11話 逃亡先の森
あの門兵達は何とか撒いて森に逃げ込むことが出来た。俺は一体何やってんだよ。不法侵入なんだから門から出ないのが普通だろ。一週間のもやし生活が頭にきてんのか?
「ハァ、ハァ…」
クソ、息切れなんて無いはずなのにめっちゃ疲れた。今思い返すと全員殺せば良かったかもしれん。できるできないは置いておくとして。
「とりあえず逃亡成功。そういや、アイツらに連絡入れとかないとな」
今思い出したが俺の親愛なるPK仲間達に連絡を入れるのを忘れていた。拠点がどこにあるとか聞かないと行けないしもっと早く思い出せたら良かったのに。
「まあ、過ぎたことを気にしても仕方ないか。そうそう、さっき手に入れた称号でも確認しておくか」
《最初の一歩》
悪魔として非道な行為を何度も犯した者に贈られる称号。これは悪魔としての最初の一歩に過ぎない。この程度で怯えるならば悪魔などやめてしまえ。
効果
NPCからの好感度、印象の低下
特定NPCからの好感度、印象の増加
《咎人》
一定以上の罪を犯した者に送られる称号。大丈夫だ。まだ戻れる。今すぐ教会に行くのだ。
効果
NPCからの好感度、印象の低下
特定NPCからの好感度、印象の増加
「う~ん特にメリットは無いな」
NPCからの好感度低下とかあっても良いことはないな。まあ、あんま気にならんけど。でも街に居づらくなるのはちょっとだるいな。買い物するときにぼったくられるかもしれん。いや、流石にそれは……無いよな?あの街次行くときは警備を強化してると思うし別の街にでも行こうかな。別の街の場所知らんけ───
「──っと危な!」
そんなことをボーっと考えていたらいきなり《危険感知》が作動したためその場に一瞬でしゃがむ。その瞬間、背後からちょうど俺の頭があった場所を矢が通り過ぎ、真後ろの木に突き刺さった。因みに《危険感知》はスキルレベルが上がったためだいたい体のどの位置に攻撃が来るかなんとな~くわかるようになったのだ。それはさておき、
「いきなりなんだ?辺りを見回しても人なんか見えんが…どこにいるんだ?」
おおよその方向は矢が向かってきた向きからわかる。だが、その場所がわからん。今も移動してるなら少しは姿が見えるはず。だから矢を放った場所から動いていないはず。木の後ろか?それとも隠密スキル?アイテム?まあ何でも良い。
「居る方向が分かればこっちのもんだ!」
矢が放たれてきた方向に向かって〈疾走〉を使い〈悪魔瘴気〉を放出しながら木を縫うように走り出す。牽制でブラックバレットを放ってみるが手応えを感じない。
再び俺に向かって矢が足の腿辺りに放たれるが、それを躱し、矢が放たれてきた方向に転換して走る。
その後も三度程矢が放たれるが、そのすべてを装備したアグゲルで弾き、放たれた方向を頼りにして更に近づく。
「見えた。木の上か!」
「〈ペネレイトショット〉」
「チィッ!!」
見つけたと思った途端にもう一発きやがった。
ん?……さっきより速い!!
「何のこれしきィ!」
「はぁ!?」
胸に一直線に放たれた矢を、体をギリギリで逸らして肩で受ける。そして〈ハイジャンプ〉で木に登る。
HPは四分の一を切ったが、ここまで近づいたら問題ない。
「さあ、一方的な近接戦闘の始ま─────────あれ?お前夜か?」
「今更気づくんだね…」
何とそこには俺の親愛なる幼馴染み兼PK仲間の夜こと兎鷹夜空がいた。
諸事情により、来年の3月中旬まで投稿を停止しようと思います。楽しみにしてくれて居た方々、誠に申し訳ありません。
追記
詳しいことは活動報告に書いてあります。