもう1つがその間逆である想像を絶するほどの醜悪さだ。

 自分達の父親にアピールするようにと婉曲に言われているため、その話題は大いに盛り上る。

 令嬢達も大半が自分達の婚姻は家の道具としての面が強いというのを理解しているために、仮面の下がどんな顔だろうと覚悟は出来ている。しかしそれでも凛々しい美丈夫を求めるのは少女としての思いだろう。

 そんな令嬢達の会話はやがてひと段落を迎えた。そのとき、1人の令嬢が穏やかに話しだした。


「それで皆さん……ちょっとした相談があるんですの」


 言い出したのは家柄的には最も高い家の息女だ。

 たとえ友人同士といっても家柄の差は少女達の中にも歴然とした順位を作り上げる。彼女達に他の令嬢の集まりのように厳しい上下階級が無いのはこの少女の性格によるところが大きいために、全員が慕っているほどだ。

 そのために即座に全員が聞く姿勢を取った。


「えっと、辺境侯にどなたが見初められたとしても、喧嘩せずにいきたいんですの」


 その言葉に含まれた意味を理解できないような令嬢はいない。令嬢達は微かに横目で仲間達をチラ見する。

 もし仮に辺境侯に見初められたら、その婚姻相手の家の地位は一気に上昇するのは確実である。そうなれば派閥の主導権をその家が取ったとしてもおかしいことは無いもない。そのために派閥間でも若干のぶつかり合いはあり、同派閥他家の娘の服装を一段低いものを強制する家だってある。

 事実、目を凝らせば、そういう令嬢の姿はあった。特に美しい娘ほどその傾向は強い。


「大丈夫ですわ。そんな人間はいません」


 少女の問いかけに優しく答えた令嬢がいた。そしてそれに賛同し、他の令嬢達も強い調子で頷く。

 無論、そこには何の根拠も無い。たとえ彼女が保証しても、家の都合ではそれは容易く破られるだろう。しかしそれでも今まで優しく扱ってきてくれた少女に恩返しをしたいという気持ちがそこにはあった。


「そうです。もしそんなことになったら、夫に言いつけます」

「まぁ」


 別の令嬢の発言に全員が破顔する。


「そうよね。夫に泣きつけばいいのよね」

「それはそうね」


 夫というのは言うまでも無くアインズ・ウール・ゴウン辺境侯である。かの人物に泣きつけば瞬時にそんな下らない家の対立はなくなるだろう。

 当たり前だ。帝国で指折りの大貴族、そして眉唾な噂ではあるが、それでも圧倒的な軍事力を持つ魔法使いに誰がおいそれと逆らえるものだろうか。


「私が選ばれたら、皆さんを側室に推薦しますわ」

「それは……難しいでしょうね。他の派閥の方を入れないと色々と問題になるでしょうし……。それに辺境侯としての家を強化するのであれば……そちらの方が賢いですし……」


 やがて互いの顔を見ながら、思いを述べる。誰が辺境侯に見初められたとしても喧嘩せずに、互いの家の協力を取り付けるように行動する、と。



 そんな会話を耳にして顔に微かに歪めているのは、その少女達の1人に懸想していた若き青年貴族だ。友人達から慰められるように肩に手を回されたりもするが、それを乱暴に払いのける。

 結局のところ、権力や家柄というのはなによりも大きな壁として存在する。

 好き、嫌いでどうこうなる世界ではないのだから。


 ■


「はぁ、綺麗ごとを言える家はいいわよね」


 小さくぼやいたのは額をでこっと出した少女だった。

 その左右には2人の少女が並んでいる。3人ともあまりパッとしない格好だ。服装は良い仕立てのものだが、何処と無く古臭い感じがする。それに彼女達は外見にあった色ともいえない。


