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皆さんに楽しんでいただければ幸いです♪
真木さんがいきなり目の前で、僕の味方と叫んでくれた。
嬉しかった。
誰も僕の味方じゃないと思っていたから。
嬉しすぎて、今日も我慢出来そうに無かった。
「あ、グレイ!?」
幸さんが駆け寄ってくる。
いきなり泣き出したのだから当然と言えば当然なんだけど……。
胸にホールドするのは何でなんだろう?
少し苦しかったので藻掻く。
すると、顔のあたりにより凶悪な柔らかさが感じられた。
「フフフ、いいのよ甘えても、私もあなたの味方だから」
「……どう……して……?」
「ん~……私の理由は単純。
真木が味方をしたから、それだけで私はグレイの味方になれる」
幸さんはそう言って僕を離してくれた。
そして、おもむろに隅っこにおいてある服を二、三着取りあげて、しばらく思案した後、僕に渡す。
僕はそれを、反射的に受け取った。
ファッションなんて考えた事も無かったから、いいのかは分からないが、真木さんも頷いているところをみるといいのだろうか?
「えっと……」
「行きましょう遊園地へ、楽しいって事を教えてあげる、真木がね」
「私!? まぁ私も教えるんだけどね!? サッチーも教えてあげようよ!?」
「当たり前でしょ? 何言ってるの、真木?」
真木さんと幸さんが言い合っている中で、僕は着替える。
そういえば、いつだったか、僕にプレゼントをくれた人がいたような……。
そんな事を考えていると、着替えも終わる。
すると、目の前に二人の手が差し出された。
「いこう、遊園地に!」
「楽しいって教えてあげるから!」
「は、はい……!」
僕はそんな事よりも二人で居る方が楽しい。
そう思ったが、言葉に出すのが恥ずかしかったので、それは胸の内に秘めておく事にした。
願わくは永久に忘れないように。
「早くこないかなぁ……早く来ないかなぁ……」
真木さんが、待ちきれないとばかりにうろうろと歩き回っている。
その姿はどこかかわいげのあるものだった。
「そんなこと言ってもこないものは来ないわよ? ゆっくり待ちましょう」
それを幸さんがなだめる。
それでも真木さんの挙動は止まらない。
「あぁぁぁぁぁあああぁぁああぁぁああ!!!! はやくこないかなぁああああああああああああああああああああああ!!」
「うるさい!!」
先さんの拳骨が真木さん頭をクリティカルにヒットする。
それ以降静かに……でもこれは危ないんじゃないかなぁと思う。
「さて静かになった事だし、静かに待ちましょうか♪」
「大丈夫なんでしょうか……?」
「大丈夫大丈夫♪ 真木がこれくらいで倒れる訳ないじゃない♪ バスがきたらすぐに起きあがるよ♪」
ほんとうかなぁ……。
そうこうしているとバスが到着した。
すると今まで白目を剥いていた真木さんが……
「やっときたああああああああ!!!」
元気良く飛び上がった。
真木さん恐るべし……。
そしてそれを予測していた幸さんも流石だ……。
僕たちは普通にバスに乗り込んむ。
そして僕はありふれた小さな幸せに少し浸ってしまって、鈍ってしまっていたようだ。
だからこそ気付かなかった。
遥か天上より僕達を見下ろす影に……。