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10 来ると思った!

真ん中らへん、ロクデナシがしゃべり始めると、聞くに堪えない、女性を貶める罵詈雑言を吐き始めます。苦手な方は、そこらは飛ばしてお読みください。

 血の気の多い(じじい)共を自領の畑始めに追いやってる春の間、俺は心置きなくアマリエラ様と交流を深めた。

 月一の手紙にお茶会はもちろん、ちょっとしたお出かけも。


 可愛らしい赤白黄色のチューリップ、愛らしい黄色のたんぽぽ(ダンデライオン)、可憐なピンクのカーネーション。引退した元男爵夫人の、自慢のお庭。可愛い孫のため、小さくて愛らしい玄孫のためと、年々、可愛らしい系の花が増えていったそうで。


 義兄さんのツテで、招待してもらった。

 アマリエラ様、かわいい系が好きみたいだから。


 月下の君、生きた(クリスタル)宝石(ビューティー)とか呼ばれてる彼女だけど。春風がふわりと吹くと、赤、白、黄の花がゆらゆらと揺れて。春の柔らかい陽射しの中、銀髪がさらりと流れて。

 淡いライラック(薄紫)色のドレスを着て、色とりどりのかわいい花に囲まれて嬉しそうに笑う彼女は、花よりも可愛かった。


 こんな幸せな日が続けばいいと願いはするけど、終わりはどうしようもなくやって来る。

 春と夏を分ける、春夏の祝祭。

 血の気の多い(じじい)共がヒャッハーして水棲魔獣の尻を追いかけ、川岸できゃっきゃうふふ♡、いやぁん待ってぇ♡、と血まみれで戯れる、夏がやって来る。


 せめて春夏の祝祭にアマリエラ様と出席して、心の潤いを補充しよう。そうだ、野郎共への牽制も忘れちゃいけない。アマリエラ様、モテるから。

 ……そして、無いとは思うけど。万が一、泣いて縋りつかれても、両手をついて謝られても、絶対に許さない。

 これは、政略結婚なんだから。

 付け入るスキなんて一片たりとも無い、完全無欠の政略結婚なんだから。


 だから、大丈夫だ。

 顔を上げて、胸を張れ、俺。

 愛だの恋だの(さえず)って来る奴らなんか、蹴散らしてやる。権力で縛り付けていたくせに、難癖つけて手放した奴なんか、なおさら返り討ちだ。

 やっと手に入れた、隣にいる権利。俺は絶対に手放さないぞ。



    ◇    ◇    ◇



 現在進行形、話題沸騰中の河川三伯として出席する、春夏の祝祭。

 俺は灰銀の礼服に、首を飾るクラバットとかの差し色は青。アマリエラ様は艶のある濃紺のドレスに、首元や手首の花びらみたいなフリルは黒、そして琥珀のイヤリングと髪飾り。


 アマリエラ様の銀髪に青の瞳、俺の黒髪にセピアブラウンの瞳。


 揃えてるのは一目瞭然だ。これだけ牽制してて、なおかつ声かけてくるのは要注意。俺はあまり、というかほとんど貴族の顔と名前が一致しないから、そこはアマリエラ様を頼った。

 後で、野心家とバカと間男希望を教えて下さいね、と。



 王城は広い。一概にパーティといっても、身分によって会場が異なる。万が一にも男爵位とかあまりにも身分が違いする者が、間違っても公爵や王族に突撃できないよう、それはそれは厳密に番兵が境界線に立っている。


 まぁ、高位から下への移動制限はないし、高位貴族が身内扱いで有望株の下の貴族を連れてくるのはオッケー。ある意味、それを期待して、娘をエサに野心家さんたちは高位貴族にすり寄る。

 たまにそういう意図もなく、上位貴族のぼんぼんが下位貴族の会場で大きな顔をしたりする場合があるんだけど。その時点で、要注意ぼんぼん(ロクデナシ)と周知されるので、分かりやすくはある。


 そして、侯爵令嬢のアマリエラ様の婚約者ということで、案内(連行)された高位貴族用のパーティ会場。伯爵家の、来年に爵位を継ぐ予定ではあるけれど、まだ無爵の令息風情の俺が、今までほぼ会ったことの無い公爵家や侯爵家という高位貴族の方々に囲まれている。

 王族さえも列席するパーティ会場で、付け焼刃の貴族風笑顔を顔に貼り付けて、にこやかに挨拶しながら思う。


 ラン姉と義兄さん、道連れにして良かった!


