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ブクマ登録してくださった方が17,100名様、評価してくださった方も4,700名様超えました!

感想もたくさんいただきました。本当に評価、応援、フォローなどありがとうございます!

誤字報告もありがとうございました……。いやほんと、トンデモ失敗でした(><)


落ち込んだりもしていますが更新頑張りますー!

 「ヴェルナー・ファン・ツェアフェルト子爵が到着されました」

 「通せ」

 「失礼いたします」


 気分的には法廷に出頭したような気分だ。あんまり間違ってないか。事情聴取とは言え軍法会議に近いからな。あの時は他に方法が思いつかなかったんだが法的には全面的に俺が悪いんで大人しくするしかない。

 とりあえず手土産と言うか証拠もあるし死刑とかはないだろう。


 本陣に入ると正面にグリュンディング公爵が怖い顔をして睨んでいて、その横でセイファート将爵がいつもの顔でこっちを見ている。補給部隊を率いてきたということだがさすがに将爵と言う地位だと席次もあそこか。

 年齢はどっちも高齢って言うかこの世界だと老齢って言う方が近い。まあ重鎮としての迫力はある。


 さらに第一騎士団と第二騎士団の団長がそれぞれ左右に分かれて座ってて、そこから侯爵家、魔術師隊の隊長らしき人、伯爵家の方々と言ったやんごとなき皆様が並んでいらっしゃいます。

 うーん。伯爵家は大体が父より少し若いぐらいだな。三〇代から四〇代半ばあたりの、大きな武功を望む世代という言い方もできるか。両騎士団長や侯爵、魔術師隊の隊長あたりはそれより年上。


 「ツェアフェルト子爵、まず主張を聴こうか」


 おや前提も何もなしか。罵倒ぐらいは覚悟していたが。状況は一応全員が理解していると判断していいんだろうな。


 「はっ。ではまず事実を申し上げます」


 この時点では人の名前は一応出さず、なるべく簡潔に、でも言うことはきっちり言う形でなるべく客観的になるように事実を説明する。いきなり自己弁護だと悪いことしてますと主張するようなもんだしな。


 「事実関係は以上です。この行動は……」


 今度は行動の理由を説明する。こっちは俺の主観も混じるが行動の正当性を主張するためには必要なことだ。別にやましいことはない……わけでもないか。前世の知識があるってのはある意味でやましいな。

 まあ言っても信じてもらえないだろうからこの際考えない。


 「偽りではなかろうな」

 「本件は既に王都にも使者を出したほか、ハルティング一家も王都に向かっております。王都に問い合わせの使者をお出しください。その間、私の身柄は営倉に入れていただいても文句はありません」


 軽く脅し返す。俺も一応子爵を名乗れるからな。単に疑いだけで貴族である俺を罪人扱いするんなら後でしっかりやり返しますよ、と副音声で言ってやったらさすがに黙った。


 「ハルティング家をここまで同行しなかった理由は」

 「ヴァレリッツの跡を見ておりましたので。村人にあの惨状を伴うような戦場は酷だと判断した結果です」

 「逃亡したのではないのだな」

 「家名にかけて逃亡ではありません」


 何人かの貴族が次々と厭味ったらしく言ってきたがこの程度では怒らない。怒りはアーレア村相手にぶちまけたせいか怒るための燃料不足だ。我ながら落ち着いてるな。

 家名に誓うと言うのは一族先祖代々の名誉も含んで、と言う意味だ。つまり俺一人の問題ではないという事になり、ひいては国家に仕える貴族ツェアフェルト伯爵家としてやましい事はないという意味で、王に誓う事の次に重要な誓いとなる。


 「事情を伝えて他人に任せてもよかったのではないかね」

 「ご説明した通り、私があの状態で駆けつけてなお勇者の家族は危ない状況でした。独断の批判は甘受いたしますが間違ってはいなかったと判断しております」

 「他の軍に援助を求めてもよかったのでは」

 「あの場には第二騎士団しかおらず、また他の軍の方がいつどこに到着するのかもわかりません。それに多数で動くには食料が足りませんでした」


 んー。伯爵家以下の皆様方がなんかネチネチしつこいな。……あー、そういう事ね、なるほど。出る杭は叩いておきたいのはどこの国でも同じか。乗ってやってもいいんだがマゼルやその家族に延焼すると怖いな。無難に切り抜けよう。

 なあにこの程度、前世でブラック企業の社長の前でプレゼンして文字の位置がズレてるとか、まるで重箱の隅を電子顕微鏡で突っ込まれたような経験に比べれば大したことでもない。まさかそんな経験が生きてくるとは思わなかったが。


 「魔族がいたというのは事実か」

 「おそらく、としか申せませんが。そういえば退治した際に謎の石を発見いたしました」

 「見せてもらおう」


 シュンツェルが土ごと掘り起こしたあの黒い宝石のようなものを袋のまま従卒らしい人物に渡す。開いて土の中にある中身を見ると将爵と魔術師隊隊長がなんか難しい顔になった。何だろうか。

