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「ほぇえええええ……これが新時代の入口ってとこですかぁ!?」
私達は今、街に出来た新しい遊園地に来ていた。
休日ともあり、なかなかの混み具合に少し圧倒され気味だ。
「真美にとってはね、むしろ真美には何でもそう思うんじゃない?」
などという皮肉もまったく受け付けずに私は目の前にある、大きな門を見上げて感嘆の声をあげることしか出来なかった。
「じゃあ私はちょっとこれを交換してくるからね?」
そう言ってサッチーは紙をぺらぺらとしてみせてから、どこかに向かって走って入ってしまった。
残された私とグレイは呆然とその門を見上げていた。
「ヘブンズゲート……」
「ん? 何ソレ?」
私はグレイの言った事が妙に記憶の奥を突いたような感触がしたので聞き直してみた。
「僕のいた“天界”と、此処“人間界”を結ぶ門の名前……」
「へぇ~……格好いい名前だね♪」
「でも正式名称は違う……“ヘブンズゲート”は僕しか呼んでない…本当はもっともっと長い名前で天使の言葉が使われてるんだ」
「そうなんだ? 良い名前なのにね?」
それを言うと恥ずかしそうに顔を背けるグレイ。
え? 私なんかいけないこと言っちゃった雰囲気じゃん!?
これはどうするべきなんだろう!? どうすればいいんだろう!? ていうかサッチー遅くないですかぃ!?
「忘れた頃にやってくる!」
「うをぃ! いきなり後ろから話しかけないでよ!? ビックリするじゃん!」
私がそう言うとサッチーは、何を言ってるの、とでも言いたげに小首を傾げて、
「ビックリさせる為にいきなり後ろから話かけたんだけど?」
「ぐぁああああああ!! そうきましたか! よし! その喧嘩買う!」
「売ってない、あの馬鹿はほっといて先に入ってよっかグレイ君?」
「え? ……はぃ」
のせられるなグレイ君よ……それはサッチーの罠であるぞ……。
……あ、置いてかないで! 行きますから! 私もいきますからぁ!
そういう具合に私達の楽しい休日は始まったのだった。
あれ? 私現時点で楽しかったら普通にマゾってことだよね? それだけはいやだあああああ!!
――――――――――――
僕は幸さんにつれられて、とある乗り物まできていた。
真木さんも後ろからかなりぜいぜいといいながら付いてきている。
「じゃあまずはこれに乗るわよ?」
「ジェットコースターかぁ! こんなの怖くないし楽勝楽勝♪」
真木さん……足の震えは走ってきたからですか? そうなのですか?
すると幸さんの雰囲気が変わった気がした。
これは真木さんを虐める時の気配だ。
「真木なら大丈夫よね♪ もちろん両手は上げっぱなしでしょ?」
「え!? も、もちろんだよ!?」
「さっすがぁ♪ それと、やっぱり一番前ってのが乙だよねぇ♪」
「ま……まぁねぇ! 一番前しかないっしょ?」
明らかに言葉をつっかえているような感じがあるのですが……真木さん、ホントに大丈夫でしょうか?
そんな心配を余所に僕達の順番が回ってきた。
これがジェットコースターという乗り物ですか……おもしろそうです♪
横で震えて僕の服の袖にしがみついている真木さんには申し訳ないですが、乗ってみたいという欲求にかてる訳ありません。
ということで、僕達は、この乗り物に乗りこんでいった。