 侯爵家の義父と義母が、アマリエラ様と一緒に俺を高位貴族の集まりの方へ連れて行こうとした時、俺は咄嗟にラン姉の腕を掴んだ。


 姉と義兄さん(子爵夫妻)も一族ですから一緒で良いですよねっ、と押し切った俺、ぐっじょぶ! 死なば諸共、笑顔でお別れなんかしてやらん。


 河川三伯の一角に顔つなぎと、俺とアマリエラ様にわらわらと群がってくる利に敏い方々。君たちがあの大湖子爵とその細君かと、義兄さんとラン姉にぐいぐいと迫るお偉様方。

 さすが貴族、これぞ貴族。これまで河川貴族(不良債権持ち)と見下してた態度はどこへ行った。

 華麗な手のひらクルックルーですね!

 

 アマリエラ様の様子をうかがうと、お年を召されたお姉さま方、お年を重ねた美女様方から声をかけられてた。

 一部、心から歓迎(心配)されて。

 一部、ちらちらと俺と彼女を見比べて。

 まぁ、離縁後、すぐに婚約したからかなと、悪い風には言われて無さそうだったので、俺は挨拶した後は気にしなかった。


 それよりも、心配していた事態が起きたから。

 遠目であそこにいるな、と目星つけていた元旦那のロクデナシ(グラシアノ卿)が、女連れでこっちにやってきたから!


 グラシアノ公爵家の正嫡子で、唯一の男子であるグラシアノ卿、ナリだけは立派なことで。

 裏路地チンピラ優男顔の三十路男が、つやつやした上等そうな毛皮の前開き上着を着て、肩幅をこれでもかと強調させて、えっらそうにそっくり返って歩いてこっちに。

 金糸でびっしりと細かく刺繍された内ベストはキンキラキンで、ちょっとした刃物なんかだったら防げそう。


 平時なら正気を疑う格好だけど、祝祭だから、このド派手なお祭り服もアリといえばアリ。どこかの誰か(ラン姉)が「(かぶ)いてるけど果てしなくかっこ悪い傾奇者(かぶきもの)、伊達に謝れ、死んで詫びろ、万死……」とか怨嗟の声を上げてるけど、怖いから無視で。

 

 ところで、そのお隣の女性は誰ですかねぇ?

 新しく婚約したって話は、とんと聞いてないんだけど。

 しかも、婚約者同士の俺たちでさえ、腕を組むだけで節度守ってるのに、連れの女の腰抱いてんじゃねぇよ。俺だって、アマリエラ様の腰に手を回したいのを我慢してるのに!


 ……だけど、腰を抱かれてるオレンジベージュの髪の女性……痴女かな?

 肩出しの(オフショルダー)ドレスは、腕はむき出し、わずかばかりの布が胸元を覆うだけで胸は谷間どころか上半分が丸見え、横乳は言わずもがな、背中も大きく開いてほぼ丸出し、つまりは上半分がほぼ裸、文字通り半裸。

 ……どう見ても、痴女だな?

 服装に関してはフリーダムなラン姉でさえ、小声でダメ出ししてる。


「え、パリコレのセクシー系? うっわ、スカートなんて太ももまでばっちりスリット入ってる……フリルふりふりでチラリズムなつもり? ドロワーズどこやった、時代考証無視か、ないわぁー……」


 べったりとロクデナシにへばりついてるのは、仲の良さを見せつけたいのか、それとも恥ずかしいからなのか、どっちだ。

 

