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気象病気味ですが更新も頑張りますー!
結局俺の処罰は行動に比して軽いものではあった。俺と同行した騎士たちは譴責処分だが書類には残さない。二度とやるなよ、と言うことだ。
俺自身は譴責と罰金、そしてもう一つと三日間の営倉入り。二日間ぐっすり寝れました。あれこれひょっとしてむしろご褒美だったんじゃね。
ちなみに貴族の俺の場合、罰金は王都に戻ってから支払えばいいんだが、兵士の場合は給与からの天引きになる。小さな差別と言うか何というか。
当面の罰としてはそれで、後は敵が目の前にいる状況でもあり「後は武勲で補え」という事になった。この脳筋世界め。
問題は最後の一つだ。気が重い。ため息が出る。なかなかの黒歴史になりそうな気配だ。この世界でも黒歴史って言葉通じるのかな。何となくニュアンスは通じそうな気はする。
三日目あたりになるとさすがにそろそろ体動かしたくなるが、さすがにそれは無理。反面、面会禁止とかじゃないんでこの二日間もマックスたちが顔を出していろいろ情報を伝えてくれていた。
ただ差し入れはダメだそうだ。残念。営倉の食事はあまり美味いもんじゃないんだけど文句を言える立場ではないので我慢。そういえば俺が営倉で食っちゃ寝してる間に補給の第二陣が到着していたらしい。と言ってもさすがに贅沢できるような状況じゃないようだが。
あと俺は逃げる気なんぞはないんだけど、営倉なんで衛兵が常に二人体制で見張っている。仕事とはいえ向こうも退屈そうなんで時々話し相手になってもらっているが、今のところ戦況は膠着状態らしい。
三日目は早朝の衛兵交代時間に合わせるようにノイラートとシュンツェルが顔を出してくれた。二人とも表情が硬いが何かあったんだろうか。
「二人ともすまないな。何かあったのか?」
「いえ、戦況に変化はありません」
「にらみ合いの状況そのものは理解できました。まずそこからご説明します」
まず戦場全体を俯瞰してみる。フィノイの大神殿はゲームの場合、進入禁止の高山に埋まるような形で設置されていたが、この世界では高山の中腹に建っていて正面以外は近寄るのも困難。そのため、戦場は大神殿の正門部分に集中しているらしい。
「周囲の山からの侵攻は?」
「今のところはないようです」
三将軍のうちドレアクスは
だが現状、正門は
なんかちょっと引っかかったがまずは確認。
「王国軍はフィノイの正面にいる魔軍を半月状に取り囲んでおりますが、柵や土塁を構えて長期戦の構えです」
「そこが解らん。個々の強さで言えば兵士よりは魔物の方が強いかもしれんが、数はどうなんだ」
「数で言えば王国軍の方が多いのですが」
侯爵二人や騎士団長たちは魔軍の強さも理解しているので奴隷兵を連れてきてはいないらしいが、一部貴族の中には一族郎党に奴隷兵まで大挙して連れてきたのもいるのだという。
緊急出撃なのに無理に数を集めて連れてきただと?
