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瞬間風速(順位)ですが日間ファンタジー異世界転生/転移ランキングで45位に入っていました! ベスト50入ったの嬉しいです! でも順位の前後が大御所の作品ばかりで戸惑っています(^^;)
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行きは急いで難民を管理下に置く必要があったんでそれなりに急ぎの行軍をした結果、四日で国境まで到着したが、帰りは難民の足に合わせているんで二十日以上かかっている。
クナープ侯領での旧トライオット地方の情報収集期間も含めるとひと月は王都を離れていることになる。休学明けに授業についていけるかどうか不安になってきた。
隊や難民の消費物資の量は考えない。頭と胃が痛くなるからな。そういうのは専任の人間が苦労すればいい。俺は悪くない。うん。
それでも王都まであと数日ってところまで来たんで、気を抜くわけにはいかないが先が見えてきたという安堵感は否定できない。
道中の魔物は大体が冒険者と傭兵団の警戒網で退治されていたが、何度かは兵士のところまで来る奴らもいた。本来それが役割の兵士たちに瞬殺されて終わったが。
難民の小さなトラブルは何度か発生しているが、今のところ死亡者が出るような事件にはなってない。まあ喧嘩をするほど体力がある奴は優先的に労働を振り分けることになるので、喧嘩する気にもならなくなるのだろうが。
もっともほぼ二十日間歩き詰めだし、それだけ体力がある奴はむしろ珍しくなってきてはいる。天候に恵まれていることだけは幸いだなと思いながら空を見上げてしまう。
あと必然的に多くなったのは調整とか調停とか簡易的な裁判とか。頭の中では解っていたが、納得させるような調停案をその場で提案するのはなかなか難しい。幸いと言うか、大きな事態は首脳部での会議で決まるので大人に丸投げ。
まあそれに何より脅しが効いている。と言っても殺人と婦女暴行は死刑にすると宣言しただけだ。冒険者や傭兵が狩ってきた、魔物や魔獣の切り取った首をずらっと並べた前でだが。
普通の民衆は魔獣一頭でも怖いところに、ゴブリンとかコボルドとかの頭が串刺しされた槍が列になっている前で、好き勝手やったら処罰するよと脅したんだからさすがに大きな事件は起きない。
あと地味に食事に手を入れている。喧嘩をするような奴の食事は俺の指示で塩を減らしているんだ。塩分不足、ミネラル不足は疲れやすくなるが無気力にもなる。その状態で半日歩き続けると喧嘩をする元気もなくなるというわけだな。
うむ、古典も役に立つ。
その日の夜も夕食前の首脳部会議だ。ちなみに将爵はこの会議の後に食事をとる。本人曰くまず兵士が食べてからという事らしい。必然的に俺たちも大体似たようなサイクルになってしまっているがまあそのぐらいはね。
それにしてもこの世界で六十代って平均寿命で考えると前世でいえば八十代ぐらいだと思うんだが元気だなあ。
「とりあえず大きな問題はないようじゃな」
「はい、幸い病気なども発生はしておりません」
正確には発生しそうになっているところで薬草やポーションで先につぶして回っている。結果的にその方が影響は小さいからな。病気が流行してからつぶすのは手間だ。
本来、ポーションはそれなりに高いんだが、わざと不味くしたものを病気っぽい難民に飲ませている。病気が流行するのは困るが贅沢になっても困るし、ということで不味く加工した奴を飲ませているわけだ。良薬口に苦し。ちなみに代金は労働対価。むしろポーションで元気になる分、掃除や後始末に働いてもらう。そのぐらいは覚悟してもらわんとな。
「王都の方は水道橋が八割方完成しておるそうじゃ」
「早いですね」
驚いてるのは俺だけかと思ったら皆驚いている。相当急ピッチで作ってるんだな。まあ前世の大型機械相当に魔法があるんだろうけど。魔法を使った工事は人力と言っていいのかね?
