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総合評価900pt超え、ブクマ180件超えとどんどん増えているので

嬉しい反面ちょっと狼狽えていたりしますw


少しでも楽しんでいただけるように頑張りますー!

 かがり火があちこちで夜空を焦がす夜営の場で笑いながら食事をとる将兵に目を配りつつ一休み。周りが年上ばっかりで疲れるぜほんと。

 記憶を取り戻してからの貴族教育を受けた年月がなかったらとっくに潰れているだろうな。


 「ヴェルナー卿は働き者ですな」

 「そんなことはありませんよ」


 やっておかないと死ぬからです。はい。死にたくないからと言う理由で何が悪い。

 自分自身も身を守るぐらいの実力が必要だけど俺一人が残っても最後までは生き残れないんだよなあ。ゲームの主人公はチートすぎるわ。


 騎士団は集団戦の訓練継続中。二日間は的を目がけての練習で今日からは王都付近の平地で魔物相手の実践演習だ。安全維持も兼ねているが見ようによっては大規模な魔物狩りだな。

 練習で狩られる魔物には同情しない。っていうかこっちが一〇〇人超えてても向ってくるのはやっぱり異常だろう。商隊が心配になる。

 魔術師隊の面々は徹夜で書き上げた報告書を王都に送ってからも同行している。集団戦と魔術師隊の連携も今後の重要な課題だからだ。単独の騎士と集団戦の支援は全然違うからな。


 夜営も訓練の内と言う事で全体で陣を構築し交互に見張りを立てての外泊が続いている。

 対人、対外国戦の夜営のシステムはまだしも、飛行してくる魔物までいる対魔戦の夜営陣など経験もない。

 それこそかつて魔王と戦った時代のノウハウが残っていればよかったんだろうが、そういうものは大体廃れてしまう。江戸時代の軍学者の書いた本とか見れば一目瞭然。思い付きで書いてるやつ多すぎ。

 今回の演習夜営はそういったリアル部分の検証も兼ねている。


 「やはり空からの襲撃が今のところ問題ですな」

 「柵も大型魔獣相手では役に立たないかもしれません」

 「だからと言って夜営の度に壁を作るわけにもいくまい。そもそも飛行してくる相手には効果がないからの」

 「魔除けの結界を持ち運びする方法を考えないといけませんな」


 実際に夜営して攻める側に立って見てみると穴が多い。万全はありえないだろうが隙だらけだと意味がない。と言うわけで毎夜検証が続く。野営地を変える事で別の問題が見つかる事もあるから馬鹿にできない。

 こういう場では聞き役に徹するだけだといる価値がないとみなされるので時々俺も参加する。

 一番の難問はやっぱり陣営内部に外側から範囲魔法を叩きこまれた時だよなあ。その場合を考えると軍隊を動かすより勇者パーティーのように少人数の方が被害は少なくなるのかもしれない。損害を抑えるという点だけ見れば現実的とさえ言ってもいいからな。成功確率は別にして。

 意外とゲームにも正しいところがあるという事か。


 ゲーム中にも魔法封じの魔法は一応存在する。口には出せないが確かラウラが使うはずだ。ただ目の前に敵のいる戦闘画面中の事なんでこういうフィールドで効果があるのかどうかはわからない。

 仮にあったとしても一晩中効果がある魔法ではないだろう。移動中にランダムモンスターとエンカウントしない魔法もあるがあれもそんな長時間持続するものでもない。

 王城の結界は並の魔物なら入り込めないがその機能は持ち運びできるものではないらしいし。簡易結界の魔道具がもうちょっと使い勝手良ければなあ。


 結局の所現在できる事はかなり限られているとしか言いようがない。そりゃそうだ。剣槍弓馬の中世世界にいきなり手榴弾と機関銃持ってる軍隊が現れたら蹂躙される。

 しかも破壊力が手榴弾並と言う意味であって実際は魔法と言う形だから補給切れを待つこともできない。範囲魔法ずるい。しかも魔物の方が戦い慣れしてる。

 例えて言えば木刀しか持っていない集団の前にフル装備した近代軍隊がいて、しかも軍隊の方が攻撃側って状態だ。普通なら詰んでるよなこれ。攻撃側が舐めプしてるのだけが救いだ。


 結局の所小手先のやり方ではどうにもならん、と言うのが結論にならざるを得ない。魔術師隊や司祭隊の増強などが考えられる数少ない手段だ。後は警戒を厳重にするか。

 小手先以外の方法を何とか考えるか、突拍子もない方法を考えてひっくり返すしかないが……そんな思いを抱きながら会議の場にいると、急に外が騒がしくなった。


 「ご報告いたします」

 「何事か」


 グレルマン子爵が伯爵に代わって応じる。返答はある意味予想通りの代物だった。


 「ヴェリーザ砦の方角で火柱が立ちました。一本は青緑色だったとか……見間違いではないかと問うたのですが」


 それ以上は夜間警戒担当の責任者が何か言う必要は無かった。シャンデール伯爵が立ち上がりながら声を上げたからだ。


 「総員起こせ! 出営用意!」

 「閣下?」

 「王太子殿下から内密にお話があった。ヴェリーザに気を付けよと。ツェアフェルト子爵、卿の部隊が一番数が多い。先鋒を頼みたい」

 「ははっ」


 会議中だった将や騎士たちが顔色を変えて一斉に立ち上がる。始まったか、と言うのが俺の率直な感想。一方で外れなくてよかったと思ってしまうのは小心者の証拠だろうか。

 個人的な感想はひとまず置こう。


 「まずは砦に入らず外で様子を見る。子爵はいたずらに突入はしないように」

 「かしこまりました」


 このやり取りは王太子殿下と打ち合わせ済みの出来レース。とは言え実際無茶な突入なんかしたら収拾がつかなくなることは間違いないからな。

 幹部が一斉に本陣を飛び出していく。もちろん俺もだ。しかしまさか夜の襲撃だったとは。ゲームだと落ちてからしか情報来ないからしょうがないんだけどさ。それでも念のための合図を準備しておいてよかった。


 狼煙になぜ狼の文字がつかわれてるかと言うと狼の糞を使っていたからだし、花火で青緑の光があるのは銅による化学変化だ。化学式とか詳しくは知らん。使えればいいんだ。

 篝火に放り込むだけで合図ができるよう、狼の糞ほか煙が出まくる素材と銅の粉を突っ込んだ素材を作り、それを牛の内臓で作った袋詰めにして湿度対策の乾燥剤までぶち込んでから王太子経由でクナープ侯に渡しておいてもらった。

 この袋をそのまま炎の中に投げ込めば信号になるって寸法。炎自体は魔法使いがいればすぐだから着火手段は考えてない。袋の中の銅粉が篝火に舞い上がったから青緑の火柱に見えたんだろうな。

 そのことは伯爵も殿下から聞いているはずで、だからこそ非常事態を認識したわけだ。


 ちなみに乾燥剤はスライムの核の粉。やたら水分を吸収するんで雨降った後の歩道なんかに撒かれたりする。雪道に撒くと粉が落ちた所だけボコボコへこんでちょっと不気味な光景が見れたり。

 いやそれはどうでもいいか。


 「総員起きろ! ヴェリーザ砦に向かう!」


 さて、脇役なりの戦いを始めますかね。

この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…


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