 それからも時にのらりくらりと、いわれなき中傷には毅然と応じる事、体感で三〇分以上。嫌がらせみたいな質問か揚げ足取りばかりになり始めたんでいい加減疲れてきたなと思った頃。


 「そこまでにしようか。卿の主張は解った。一度退席せよ」

 「はっ」


 議長、もとい公爵の一言で第一ラウンド終了。ありがたい。大人しく退席させていただきますかね。


 「将爵、両侯爵、両団長、魔術師隊隊長はお残りいただきたい。伯爵以下の者たちは念のため敵の襲撃に備えるため前線に戻ってもらおう」

 「公爵、それは……」

 「人数が多すぎても話は纏まらぬ。残る者たちが信用できぬと申されるか?」

 「い、いえ、滅相もない」


 貴族の一人がなんか抵抗して轟沈したのを背中に聴きながら本陣の天幕をでて、そのすぐ傍にある控えのテントに入る。

 あー疲れた。地べたに座ってようやく一息。無罪放免はないだろう。悪いことは悪い。どんな罰が来るかなあ。




 ヴェルナーの後に伯爵たちが全員退席したのを確認し、公爵は一度座りなおした。そして大きく一息ついて、残った全員を見渡し口を開く。


 「さて、ツェアフェルト子爵の今回の行動に対し、諸卿の見解を聴こうか」

 「逃亡ではないと判断いたします」


 公爵の問いにまず口を開いたのは第二騎士団団長のヒンデルマンである。ヒンデルマンとヴェルナーにはこの任務の時まで直接の面識はなかったが、以前からヴェルナーを高く評価していた。


 「子爵は魔物暴走(スタンピード)の際に最も危険な殿(しんがり)に自ら身を置き、かつ多くの将兵を生還させました。今更臆病風に吹かれることもないかと」

 「今回は別かもしれぬが?」


 ノルポト侯爵が口を開いたが、悪意があるというほどではない。純粋に確認のためと言う口調である。


 「やや独断専行のきらいはあるが臆病ではあるまい。態度も堂々としていた。勇者の家族に目を向けなかったのは国としても失態ではある。功績として評価しないわけにはいかん」


 第一騎士団団長のフィルスマイアーがそう応じた。ヴェルナーとは特に関係があるわけでもないが悪意もない。淡々と事実だけを述べている。

 もっともノルポト侯爵も「確かに独断の傾向はありますな」と応じているのでヴェルナーに対する共通認識に近いものにはなっているかもしれない。ヒンデルマンが再び口を開く。


 「若いわりに随分と落ち着いておりましたな。やましいところはないという事なのでしょうか」

 「行動は独断専行だがあの冷静な態度はなんともちぐはぐではありましたな」


 ヒンデルマンの発言にそう続けたのはシュラム侯爵である。沈黙している将爵を横目に魔術師隊隊長が口を開いた。


 「調査してみなければわかりませんが、子爵はかなりの勲功を上げているかもしれません」

 「どういうことかね」


 公爵の問いに魔術師隊隊長はヴェルナーが回収してきた石をもう一度見る。


 「この石は魔物暴走の際やヴェリーザ砦の敵将を斃した際に回収されたものと同様の物に見えます」

 「と言うよりじゃ」


 ここで将爵が口を開いた。


 「一度見ただけじゃが、儂の目にはヴェリーザ砦の敵将を斃した者が回収してきたものと同じに見える」


 全員の間に小さく動揺が広がった。将爵は難しい顔のままである。


 「まさか、魔将?」

 「信じられません」

 「儂もそこまでは言っておらぬ。じゃが魔術師隊隊長、この石は厳重に保管し王都で調査をしてもらいたい」

 「承知いたしました」


 魔術師隊隊長が恭しく頭を下げて応じ、そのまま注意深くしまい込む。それを横目にシュラム侯が口を開いた。


 「その謎の石の件はそれとして、子爵の離脱行為に対してですが」

 「勇者の家族を救った功績は功績として、問題がなかったわけではない。将爵はどのように思われるか」


 厳罰を望む声は一人もいなかった。それを踏まえたうえでの公爵の発言に将爵が顎を撫でながら口を開く。


 「そうじゃのう……」

ちょっと驚いたのは先日いただきました感想の

「⁉️と色つきでかくと、何となくチープに感じます」

とのコメントです。

これ(⁉︎)、私の環境だと執筆中も確認時も白黒で、

テキストの!と?がくっついて表示されているだけのように見えるのです。


二字分が一文字サイズに収まるので、縦読みの際に便利だったため

パソコンの変換で選べるのをそのまま使っていたのですが、

色付きで見えている方がいることを二か月以上知りませんでした。


突然色が変わると読みにくいと思いますので、

これは「!?」の二文字の形に直しておきます。


教えていただきましてありがとうございます。

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