「不味いよ、レーちゃん」

「……レーちゃんはよしなさいよ」

「ヴァネルラント公の集まりだよ。聞こえたら大変だって」

「はいはい」


 少女は髪を軽くかき上げる。金糸のような輝きがそこにはあった。


「はぁ。お父様も無理難題を言いつけてくるんだから。私が辺境侯に見初められる可能性なんて低いでしょうが……娘で博打うつなって言うの」

「で、でもレーちゃんなら選ばれる可能性はあると思うよ」

「うんなわけないでしょ」

「そんなこと無いよ。レーちゃんは凄い美人だもの。きっと選ばれるよ」


 その言葉は決してお世辞ではない。

 レーちゃんと呼ばれた少女は非常に美しかった。

 金の髪を後ろに流し、額を大きく出した髪形をしている。

 意志の強さを感じさせる瞳の色は赤に近い黒。盛り上がりに欠ける点が難点といえば難点だが、それ以外にマイナス点が付けられる場所は無い。


「レーちゃんはよしなさいって。って、さっきも言ったけど……」


 じろりと少女が半眼を送り、視線の先にいた少女がびくりと体を震わせる。


『でも私にとってレーちゃんはレーちゃんだから』


 二人の声が唱和する。レーちゃんといわれた少女はニヤリと笑い、レーちゃんと呼んでいた少女は驚きの表情を作る。


「あんたのパターンなんてお見通しよ。ふふふ」

「フェンドルス様。そろそろ終盤に入る頃です。良い位置に移動しておく必要があると思いますが?」


 冷静に声を上げたのはボブカットの少女だ。3人の中では最も身長が高く、低い2人と並んでいる所為でやたらと高く見える。


「……はぁ。親がお金使ってまで娘を潜り込ませたんだから、一応働いておかないと不味いか……。はぁー面倒。夢を見るのもそれぐらいにしておきなさいって」


 そこまでぼやいた少女はボブカットの少女に冷たい口調で言い切る。


「リズ。あんたもあれよ、うちみたいな没落貴族は見放した方がいいって、親に忠告しておきなさい」

「……フェンドルス様」


 リズと呼ばれたボブカットの少女はそれ以上何も言わず、眉を顰める。


「はいはい。暗い顔するのはやめ。取り敢えずは私達はこの辺で見てましょう」

「よろしいのですか? ここはあまり良いとは思えませんが?」

「落ちぶれ貴族が前に出て、いい場所を取ってたら不快に思う人は多いでしょ。やめておきましょうね、親に悪いけど」

「左様ですか……」

「はぁ。我が世の春よ、もう一度って考えてるみたいだけど……辺境侯か……」

「どうしたのレーちゃん?」

「うーん、おもいっきり得体が知れないわよね。王国軍を10万人一掃した大魔法使いらしいけど……」

「フェンドルス様は同じ魔法使いとして感じるところは無かったのですか? 凱旋を見に行かれたとは聞いておりましたが?」

「うん? そんなに便利な能力じゃないわよ、感知するって言ってもなんかつかめたらラッキーって言う程度のものだし、実際私は何にも感じなかったわね。それよりはドンだけ凄い宝石で身を飾っているのあの人っていう驚きの方が強かったし」


 少女は自分の目の前で手を左右に振る。それからしみじみと告げた。


「あの娘だったら辺境侯がどれぐらいの魔法使いか分かったんでしょうけどね」

「あ、レーちゃんの学校の友達?」

「そう。昔の友達。冒険者だかなんだかになっちゃった娘。今頃、どこで空を眺めているのかしらね」


 少女はぼんやりとした視線を部屋の一角に向けた。そこには真紅の絨毯が敷かれた階段が伸びており、その上はちょっとしたテラスのようになっていた。階段突き当たりはカーテンが垂れているが、その奥にさらに道が続いている。

 テラスに1人のでっぷりとした男が、見た目とは裏腹な、品の良い声を上げた。さほど大声を出していないというのにも関わらず、広い室内に響き渡る。

 呼んだのは貴族の名前だ。

 それに伴い、カーテンが開かれる。

 そこに立っていた2人の男女が集まっていた貴族達の様々な感情を含んだ視線を浴びながら、微笑みを浮かべ優雅に階段を降りはじめた。その男女が下まで降りきれば、再び貴族の名が呼ばれ、カーテンが開かれる。

