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「墨からおっけーでたからいくよー…… ってなにしてんの? 」

 身もだえる由希をよそにただ楽しそうに由希をくすぐる昂輝の姿に大之助は首をかしげた。 いつのまに仲良くなったのだろうかと考えた大之助だったがまあいいかと家の戸締りを始める。

「もうやめて」

 由希の言葉に我に返った昂輝は悪いと由希を解放した。 激しく息継ぎを繰り返す由希を抱え上げた昂輝は玄関に向かっていた大之助の後を追う。 もちろん、由希に靴を履かせて。


 次に由希が正気に戻ったときは森の中だった。

 由希は昴輝におんぶされており、二人が歩いているときに由希は目覚める。 

「あ、起きたか? もうすぐ着くからな」

 昂輝の言葉と共に森が開かれた。 一つの白い建物が由希の目の前に現れ、そばでは一台のロボットがうろうろと動き回っている。 その姿を見て大之助はじゃあと背を向けて去っていく。

「大之助さんは入らないのですか? 」

「言っただろうが、化け物たちは入れねぇと」

 そうだったと由希が思い出したとき、うろうろとしていたロボットが由希たちの目の前にやってきた。 そばに由希を下ろした昂輝の前でロボットはういんういんという音をたててぴこんともらす。

「昂輝さまですか? 」

「あぁ、それから連れとして由希という人間を連れてきた」

 ぴこんと音が鳴る。

 昂輝の隣にいた由希の周りを何度も何度も動き回り、ロボットは由希の目の前で止まった。 ういんという音ともう一度、ぴこんという音。

「人間が来るのは珍しい! 初めまして由希様! ご案内いたします」

 ロボットに促されて由希たちは建物の中へと足を踏み入れた。 ロボットが建物の中に入るともう一度、ぴこんという音。

 なんの音だろうかと由希が思う前に

「防犯ブザーをつけた音だ。 ここに入るにはこのロボットを介さないと入れないようになっているからな。 もし介さずに入れば直接政府直属の警察に連絡が入り、警察がすっ飛んでくるようになる」

 変なことはするなよ、と念を押す昂輝の言葉に由希はごくりとつばを飲みこんだ。 うなずいた由希を確認して昂輝は先を歩いていく。

 置いていかれないようについていった由希の目に学校の体育館のような場所にたどりつく。 子どものためなのかカラフルな色が壁に塗られており、ときおり人気のあるキャラクターのイラストが描かれている。

 その中で遊んでいる様々な子どもたちの姿がいた。 

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