23話 白銀の聖女と伝説と(5)
「浄化された……」
戦闘中突如苦しみだし崩れて金色の塵となっていく魔物を見て、ディートヘルトがつぶやいた。
それは他の場所で戦っていた騎士達も同じで、金色の塵と化していく魔物に唖然とする。
はるか昔、金色の聖女が魔瘴核を壊した時、魔物が全て金色の粉になったという伝説がある。
生み出した魔瘴核が滅んだことで魔物達も魔力の金粉になって消えるのだと。
キラキラと金色の粉をまき散らしながら滅んでいく魔物達。
この金色の光景ゆえ魔瘴核を壊すことができる特別な力をもつ聖女が、『金色の聖女』と呼ばれるようになったとも言われている。そしてこの金色の粉は良質な魔力を含んでおり、その土地を1000年、2000年先まで繁栄に導くと伝説では言われていた。
「……金色の聖女」
金色の粉が舞い上がり、空を、大地を金色に染めていく。視界に広がる幻想的な光景に森の中で、セシリアを先にいかせるために魔物と戦っていた騎士の一人がぽつりとつぶやいた。
その一言をきっかけに
「聖女様だ!!金色の聖女だ!!!セシリア様が魔瘴核を壊したんだ!!!!」
その場で戦っていた騎士達が一斉に歓喜の声をあげる。
少し遠くで戦っていたディートヘルトもその歓声に気づき、慌てて魔瘴核の方に視線を向けた。
(彼女は無事か!?)
呆然としていたことに気づき、慌てて、セシリアのいるはずの場所に駆け出した。
一人で魔瘴核に向かったセシリアの無事を確かめないといけない。
そして、その場にたどり着き絶句する。
(……これは……)
そこにはまるで天から舞い降りた天使を彷彿させるような光景が広がっていた。
金色の粉にまとわれてまるで聖なる金色のローブをまとっているかのようなセシリアがなぜかその場所だけに注がれた太陽の日の光とキラキラと舞う金色の粉に照らされて、まるで彫刻かと幻想させるかのように安らかな顔で目をつぶり横たわっていた。
一瞬その光景に見ほれてしまい、ふと我に返る。
「聖女様!?」
慌ててディートヘルトはセシリアを抱き上げるのだった。