 それを繰り返し、幾人もの貴族達が優雅にパーティー会場に入場していた。


「あ、生徒会長じゃない。あの人も来ているんだ」


 視線の先、ちょうど階段から降りてくる貴族の令嬢を見て、レーちゃんと呼ばれた少女は声を上げる。

 少女の通っている学校におけるトップの姿があったために純粋に驚いてだ。


「公爵家のご令嬢ですね」

「すっごーい、きれー」

「公爵家は結構上だから、そろそろ貴族たちの来場も終わりね」



 先ほどからふとった男──儀典官が呼び上げているのは、次に入場する貴族の名前だ。

 この順番こそが参加貴族の順位を示すものであり、後ろになればなるほどその貴族が高い地位についていることを証明している。これは基本的にどの国でも一緒ではあるが、帝国においてはもう1つだけルールが存在していた。

 それは皇帝の評価だ。

 つまりは皇帝の覚えがよければ、同程度の地位でも後ろに回され、場合によっては爵位を超える時もありえた。

 同じ爵位でも明確な順番がそこにあるということ、そしてその順番を他の貴族達の前で公表するということは、貴族の自尊心を満足させる働きがある。

 事実、いま呼ばれた貴族とその供である夫人の目には僅かな優越感があった。しかし2人が階段を下りる頃、次なる貴族の名前が呼ばれることで、彼らの瞳に宿っていた感情は塗り替えられ、微かな嫉妬を抱くのだが。



 呼ばれた貴族の爵位と名前を聞き、粗方入場が終わったことを悟った少女は舞踏会場で一段高くなった場所に目を向ける。

 テーブルと何席ものイスが置かれており、四隅を唯一武装した騎士達が守っている。最強と名高い、帝国四騎士が守るその場所はいうまでもなく皇帝たる人物が座す席だ。

 しかし、そこに腰掛けている者はいない。


 通常、主催者であれば最初にここに来て、招いた客を歓迎するのが普通である。しかし絶対的な権力を持つ、皇帝に関しては話は別だ。皇帝こそ最後に呼ばれる名前である。


 儀典官が身なりを正すのを見た少女は連れの2人に声をかける。


「そろそろ辺境侯の来場よ」


 その少女の考えは集まっていた全ての貴族達が擁いていたものであり、全員の視線が階段に向けられる。しかし、結果として予測は外れる。

 儀典官が上げた名前は辺境侯のものではなかったためだ。


「皆様。リ・エスティーゼ王国使者のイブル侯爵とそのお連れの方々のご来場になります」


 ざわりと微かな困惑が貴族達の中を走った。


「あれ? 違うみたいだけど……どうしてみんな驚いているの?」


 少女は問いかけに呆れた表情を作った。それから自身の眉の間を乱暴に揉み解しながら答える。


「少しぐらい宮廷のことについても知っておきなさいよ。一応は貴族家なんだから……。いい? まだ辺境侯が呼ばれて無いにも関わらず、国賓を入れるのよ? 帝国は辺境侯を他国よりも上に見なしていると公言しているようなものじゃない」

「常識で考えれば、ありえない判断です」

「でもそれしかないんだろうから……信じられないわね……」


 少女の呟きは集まった貴族たち、皆が抱いたものだ。

 自国の貴族を他国より重視すると内外に発表するような国は通常はありえない。それが当たり前である。

 しかし、そうではないのだ。

 つまりは辺境侯──アインズ・ウール・ゴウン侯を、帝国皇帝ジルクニフがどれだけ重要視しているかの証明であり、齧りつけば涎が垂れ落ちるほどの地位を持つということの証明である。

