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日間ファンタジー異世界転生/転移ランキングBEST300に69位!

週間のファンタジー異世界転生/転移にもついに138位ランクインしました!

総合評価も800pt超え、ブクマ170件超え…

ここ数日で投稿直後の半月分ぐらい増えていて、読んでくださっている方は本当にありがたいです。

応援してくださる方が増えているのでその分更新頑張りますよー!

 魔道具や魔法アイロンとかをひとまず片づけ、今度は騎士らしいスタイルに戻っての演習である。

 これからは集団戦の訓練だが、実の所近代戦の訓練の仕方なんぞ知らん。前世自衛隊員でもない会社員の知識なぞたかが知れている。ナントカブートキャンプは違うしな。

 サバゲーオタクの知人がいた記憶があるんで少しは話を聞いておけばよかったと思う。インドア派の俺は屋外ゲームに興味が……あれやっぱり俺引きこもりだったのか?


 なんだか直視したくない記憶に蓋をして漬物石まで乗っけて記憶のマリアナ海溝に沈めてから隊を指導する。と言っても以前同様に五人一組を編成させることからだ。

 本当にこの世界は個人の武芸とかが重視される世界だ。いや騎士ってのはそうなのかもしれんが。弱い騎士って格好つかないのは認める。

 だが魔物相手に一騎打ち挑んでも意味はないんだよ。そもそも向こうは騎士道以前に人間に対する態度が餌扱いなんだよ。格好つけて負けたら親兄弟恋人みんな餌よ。


 「集団で動いて集団で倒せ、と言う事だな」

 「はい。どのみち対人戦と違って人質にもなりませんし」


 実際のところ個人戦ばっかりで集団戦が下火なのはこの問題もあるだろう。騎士の収入源の一つは身代金なのだ。間違っていないぞ。

 国家間紛争では相手の騎士や貴族を捕まえて身代金を請求する。その身代金が騎士、特に土地を持たない騎士にとっては重要な収入になる。山賊とどこが違うやら。殺さないだけましか。


 まあ要するに貴族や騎士は殺すより捕まえた方が金になるんだ。だから集団でタコ殴りにすると殺しちゃう危険性があるんで普通やらない。何とか捕虜にすることを考える。

 実際、捕虜になった騎士の中には身ぐるみはがされて借金まみれになった例さえある。賭博で身を崩す騎士と並んで騎士号を失う二大原因だ。戦死より多い。

 捕虜になっただけなら騎士号は無くならないが、借金返済のために騎士号を売りに出さざるを得ないのが必ず出る。普通の戦いなら。


 「魔軍との戦いでは捕虜にしたところで交渉のやりようもありませんしね」


 実際の所どうなんだろう。ないのか。ないだろうな。あったら苦労はしない。そういえば魔王の目的ってