【第3話】魔人王
諸般の事情により2週間程更新が出来ませんでした
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「さて《魔人王》よ、そこに座るといい」
「はっ!」
第1階層の件があったせいか《魔人王》はまだ緊張している様に見える
見た目は角が生えており、ブライトをもっと若くした感じで…
こいつもイケメンだよ、ちくしょーが
「そう固くなるなよ?第1階層の件は本当に咎める気はないからさ」
「はっ!ありがとうございます!」
ようやく緊張が解けてきたようだ
「さてと…記憶がない今、まずは名前を教えてくれないか?まさか《魔人王》が名前って訳でもないだろ?」
「はい!私の名前はシュミットです。以前から魔神王様には名前で呼ばれてました」
《魔人王:シュミット》ね、よし覚えた!
「さて、本題に入ろうか?シュミットが管理している第2階層はどんな所なんだ?」
「は、では失礼ながら…まずは魔界が逆円錐型になっているのは覚えておりますでしょうか?」
「いや、覚えてはいないが書物に書いてあったな…確か階層が深くなるにつれて面積は小さくなっていくんだったか?」
因みに俺の住む最深部層の半径は10km程度しかないらしい
「左様でございます。第2階層の半径は約500km、人間界と同じ様に町や村が点在しており、第2階層全体で約30000人が住んでおります」
半径500kmに30000人か…
「面積の割に魔人の数が少ない気もするが…」
「第2階層の大半は農地や牧場ですから、確かに広さの割には然程人数はいませんね」
農地!?牧場!?
「第2階層は4つのエリアに分かれてます。1つのエリア毎に見ると、エリア最大の街で約3000人、約1000人が住む町が2つ、約300人か住む村が3つある位です」
1つのエリアに約6000人か
「村では主に農地に巻く肥料や、魔牛や魔豚や魔鶏等の家畜にやる飼料を生産しています」
魔牛や魔豚って…魔獣扱いじゃないんだ
「町では牧場で家畜を生産し、街では大規模農場で米・小麦・野菜などを生産しております」
米や小麦まであるのか…まぁ、元々飽食の日本人としてはありがたい限りだが
「村は飼料・肥料を売り、町は家畜を売り、街は農産物を売る。1つのエリアで流通が成り立っている形です」
「生産量は足りてるのか?」
「むしろ毎年余ってますね」
余る?
「我々魔界の住人は総じて魔法が得意ですから…土壌は常に肥え、水も魔力を含んだ良質の水です。不作になる事がなく、家畜の成長も早いんです」
な、何てずるいんだ、魔法の力…
地球にこいつらいるだけで食料問題ほとんど片付くじゃないか
「時空間魔法で保管体制もばっちりなんで、100年何も生産しなくても第2階層の住人は飢えません」
…やり過ぎだよ、お前ら
「目下の課題は、余っている農産物や畜産物をどう処理するかですから」
…笑えそうで笑えないから話題を変えよう
「エリアの中で政治とかはあるのか?」
「街には私の直属の部下1名を派遣し、エリア全体の管理をさせています。町や村には住人から選ばれた代表者がいて、その代表者が町や村を管理・運営していますね」
一部には民主主義も取り入れられてるのか…
「管理・運営と言っても、生産物の販売価格を決める位ですから、然程大変ではないんですよ?」
「通貨はどうなっているんだ?」
「金貨・銀貨・銅貨がありますが、わざわざ通貨でやり取りをせずに物々交換で済ましていると言うのが実情でしょうか?」
確かに6000人規模で、全員が農業や畜産業に関わっているんであれば通貨でやり取りせずに
『肥料100kg⇔農産物30kgで交換な!』
『農産物30kg⇔魔牛肉10kgで交換よ!』
的な方が住人としては手っ取り早いのかも知れないな「軍隊と言うものはあるのか?」
「各エリアには【治安維持隊】を500名ずつ配置しています」
警察みたいなものか?
「ただ【治安維持隊】って言っても、犯罪を犯す魔人など10年に1人2人の話なので、主な仕事は〔私のいる城に余った生産物を運ぶ〕のと〔産出された金・銀・銅を通貨に鋳造する〕位ですけどね」
最早治安維持全然関係ねぇ…
「それ位に平和なんです、第2階層は!」
第1階層の管理者が聞いたら怒りだすぞ、おい
「そう言えばシュミットの城って第2階層の何処にあるんだ?」
「第2階層のちょうど中心にあります。ここには3000人の《魔人王直属部隊》が控えております」
3000人?
「平和だと言う割には随分多くないか?」
「ここは色々と重要な施設が多いですから、それなりに人員は必要なんです」
「重要な施設?」
今聞いた限りじゃ、生産物の保管庫位しか思い浮かばない
「まずは生産が順調過ぎで毎年必要以上に生産されてしまう農産物・畜産物を保管する食料保管庫」
やっぱりな…
「あと【治安維持隊】が鋳造したが、流通しなかった通貨を保管する通貨保管庫」
流通しなかったのかよ…
「あとは街・町・村を開拓時に産出されたオリハルコン等の鉱物・金属を保管する鉱物保管庫」
「保管庫ばっかりかよ!」
思わずツッコミを入れてしまった
「保管庫は重要な施設ですが、もっと重要な施設が1つあります」
保管庫の説明より先にそっち説明しろよ
わざとか?わざとなのか?
「私が住む城の地下には【始まりの迷宮】がございます」
「【始まりの迷宮】?」
やっとファンタジーに定番の単語が出てきたぜ…
「はい。第1階層の管理者、人間界で言うところの《魔王》が管理する城の地下には迷宮がございます。その迷宮の最下層には第2階層と繋がる転移魔法陣があるのです」
なるほど
「第2階層より各階層に王が配置される為、魔界ではその迷宮を【始まりの迷宮】と呼んでいますが、人間界では魔界は第2階層までしか認識されておりませんので、《魔王》の城の地下迷宮は【終わりの迷宮】と呼ばれているそうです」
終わりと思っているものが、実は始まりでしかない…人間界に取っては悲しい現実だな
「人間界に取っては【終わりの始まりの迷宮】って事か…」
「す、素晴らしい!今後は【終わりの始まりの迷宮】と呼び名を変えましょう!」
ぼそっと呟いた言葉にやらたと感動するシュミット
「名称など何でもいい。迷宮の説明を続けろ」
「はっ!第1階層の迷宮最下層の転移魔法陣は、第2階層の迷宮最下層の転移魔法陣と繋がっており、第2階層の迷宮を踏破すると、私が住む城の内部に入れます」
過去に史上最強の勇者が何度も侵入した迷宮がそこって事か
「ここに3000人もの《魔人王直属部隊》を配置しているのは、過去にこの迷宮内に保管されている生産物や通貨、鉱物が大量に盗まれたからです」
あぁ、勇者と言う名の盗賊さんのお話ですね
「盗まれた量などたかが知れておりますが、勇者如きに何度も侵入された事実は、魔人王の沽券に関わりますから…当時の魔人王はそれは大変なお怒りでした」
結果、なぶり殺しにされたんですね、わかります
「結局、まだ人間達は魔人王の城には足を踏み入れてはいないのか?」
「はい、その勇者以降は第1階層の転移魔法陣のある最下層にまですら行けていません」
「最後の質問だ。もし勇者達が第2階層から第3階層には行くにはどうやったら行けるんだ?」
「王の間の奥に第3階層に繋がる転移魔法陣があります。私を倒さねばその間は開きませんので、永遠に人間が開く事はないでしょうが」
自信満々に言うシュミットを見て本当に開く事はないんだろうなと素直に思ってしまう
「私達王が転移魔法陣を使用する時のみ、全ての階層へ行く事が可能となります」
「それは便利な仕様だな」
「その魔法陣を作ったのが魔神王様でございます」
記憶に一切ございませんが
過去の俺、すげーわ!