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89話 11月25日まで。戦力状況。

 



 ……

 …




 TIPS€ 今こそ、己を知れ。





 NAME 味山只人 


 RACE 人間 ホモ・サピエンス


 STR(筋力)……4→5new! (日々の筋トレと、プロテインやサプリメントが高いモノに変わった為)


 INT(知性)……3 (成長限界7)


 POW(精神)……6 (成長限界7)


 所有遺物 無し


 所有取得物 知らせ石 その効果、突発的危機の警告。


 〜保有技能一覧〜


 *斧取り扱い+2→斧取り扱い+3←new!

 基本的な斧の取り扱いに関する技能。効率的に斧、手斧類を運用出来る。斧を使用した攻撃の際、''筋力"に対してプラスの補正が発生する。いっちおっくえん!! という超臨時収入を得た凡人はそれを自己投資に充てがった。秋の浮いた時間に探索者の中で、最優の斧使い"アックス村山"につきっきりの超高額指導を受けたおかげでそれなりに斧を取り扱う技能が洗練された。それなりに。




 *探索者+1

 バベルの大穴内での長時間の活動が可能な体質。大穴内に満ちる酔いに対してある程度の耐性がある。また組合の指定する探索者法を正しく理解している。まあ、無駄に適性があるせいでこんなことになっているんだがな。




 *殺害適性+1→殺害適性+2←new!

 生物を殺す事に対しての忌避感が少ない。それなりに長い探索者人生はこの人物から命を奪うことに対する抵抗を乾かせた。戦闘時、敵対的な存在に対しての本能的手加減はなくなる。最もこのお前は始めから殺せる側の人間だったな。そして数多の凡人に対する無遠慮な殺意はその認識をさらに確固たるものにする。敵は始末する、幸せとはつまるところそうして手に入れるものである、と。




 *完成された自我(社畜)+5

 この人物の自我は隙間なく完成されている。もはや何人たりともこの人物の自我に変革的影響を及ぼすことはできないだろう。長い社会人生活によるストレス、挫折と倦怠感にまみれた栄光なき経験からこの人物の人生に対する価値観は干からびている。他者からの誘惑、強い言葉に反応する感性は全て枯れ果てている。他者からの精神干渉、精神汚染に対して強い耐性を持つ。また魅了状態に陥りにくい。哀れな。




 *女は悪魔+3→女は悪魔+4←new!

 この人物は女の美しさと恐ろしさを本能的に理解している。"美形"、"魔性"、"絶世"、"美の化身"、"魅了体質"、"淫魔"特性を持つ女性からの魅了にかかりにくい。またこれらの特性を持つ女性や、魅力の高い異性からの魅了判定による接触を図られた時、精神対抗判定を無視して行動を決定出来る。悪魔は女の姿でやってくる。これまでの人生経験、人は簡単にモテないという痛みを経て大人になっていく。顔が特別悪いわけでも、性格が破綻しているわけでもない。でも、何故かモテない、恋人が出来ない。そんな人間は決して少なくはない。故に、必要なのはそれに惑わされないことだ。人は孤独が当たり前なのだから。俺がモテないのはどう考えてもお前たちが悪い、本当にそうか?





 *星の戦列に並ぶ者+5→星の噛み跡←new!

 "52番目の星"と数多くの探索に赴いた者としての技能。アレタ・アシュフィールドの"¥14♪$々〆"の影響を受けなくなる。既にこの人物は星に示した。その輝き、その威光など関係ない。汝もまた只の人間であると。そして、その有り様は星の在り方にすら影響を与え始めた。耳に刻まれた噛み跡、それはマーキングの1つである。あなたはあくまでわたしのもの、とのことだ。





 *凡人 

 この人物は世界に多く遍く存在する大凡な人間である。運命にも宿命にも才能にも選ばれることはない。その人生に祝福も呪いも影響することはない。全ての成長補正、技能補正にマイナスが発生する。この人物の主要ステータスS・I・Pの上限は7で止まる。運命、宿命による介入がなくなる。好きに生きるといい。この人物の、お前の選択は全て、お前の意思によるものである。






 *恐怖耐性+2 この人物にはある程度の恐怖への耐性が備わっている。心を燃やせ、恐怖は全て殺すものである。そう、それでいい。あの時と同じように、吠えてみろ。吠え続けろ。




 *凡人の意地+5→凡人の怒り←new!