「アマリエラじゃないか、こんな所で何をしてるんだ。

 まぁ、お前は具合のイイ抱き人形だしぃ? 気軽に手を出せて便利だものなぁ。もう誰かと部屋には行ったか?」


 ロクデナシのあからさまな嘲りと恥知らずな物言いに、周囲が一斉に息を飲んだ。重く静まり返った場に、止まり切れなかった楽団の竪琴の音が余韻を残して消えていく。


「婚約者として、代わりにご挨拶を申し上げます。

 水神様のご加護に幸いあれ、グラシアノ卿、お初にお目にかかります」


 一歩前に出て、背中にアマリエラ様を隠す。

 こんな奴、視界に入れる必要はない。


「素晴らしい我が婚約者に、未練たらしく声をかけるのはやめていただけますか。零れたミルクを床に這いつくばって舐めようとするのは、端的に言って見苦しいですよ」

「なっ、無礼な! 未練なんぞあるわけがないだろうがっ。

 そんな子を成せぬ女に、なんの価値がある!」


 ロクデナシが顔を真っ赤にして怒鳴り返してくる。へばりついてる痴女も、なんか勝ち誇ったような表情でこっちを見てきた。

 あ、恥ずかしいんじゃなくて、見せつけてるんですね? 自分の痴女っぷりをひけらかすって、それなんて性癖。


「さてはて。噂話に疎い自分にさえ、ロクデ……グラシアノ卿の艶聞は耳に入ってきておりましたが。

 痴話げんかに刃傷沙汰、山ほどの恋愛沙汰で、授かりものの醜聞だけは聞いたことがありませぬ」


 いつの間にか楽団が奏でる音楽が、華やかな祭りの曲から、クライマックスを前にしたような意味深な低音の旋律に代わっていた。 

 痴女に一瞥(いちべつ)くれてから、ロクデナシに笑顔を向ける。


「よほど上手く、遊んでいらっしゃるのでしょうね。何か工夫でもされていらっしゃるのでしょうか。

 ところで、そちらのご令嬢はいつから(子供)のお付き合い(はまだ)で?」


 含みを持たせて嫌味っぽく言うと、楽団が奏でる音楽が、アップテンポの曲になった。

 こう、酒の席で、「はい、はい、はい」とか、「さぁ、さぁ、さぁ」とか、次の杯をコールするみたいな感じの。


「うるさい、黙れ! 貴様、言うに事欠いて、俺を、俺を……っ!」


 怒りのあまり言葉も出ず、はくはくと口を開け閉めしるロクデナシを冷めた目で見てたら、顔を真っ赤にしてたのが一転、アマリエラ様に顎をしゃくって、下卑た表情に変わった。


「俺のおさがりの抱き人形は、気に入ってくれたかな。そいつは、閨で良い声で啼くだろう?

 俺が一から、仕込んだんだぜぇ? なんっにも知らない、まっさらなところからな!」


 楽団がまた流す音楽を変えて、悪役が悪だくみしている時に流れるような、不穏な曲調を奏で始める。打楽器での腹に響く低音の連打とかで、薄暗い地下とか、魔王役が雷ピシャーと共に登場する時みたいなの。


「その淫乱は自分から俺に乗っかってきて、脚を開いてそれはもう淫らに腰を振ったさ。俺に媚びてねだって、縋りついて情けを迫って、興が乗って嬲れば嬌声を上げて痴態を晒した。

 お前にも、俺が教えた通りの嬌態で迫ったか?

 はっ、ざまぁ!」


「妻が! 夫に好かれようとして、なにがおかしい!」


 声を上げて、遮った。

 曲が変わる。

 兵団が魔獣討伐に向かう時、楽団が勝利を祈って演奏する、勇ましい曲に。


「妻が夫に好かれようと努力したんだろう!

 夫の好みを聞いて、夫の好みに合わせて、夫に好きになってもらうように振る舞った!

 この方の振る舞いを、お前が蔑むのはお門違いだ。そもそも、お前がそう振る舞うよう望んだんだ。

 この方は、お前の性癖に付き合わされただけだ!」


 変態はお前だと俺が言い返すと、言葉が途切れた瞬間を見計らって、華やかな凱旋の音楽が流れた。ラッパが高らかな音を響かせ、オルガンが鳴り、竪琴の音が軽やかに奏でられる。


 楽団さん、さっきからなにやってんの。


 そう思って顔を向けたら、急に音楽変えて、今度は演劇なんかで主役が出てくる時みたいな派手な登場音楽……っていうか、これファンファーレ!

