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6話 〈冥氷炎狼 ケルコシウス〉

MP、STMが回復した俺は、道中に襲ってくる狼達を倒しながら山頂に向かって行った。道中で《悪魔翼》の練習もしたが、ある程度の高さまで飛ぶことはできたが、そこからの移動は、まだ練習が必要みたいだった。

そんなことをしながらついに山頂に到着した。


「何だよ……”アレ”………」


山頂付近は何故か更地になっていた。そして、そこに”ソレ”はいた。一軒家程の体躯で、右は炎、左は氷、真ん中は瘴気を纏った3つの頭、そして、肌を焦がすような威圧感。これまでに戦ってきたモンスターとは”格”が違う。


「「「アオォォォォン!」」」


『〈冥氷炎狼 ケルコシウス〉に遭遇しました。健闘を祈ります』


「〈冥氷炎狼 ケルコシウス〉??」


突如《危険感知》がとんでもない勢いで作動した。〈冥氷炎狼 ケルコシウス〉を見ると、炎を纏った頭が、軽自動車程の大きさの炎弾を放ってきた。


「危なっ!《危険感知》が無かったらゲームオーバーだぞ!」


更に、氷を纏った頭が幾つもの氷槍を放ってくる。


「遠距離では不利、なら近づけば良いだけのことっ!!!」


《疾走》を発動し、向かって来る氷槍を避けながら〈冥氷炎狼 ケルコシウス〉に近づく。それに気づいたケルコシウスは、瘴気を纏った頭で瘴気のブレスを放ってきたが、


「俺に瘴気は効かないぜ!!」


「「「?!!」」」


そう、俺には《瘴気無効》のスキルがある。それを知らないケルコシウスは、驚きで一瞬の隙を作ってしまう。


「《ダークレイン》!」


そこにすかさず《ダークレイン》を放ち、全弾当て、〈鈍足〉を付与することに成功する。


「「「グルゥゥ」」」


《ダークレイン》のダメージ自体はあまり気になっていないようだが、〈鈍足〉を付与されたことで苛立ったのか、ケルコシウスは、雑な横振りを放ってきたが、《危険感知》で何か攻撃が来ることは分かっていたので、《ハイジャンプ》で別の場所に移り、《ダークウエポン》で創った短剣を振るうが、あまり深くは傷がつかなかった。


(深くは傷つかないか。何回も斬りつけてHPを削るか?いや、長期戦はこっちが不利か。なら、急所(クリティカル)を狙うか?危険だがやる価値はあるな。うん、この策で行くか。まずは……)


「《悪魔瘴気》」


ダメージは与えなくて良い。とりあえず俺の姿を隠す。《疾走》の効果時間はまだ10秒程残っている。その間に瘴気を辺りにばら撒く。瘴気の状態異常が効かなくても、姿自体は瘴気で隠れるからな。辺りに瘴気をばら撒いている際、炎槍や氷槍を放ってきたが、途中から俺の姿が見えなくなったのか、辺り一帯を見回し始めた。

(そろそろだな)

ケルコシウスは炎と氷のブレスを吐いて俺に攻撃を当てようとするが、そこに俺は居ない。

「喰らえ!!!」

ケルコシウスに気づかれないように《悪魔翼》で上に飛び上がった俺は、《ダークウエポン》で創った大剣を構え、首目掛けて急降下する。

「オラァァァ!!」


「ギャァンッ」


大剣の攻撃力、落下のエネルギー、落下の速度、諸々が合わさり、先程の短剣とは比べ物にならない程の威力の攻撃が無防備な炎の首に直撃する。


「「?!!!」」


他の頭の目が驚愕により大きく見開かれる。が、関係ない!


「ぶった斬れろォォォォ!」


そして俺は、炎の首を斬り落とした。


「「ガアァァァァ!!!」」


顔を怒りに染めたケルコシウスが噛み付いてくる。


「クゥッ」


それを避けることが出来たが、すかさず放ってきた前足による横振りを喰らってしまい10メートル程吹き飛ばされてしまった。


「大剣でガード出来なかったらゲームオーバーだったぞ」


先程の攻撃により、大剣のガードがあったものの、HPが残り僅かになっていた。が、


「ここまで来たんだ。勝つしか無えよな!!!」


HPが少なくたって結局当たんなきゃ問題ない(ノープログレム)だ!!楽しく成ってきたなぁ!


「行くぞぉ!!」


「「アオーーーーン!!!!」」


俺がケルコシウス目掛けて走り出すと、ケルコシウスが幾つもの氷槍を此方に向けて放ってくる。


「それはもう飽きたぞォ!ケルコシウス!!!」


俺は氷槍を横に飛んで躱す。が、《危険感知》が作動する。避けた先を見ると、氷の槍が地面から此方に向けて生えていた。


「んなぁッ!」


俺はそれを身体を捻り、ギリギリで躱す。


「やるじゃねぇか」


そう言うとケルコシウスが笑ったように見えた。再び走り出すと、今度は瘴気のブレスを放ってきた。


「だからそれは効かなッッ」


瘴気に突っ込もうとしたら、また《危険感知》が作動した。慌ててジャンプすると、瘴気に隠れていた氷の槍があった。


「ハハッ、俺の真似か?面白い!!!だけどもう近づいたぜ!!」


ケルコシウスの氷を纏った爪での横薙ぎを避け、お返しとばかりに《ダークウエポン》で創った短剣で首もとを斬りつける。


「浅いッ!ならぁ!!」


もう片方の手にも《ダークウエポン》で短剣を創り、更に斬りつける。


「ハァァァァ!!!」


「ガァッ」


2つの短剣で氷の頭の首もとを斬り続ける。ケルコシウスは、俺に噛み付いたり、爪で斬りつけたりするが、俺はすべて避けつつ、10、20、40、80と《シャープスラッシュ》も使い斬りつけていく。


そして俺は氷の首も斬り落とした。


「残ったのはお前だけだぜ」


「ガアァァァァ!」


最後の悪足掻きかケルコシウスは俺に向かって噛み付いてくる。


「それを待ってたぜぇ!!」


俺はそう言うとケルコシウスの開いた口に飛び込む。

「!??」


ケルコシウスが驚くがそんなの気にする暇はない。


「《急所突き》ィ!!」


頭の脳味噌目掛けて《急所突き》を発動させる。更に追い打ちで、もう片方の短剣でも突きを放つ。

すると、ケルコシウスは倒れ、ポリゴンとなって崩れていく。


『冥狼山の主、〈冥氷炎狼 ケルコシウス〉を討伐しました』

『討伐者報酬〈冥氷炎爪アグゲル〉を獲得しました』

『レベルがアップしました!』

『《闇魔法》のレベルがアップしました!』

『《短剣術》のレベルがアップしました!』

『《MP自動回復》のレベルがアップしました!』

『《危険感知》のレベルがアップしました!』

『《ダークレイン》が《ブラックバレット》に変化しました!』

『《シャープスラッシュ》が《アサシンスラッシュ》に変化しました!』

『スキル《二重斬り》を獲得しました!』

『スキル《冥門顕現》を獲得しました!』


「楽しかったぜ、ケルコシウス」

戦闘描写って難しい。

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