 何も持たない凡人であるという自覚から生まれた技能。"天才"、"選ばれし者"、"英雄"、"祈る者"、"主人公"などの特別な存在との戦闘、敵対において全ての行動にプラスの補正がかかる。またそれらの特別な者との戦闘敗北の際に最大10回、"食いしばり"を発生する。凡人、しかしそれが人生を諦める理由にはならない。その人生には敵が多い、選ばれし者が目的の為に足蹴にするのはいつだって当たり前の凡人たちだ。それを諦めて受け入れるか、それともふざけるなと立ち上がるか。選ぶのはお前自身だ。





 *耳の#部位保持@/者

  2028年、夏の出来事からこの人物々52/$+→☆♪☆☆♪45€€€€€€腑分けされたその部位達の戦争に参加することになる。 部位保持者は"腑分けされた部位"の権能を一部、扱う事が出来る。またどこかから聞こえて来るTIPSを拾うことが出来る。心せよ、開戦の時は近い。いや、もう既に始まっているかもしれないな。





 *腑分けされた部位

 動き出した部位達の代理人 "腑分けされた部位"特性を持つ者への特攻を得る。またこの技能を持つ者は"腑分けされた部位"特性の者からの被特攻を得る。動き出した部位、箱庭の奥底で彼らはその時を待っている。





 *神秘を食べた男→神秘の友人←new!

 神秘の残り滓を正しく、敬意を持って料理し、食べた者の称号。この人物に対して、過ぎ去りし忘れられた神秘達は力を貸すだろう。人とは食事によりその存在を拝領して生きていく存在である。L計画、アプローチ2はここに完結した。そしてここから発展していく。理解し、語り、力を借り、共に笑う。それはもう被食者と食者の関係から一歩進んでいる、それに名をつけるのならばーー  偉大なる神秘の残り滓、彼らが生前得られなかったのはそんな当たり前の凡人らしい時間だったのかも知れない。L計画、アプローチ2は再開した。彼らはお前の友人だ。より多くの神秘の逸話をその身に再現出来るだろう。




 *九千坊の眷属→九千坊の子分

 この人物は西国大将九千坊のミイラをカレーにして食べた。水の神に愛されしその性質、この人物は息長の性質を持つ。戦闘時、条件を満たしていれば九千坊の逸話を再現することが出来る。"虎"特性、虎という名前を持つ存在との敵対時、マイナスの補正がかかる。彼の物語を読み、彼の伝説を追った。九千坊からの好感度が高い為、さらに多くの彼の逸話を再現できるようになった。触れてはならない男の小姓、その涙を止める為に九千坊は彼を水底に連れて行く、無知ゆえに、そしてその力の強大さ故に彼は知らなかった。普通の人間は水の中では生きていけないことに。同じ間違いはもう2度と犯さない。キュッキュッ!! とのことだ。




 *九千坊の尻子抜き←new!

  肉体に西国大将九千坊の力を降ろす。命持つ存在、または命に準ずる核を持つ存在から尻子玉を抜き取ることが出来る。"定命"特性、"再生"特性を持つ存在に対して特攻を発揮する。"不死"特性、または命を持たない存在には効果がない。生命の身に存在するかっぱの好む器官。本当にそんなもの存在するのか?




 *九千坊球磨川絵巻物語←new!