「ハレックを大量に消費しているようじゃよ」
「なるほど。それなら理解できますがまた思い切りましたな」
クレッチマー男爵が重々しく頷く。俺も納得はしたが同時に驚いてもいる。
ハレックって言うのは一言で言えばこの世界でのコンクリートだ。それも水中でも固化するローマンコンクリートに近い。軽いし早く固まるし水も漏らさないということで便利は便利だ。
しかもコンクリより頑丈なんで適当に設置してしまったりすると後が大変になるぐらい。色も白に近い色なので遠目からも映えると建築資材としては申し分がない代物。
ただ、いかんせん量が少ない。ローマンコンクリートはベスビオ火山の火山灰だったが、この世界では
これがまず量を集めるのが大変。人食い兎自体は出現率も高いしどこにでもいるんだが、いくら中型犬サイズの兎でもその歯だけだ。絶対量が少ない。小さいというべきか?
しかもその歯を砕いて焼いてもう一度砂状になるまで砕いて砂に混ぜてと手間もやたらとかかる。そのため建材としては高級品だ。手間がかかりすぎる上肉は食えるんで肉だけ持ち帰ることもあるぐらい。
ちなみに革は兎の癖に固めなんであんまり人気がない。用途として一番使われるのは靴の底だったりする。素材を無駄にしていないと言えばしていないのか。
「王都の冒険者ギルドには素材収集依頼がたくさん出ていそうですね」
「違いない」
皆で笑う。この時は冗談のつもりだったが王都に戻ったら兎肉が値崩れしてたよ。どんだけ狩ったんだか……。
夕食は大体やや塩味の強いスープと麦、麦は麦粥だったりパンと言うかナンみたいに焼いたものだったりするが、まあとにかくそういった類のものと肉。干し肉は焼くかスープの具にするか。あとチーズと多少の干し果物。
野菜類はかなり少ない。村や町で購入する機会があるとなるべく積極的に買う。食料調達も担当する補給部門は割と必死だ。毎日同じものばかりだと士気が下がるからな。
余談ながらキノコは専門家がいない時に採集するのは軍では厳禁。だいぶ前に素人が大丈夫だろうと、自分で採ってきた毒キノコを寸胴に突っ込んだ結果、数十人単位で戦線離脱した事件があったらしい。
ちなみに硬パンと言うか固パンと言うか、ともかくそういうものもある。カビもしないし保存食としては優秀なんだが、はっきり言えば硬くて不味くて食えたもんじゃない。保存性だけを重視しているからだ。最後の最後に食うものだな。
いずれにしても行軍中の食事はお世辞にもおいしいものじゃない。本部では酒も出るがこれだって豊富じゃないし。なので食える魔物を狩るのは兵士たちにとっては重要な仕事と言えなくもない。
本部での食事をご一緒するのはむしろ情報交換の一環が強い。気にくわない相手がいるときはこれはこれで苦痛なんだが、今回はそういう意味ではやりやすいな。
その日は何事もなく ――魔物に遭遇とか小さな喧嘩はもはや事件のうちに入らない―― 一日の最後に本陣での夕食会を終えて自陣に戻る途中、後ろから追いかけてきた伝令兵に呼び止められたときには何事かと思った。
「ツェアフェルト子爵、申し訳ありません、本陣にお戻りください」
「承知した」
総指揮官の指示だから嫌も応もないがそこは言わないのが大人だよな。伝令兵とともに本陣に戻ると天幕前で伝令兵に連れられたフォーグラー伯爵と遭遇した。伯爵も呼ばれたのか。
「お疲れ様です、伯爵」
「ついさっきぶりだが卿もな」
二人して妙な挨拶に顔を見合わせて苦笑してしまった。お互い自分の隊に戻ろうとしているところ呼び戻されたんだからまあこのぐらいは許されるだろう。
とは言え俺だけじゃなくて伯爵も呼び戻されたということは冒険者や傭兵が何かやらかしたというわけではないようだ。
「何でしょうね」
「トライオットの方で何かあったのかもしれんな」
「なるほど」
ありそうな話だ。そう思っていたが本陣の天幕の中に入ってから聞いた話には面食らわざるを得なかった。
この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…
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