 貴族達の殆ど、特に意味が分かる女達の目に真剣な炎が強く宿った。父親などが小さい声で発破をかけている例だってあった。


 国賓もまた帝国がどの順番で重視しているということを証明している。つまりは最初に呼ばれた国であるリ・エスティーゼ王国は周辺国家では最も下に見ていると言うことだ。


 微笑みの形に顔を固定した使者が、幾人もの連れと来場する。

 彼らからすれば見世物の気分であり、決して気分は良くは無いだろう。しかし、皇帝からの招きであり、様々な貴族と会えるチャンスを逃すほど愚かではない。

 そんな色々なものを混ぜこぜにした感情が、笑顔の下にあった。


 それから幾多の国賓が呼ばれ、最後がスレイン法国の使者達だった。

 カーテンの後ろから入ってきたのは3人だ。先頭にスレイン法国の典儀に使われる法衣を着用した使者。そしてその後ろには2人の護衛官を従えていた。

 法国からの使者が入場する姿を見た貴族達がざわめく。大きく動いたのは帝国4騎士だ。その動きにあるのは困惑でもあり、驚愕でもあり、そして警戒だった。

 確かに使者の法衣は見事ではあるが、空気が変貌するほどのものではない。貴族達が注視しているのは後ろに控える2人の護衛官だ。


 1人は屈強な男であった。

 厚い胸板、太い腕。日に焼けた顔には満面の笑顔が浮かんでいた。

 そしてもう1人はスラリとした美青年だ。柔らかな笑顔を浮かべている。

 両者とも派手なところは無く、変わったところは無い。しかし、見るだけで普通の人間とは違うものを感じさせた。ある種の強者が放つ、人を引き付けるような魅力を。

 彼らはすたすたと気取ることなく階段を降り、会場の片隅に位置どる。


 国賓の来場が終わり、貴族達は次こそが辺境侯の入場だろうと階段上を見上げ、儀典官の顔に緊張が浮かんでいるのを見つける。

 それに疑問を抱くよりも早く、ありえない人物の名前が呼ばれた。


「バハルス帝国皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス陛下のご来場です」


 貴族達の困惑は一気に膨らむ。いまだ登場してない貴族を思ってであり、皇帝の横に並ぶ女性を眼にしてだ。

 慌てたように貴族達が頭を下げる中、貧しいともいえるような質素な格好をした女性を連れたジルクニフが階段を優雅に下りる。

 内縁の妻と目される女性が公の場に出ることは滅多に無い。それは出身地位が低いことが理由の1つであり、他の理由はその容姿に起因する。

 この場に集まった婦人達と比較すればよく分かる。下から数えた方が早い容姿だ。彼女が着飾っていないのは、見事な衣装ではその容姿がより一層悪く見えてしまうからだ。

 女性達の瞳に蔑みの色が浮かぶが、皇帝に近い地位に座る貴族達の瞳にはそれは無い。その女性が決して容姿で皇帝に選ばれた人物ではないためだ。


 かつて1人の貴族が問いかけたことがある。何故、彼女を選んだのかと。

 それに対してジルクニフはこう告げた。

「美しいだけの女ならば幾らでもいるし、欲しいだけ集められる。しかし子供を──将来の皇帝を育てられる女は少ない。あれはそれが出来る珍しい女だ。それに自分の子供は容姿が劣る可能性があるから、美しい女との間に美しい子供を作れ。自分が立派に育ててやると言う女だぞ? 外見だけで、頭が空っぽな女よりも何倍も面白いな」と。

 実際、公ではないにせよ、政治のことに関与できるジルクニフの手の付いた女は彼女しかいなかった。


 2人はそのまま進むと壇上の席に座る。合図をテラスに立つ男に送った。

 それはまだ入ってくる人物がいると言うことの証明。つまりはジルクニフ──帝国の頂点に立つ男が、帝国の貴族の一員たる辺境侯を主催者として歓迎しようとしていることを意味している。

 それがどれほどのことか理解できない貴族は極少数を除いていない。


 そして声が上げられる。


「皆様、これよりアインズ・ウール・ゴウン辺境侯のご来場となります」



 次回、会場で起きる事件!

「電気が消えたぞ! 真っ暗だ! 何も見えない!」

 そして凄惨な事件が幕を開ける。

「シャルティアが殺された!」

 一体、誰が犯人なのか!? 犯人の目的は一体!?

「くふふふふ……あなたが悪いのよ。webに私がいないからって……」

 冥探偵アインズがこの謎に挑む!

「謎は全て解けた! ……と思う」

(……というか、あのバルディッシュを持った黒の全身鎧は何者なんだ? こっち見てくねくねしていて、やたら気持ち悪かったぞ?)


 続きは10月中頃に公開したいです。……うー、大丈夫かな……。前の話の誤字の修正もしてないのに


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