 九千坊の子分になったことにより、西国大将九千坊は全ての力をお前に貸すだろう。

 おおよそ九千坊河童の出来ることの全てを劣化した状態で再現出来る。人の身においてその絵巻物語は再現出来る事自体、恐れ多いものである。海を渡り一族を率いることなど到底出来はしまい。あれは彼だからこそ出来た偉業である。





 *鬼裂の同盟者→鬼裂の盟友

 この人物は鬼裂の盟友だ。その有り様は平安最恐の鬼狩りに力を貸すに値すると認められている。鬼裂の骨粉をココアに混ぜて食べた。平安の終わり、鬼を刈り続け鬼となった男がいた。戦闘時、鬼を狩り尽くした鬼をその身体に降ろすことができる。"戦闘適性+10"、"刀剣扱い+10"、"怪物狩り+7"、"身のこなし+6"、"明鏡止水"、"殺人術+5"、"呪血式+3"、"鬼裂の業"を得る。この人物と鬼裂の肉体の素質が違いすぎる為、技能を使ったのちに身体に大きなダメージが残る。鬼裂との会話や、ある遺物との交戦によりまた彼のことを深く知った。平安時代において鬼に堕ちた正確な時期は未だ彼の口から聞けてはいないが、人間の頃からかなりヤンチャだったので正直あまり変わっていない。源氏物語での彼の推しは"六条御行所"、情念が強く嫉妬深い女がタイプらしい、人間の頃の嫁もそういうタイプだったとは本人の言。貴崎凛のアレはお前が全ての元凶か。




 *鬼裂の呪血式←new!

 鬼裂の盟友としてその身体において"呪血式"の行使が認められた。陰陽師の好む式神符術や禹歩、散米、祝調とは違い、より実戦に即した発動の早い呪いの式。人の身体に流れる血に呪いをかけ血管、血液循環を式に擬えそれを媒介にこの世のならざる場所から力を得る。"高貴な血"、あるいは"希少な血"や"何世代にも渡り磨かれてきた血"であるほど呪血式の強度は上がっていく。鬼裂は多数の陰陽師や鬼狩りからこの呪血式を簒奪し自らの身体に取り込んでいた。使い道は多く、戦闘においての血液操作、身体強化、穢れの浄化、傷の賦活などさまざまな応用が効く。"怨霊"特性、"宗教"特性を持つ存在への特攻を得る。しかしお前は凡人で、お前の身体には呪血式は刻まれていない。その血は凡庸である為、呪血式も馴染まない。少しでも特別になれると思ったか? 鬼裂の本来の呪血式は彼の子孫が代々継承している。名家による血筋主義、それはこの国の歴史においても非常に価値ある式を遺す為でもある。まあ、野良犬の血であるお前には関係ないことだ。




 *2人目の火葬者 +1←new!

 この人物ははじまりの火葬者を餃子にして食べた。その偉大なる任は受け継がれた。2人目の火葬者として古い"火"を右腕に燻らせる。この火は"死骸"、"不死"特性を持つ者、または火に怯える生物に対して特攻を得る。悩んだ末、彼の名前は"ジャワ"に決定した。本人は奇妙な踊りともにその名前を受け入れてくれた。火と共に継がれたのは大罪。人を動物から区別付けたその業は世界に大きな罪として記憶された。しかし、お前は止まらない。大いなる火を携えて立ちはだかる敵を燃やすといい。火を燃やせ、薪を焚べろ。死すべき者を、あるべき場所に還せ。それこそが2人目の火葬者、つまりお前に課せられた任である。




 *血の命令(ニンゲン)への耐性←new!

 ホモ・サピエンスが種の存続の為に得た血に刻まれた近縁種への忌避感と殺意の増幅を催す命令、それに耐えたことによりお前は血の命令をある程度無視することが出来る。はじまりの火葬者、ジャワはお前の味方である。下らない本能に従うだけなど猿と同列、霊長が聞いて呆れるな。その点お前は少しマシ、だ。





 *3年後の決着

 この人物は¥1¥+○6358との決着をつけなければならない。




 *継木された右腕

 この人物の腕は"腕"によりりりりりりりりりりり¥5☆€$¥%85○々8217





 *たいまつの右腕

 "2人目の火葬者"、"接木された右腕"のシナジー技能。この人物の右腕はよく燃える。"火"に関する技能使用時、成功判定にプラスの補正がかかる。ああ、まさかこんなことに役に立つとは。瓢箪から駒、いやなんでもない。




 *墓石の最前

 お前は墓石の最前にいる。覚悟を決めろ、お前の後ろはもうない、そして、お前の次も存在しない。ここが、最後。最前にして、最後の墓石だ。



 *大罪人←new!