「それって単に軍としての柔軟性を損なっているだけじゃねぇの」
「おっしゃる通りです。しかも数が多いので補給面での負担は大きい」
「最悪だな」
シュンツェルの説明に思わずため息と一緒に本音が口をついてしまった。ノイラートが続ける。
「初戦での印象も大きかったようです。魔軍の将軍らしき相手はどうやら
この世界の
ただ蜥蜴人や半魚人も普通の人間には脅威だが、亜竜人になるともう騎士とか上級冒険者とかが必須クラス。それでも犠牲者は覚悟しなきゃならん。兵士クラスだとうかつに近づくのさえ危険な相手だ。ゲームだとドレアクスやベリウレスの色違いが後半のランダムエンカウントするモンスターで登場するがどっちも強かったな。これは口には出せんけど。
「目撃者によると体長が人の二倍にもなり、その膂力も並みの魔物とは一線を画しているようでして」
「その大きさだとほとんど巨人サイズだな」
兵士のチップユニットが一マスサイズでボスクラスは縦横二マスの合計四マスサイズだから、確かに身長は普通の兵士の二倍だが。そんなところはゲーム準拠かよ。
そして将軍名乗るぐらいだから強いのは当然か。それでも復活前はゲーム後半でランダムエンカウントする雑魚より弱いんだが。復活後の強さはドレアクス同様かなり強敵だけど。
あれ、俺マゼルに三将軍は復活するって伝えてあったっけ……なかった気がする。必須情報ではないとはいえ、どこかでそれとなく注意喚起しておいたほうがいいかもな。
俺が内心でメモ帳を開いてる間にノイラートの説明が続く。
「初戦でわが軍の一部が痛い目を見てしまい、委縮しているものもいる模様。それゆえ野戦陣を構築した段階で膠着状態になっているようです」
「痛い目?」
初戦でベリウレスを甘く見た貴族の一人が手柄は自分のものと突っ込んで行った挙句、食われたんだという。
「食われたって」
「それが文字通りの意味らしく。相手の一撃で片腕を切り飛ばされると、そのままそこで腹部を食い破られたそうです」
「おいおい……」
俺様お前丸かじりってか。金属鎧じゃなく皮鎧かなんかだったんだろうか。そっちの方が動きやすいから、要所要所には金属を使っても全体は皮の鎧を好む貴族も一定数いる。装飾に関してはたまに目立つことを狙う装飾過多の奴もいるが、その辺は人それぞれなんでとりあえず考えない。なお俺はシンプルな方が好みだ。
「生きたまま腹を食いちぎられながら泣き叫び、苦痛と恐怖から助けを求める声、絶叫、更に骨ごと人体を咀嚼する音で恐れをなした周囲の兵から崩れたらしく」
「うーん」
パニック系恐竜映画で生きたままがりがり食われるのをリアルで見せられたようなもんか。まあ目の前で見たら怖いだろうねそれは。騎士クラスでも顔色悪くするぐらいはありそう。しかも貴族と言う指揮官戦死後じゃ崩れるのもしょうがないとも思える。
「敵軍の魔物が倒れた王国軍の兵を死体と言わず負傷者と言わず、その場で食らっているのを見てしまっており、一部の兵は士気が上がらないのが現状のようです」
「逆に復讐心を溢れさせている者もいるので、落差が相当に激しい雰囲気ですね」
そして戦意が低い軍を率いている貴族としては意地でも引くわけにもいかず、戦場に布陣は続けているって訳か。意欲に差がある集団ってのは全体を同じように動かしにくいから、全軍の動きが緩慢になってしまうのは解らんでもない。いくら脳筋世界とは言え騎士と一般兵と奴隷兵、それぞれに戦意の差があるのは当然だしなあ。
いままでの話からすると、復讐心で動く奴はクールダウンの時間が必要だとしても、やる気のある貴族にとっては戦意のない兵士の存在が腹立たしくてなおさら意地になるパターンに陥ってるな。緊急招集した集団の悪いところが出てやがる。予定通りとか、前もって指示があった場合なら意欲のあるやつだけ選んで連れてこれるが、とりあえず数をかき集めた状態だとどうしてもこういう熱意とかやる気の落差が出るんだよな。
しかしなんだな、やはりと言うか俺の予想はおおむね正しいようだ。
コメントに簡単にお返事。
サブタイトルですが、全部につけると多分更新が数日止まっちゃいますので、
適宜対応していけたらなと思います……。
短いタイトル考えるのが苦手なのです(^^;)
キャラ紹介ですが、これはあった方がいいのかな?
と判断に悩んでいます。
一つには私自身がうっかりなので
ついネタバレとかやらかしそうで躊躇している一面も(苦笑)
この辺り、活動報告の方に
Y/Nでいいですので書いていただけたらと思います。