 そして登場したのは、王太子殿下。


 もう一度言おう、人込みを分けて、ファンファーレと共に王太子殿下登場!

 なにこの茶番(ヤラセ)


「こちらにいたか卿、昨秋振りであるな。王領の大湖では見事な働きであった。

 おお、子爵夫妻もご一緒か、仲良きことだ」


 間男じゃないよアピールですね、王太子殿下。ありがとうございます、ラン姉はダメです。


 一斉に礼を執る皆さんに倣って俺も礼をするけど、チラ見した王太子殿下が迫力満点。

 すっげ、王族の衣装、めっちゃすっげぇ、水神様への最敬礼服ですね。

 水流紋の入った真っ白い祭礼服に、羽織るマントは薄い水色(スカイブルー)から下にいくにつれてグラデーションで濃い青(ロイヤルブルー)へとなっていく。


 迫力あるダークブロンドに群青色の瞳の王太子殿下は、青と白の祭礼服がとんでもなく似合ってる。どこぞのチンピラ貴族なんか、足元にも及ばない気品と威厳。

 そして、しれっとふつーの祝祭の楽曲を奏で始める楽団さん。

 ……あとで声かけよ。


「聞いたぞ、アマリエラ嬢と婚約したそうだな。なかなか似合いではないか」

「ありがとうございます」


 おお、王太子殿下からの祝いの言葉、ゲット! これで俺たちの婚約、晴れて王太子殿下のお墨付きだ、やったね!

 いや、ほんと、マジで感謝。


「昨秋に続き、この秋もまたお声あらば、王領大湖の討伐に馳せ参じる所存です」


 感謝してるから、討伐は手伝うから、出仕は勘弁。そして、ラン姉はダメです。

 殿下が口に乗せる前に牽制しておく。


「ふむ、まずはそれで手を打つか。

 ではこの秋も、三人呑みを赤子のごとく軽く捻りつぶし、千切り泥亀を木っ端と打ち破った手腕、楽しみにしておこう」


 機嫌よく殿下がそう言うと、周囲の爺共と妙齢の美女様方がざわついた。

 殿下から、俺に視線が移ったのがわかる。孫の仇をとか、息子の腕の恨みがとか、そんな言葉が会場を潮騒のようにさざめいた。


「大湖では下賜した短剣を見せよ、通すように兵に伝えておく。

 では、邪魔をしたな。

 皆、今宵は水神様に感謝を、そして水神様のご加護を存分に祝え」


 良く通る声でそう言うと、王太子殿下はマントを翻し、背中を向けて堂々と去っていく。

 最後にパサリとマントの裾の青を流れる水のようにはためかせ、ここは水神様への祝祭の場なのだと、皆に知らしめた。

 かっけぇ。

 これは痺れる憧れる。

 王族とかめんどくさい立場の人でさえなかったら、はい、ついていきます! って言いたいんだけどなぁ。


 残されたのは、殿下に声をかけられた俺たち。そして公爵家継嗣でありながら声一つ、名前さえも呼ばれず無視されたロクデナシ。

 はっ、ざまあ!


 しかも、公衆の面前で、女に迫られないと勃……機能しないって自分の性癖暴露しやがった!

 はっはっは、今後、どんな女に声かけようと、言い寄られた女、絶対に引くぞ。だって、付き合ったとしたら、そういう趣味嗜好なんだなってことになる。

 さっき隣にいた痴女も、そういう趣向に付き合ってる痴女だと……あれ、痴女は痴女だな……? 

 とりあえず、ほぼ全員、ロクデナシから一斉に距離取って、特に女性陣はパートナーや親族の男性に庇われて、視界から隠されてる。

 はっ、ざまあ!!!