 お前は大罪人だ。"大罪"特性を得る。"正義"特性からの被特攻を得る。"正義"特性のキャパシティへの攻撃が可能。裁けるものなら裁いてみろ。







 *耳の業

 経験点を使用することにより耳の業を使用することが出来る。おおよその音の録音、再生が可能。録音した怪物の声や他の音などを経験点15を消費することで再現できる。成長、いや、同一化が進めばよりあの耳の化け物に近しい形での使用も可能になるだろう。忌々しいことだ。




 *耳の大力

 経験点を消費することにより、耳の大力を再現できる。"耳"に備わるあの大いなる只の暴力を扱う。肉体の質自体も一時的に大力を操るに値するものに代わるため肉体が大きく損傷することはない。おぞましいな、それではお前はあの耳と変わらないでないか。





 *耳の222$¥€♪☆

 条件未達成。死に触れろ。そして奴を思い出せ。何度でもつながる、何度でも増え、何度でも立ち上がるあの醜悪な血肉を。




 *耳の@/#€€5444々〆〒

 条件未達成。願え。あの暴力装置を。只、聞くために無意味に生存するあの化け物を。

 ああ、お前も大して変わらないじゃないか。










 *周回特典

 お前は2周目だ。お前だけがそれを勝ち得た。

















 *$¥€¥2¥

 今度こそ、勝て。







 ……

 …



 〜




 夕焼けの満ちる墓場にて〜





「……ようやくここまで来た」




 もやもやしたガス状の人影が、夕焼けに照らされる墓石たちを丘の上から見下ろす。




 味山の夢に現れるアイツ、ガス男だ。




 遠くの山間に夕焼けが落ちて行く。その度に墓石の影法師は長く、長く。




 ガス男が、目のない顔でそれでもそれを眩しそうに眺めた。




「状況はこれまでにないほど理想的に進んでいる。グレン・ウォーカーは死なず、ソフィ・M・クラークは狂わず、雨桐は己を知り、貴崎凛は人に戻り、スカイ・ルーンはこちらに賭け、ルイズ・ヴェーバーはこの時点で正義を使用し、一部の探索者は味山を推している。そして何より、彼ら。偉大なる星の生命。神秘の残り滓達までもが友好的……か。ふ、ふふ。鬼裂はいわずもがな。まさかあの九千坊やはじまりの火葬者にまでお目にかかれるとは……」




 ガス男が、笑う。そのたびにその輪郭がぼやけて、揺れる。






「皆、あともう少しだ。君たちの死に意味があるのだと証明して見せよう。そして我々がまだ敗北していないことをあの女に証明してみせよう」




 ガス男がその場にしゃがみ込む。貌はない。それでも1つ、1つ、夕焼けに照らされた墓石をそれぞれ見つめる。




「人知竜。試してみよう。君の探求と我々の借り。どちらがあの女の首元に刺すナイフにふさわしいのかを」




 ガス男の言葉。



 風が吹き始める。




「きっと、味山只人は辿り着くだろう。脳を破壊し、内臓を壊し、耳をすり抜け、あの女にたどり着く、その時こそーー」






 強い風が吹く。





 ガス男の身体はその言葉ごと、風に攫われて消えて行く。




 あとはただ、美しく、そして寂しい夕焼けが墓石たちを照らすだけ。




 ごおーん。丘の下のお寺で、鐘が鳴った。




読んで頂きありがとうございます!ブクマして是非続きをご覧ください!



<苦しいです、評価してください、ここから一気に話のペース上げていきます。是非御覧下さい!> デモンズ感

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