 それはさておき。

 とりあえず、ラン姉とアイコンタクト。義兄さんには無理を頼んでしまうけど、この場を預かってもらって。

 来たばっかりだけど、アマリエラ様を連れて、ささっと退散。


 ロクデナシが睨んでくるけど、無視(スルー)で。誰にも相手にされなくて、人だかりもできなくて歩きやすそうじゃないか、良かったな。

 あ、ラン姉も一緒に来てくれる? ありがとう、助かる。


「ラン姉、王都は危ないよな? それに、アマリエラ様をヘタに侯爵家に帰したら、ロクデナシから圧力かけられて、みすみす公爵家に差し出されそうだよな?」

「そこらへん、定番よね」


 笑顔で人を(かわ)して会場から出て、馬車留めに向かいながら逃亡計画と籠城計画を練る。


「アマリエラ様を伯爵領に連れて帰るとして。

 領地の領主邸に旗を上げての襲撃はないだろうけど、ならず者装っての押し入り、夜陰に乗じての盗人(人さらい)も、定番だよな」

「よくわかってるじゃない、ハリー、さすがアタシの弟!」


 アマリエラ様の手をがっちりつかむ俺。

 アマリエラ様の手をがっちりつかむラン姉。


「屋敷に向かう馬車が、帰り道に襲われるのも定番ね。

 伯爵家(ハイネハリの家)じゃなくて、旦那様の子爵家に戻りましょ。そしてウチ(子爵家)からそのまま、伯爵家領地に向かった方が安全よね」

「アマリエラ様、急で申しわけないけど、伯爵家に来てもらっても? 婚約者の家だったら、醜聞じゃないですよね」


 急展開に驚いてるけど、守られるのがわかったアマリエラ様、さすがだった。


「馬車もよろしいですが、乗馬も嗜んでおります。いかようにも申し付け下さいませ」


 不安も問い返しも、楽観的見方からの差し出口さえも一切口にせず、即座に返してくる言葉がこれだよ! 初めて出会った七歳の時から一生死ぬまでの間、俺は何度この人に心を掴まれることになるんだろう。


 手繰り寄せて捕まえたこの手を、俺は絶対に離さない。この先ずっと、それこそ死ぬまで、前を向き続けるこの方と同じ景色を見てやる。



 そんなこんなで、よくある帰り道の襲撃もよくある公爵家からの圧力も、すべて丸っとスルーして、俺たちは伯爵領地へ戦略的撤退を成功させた。


 人の背に負われて、籠の中に荷物よろしく仕舞われて! 人力リレーで、王都から領地まで駆け抜けたよ!!!


「こんなこともあろうかと、身体強化得意な魔術士を王都から子爵家と伯爵家への通り道に、勤務してもらってたの」


 えっへんと、自慢げに胸を張るラン姉。

 走ってくれた人たちに、あとで特別手当を用意しよ。一人一樽、酒樽を贈ろ。

 馬を飛ばすよりも早いって、本当だったんだ。




 これは、祝祭が終わってずいぶん後になってから、ラン姉に教えてもらったことだけど。

 元々アマリエラ様は有名で、離縁されて一気に同情が集まってた所に、新しい婚約者とらぶらぶペアルックで登場!

 お披露目と牽制兼ねた俺たちの装いが、お嬢様方や妙齢のお姉さま方の心にクリティカルヒットしたそうだ。


銀月(夜の女王)の月下の君が、金月(金の騎士)の夜空の君をパートナーに」


 この祝祭で、地味モブ男の俺に、夜空の君なんて二つ名がつけられた。


 ……ラン姉。

 こういう時、俺、どんな顔したらいいの?



最後までサブタイは迷いました(「戦う楽団」)。

参考にしたドアマットは、「ビジョルド」「チャリオン」「サラ国妃」、ピンときた方は、握手!

イスタ様は続編で救われましたが、サラ国妃は……うん……あんまりでしたよね、あの方。

参考にしました。

【注意】ざまあ、ざまあと言ってますが、これ本編ですので、ざまあ回ではありません。


次回11話 「政略結婚ですよ?」

夜の19時更新予定です、お楽しみに!

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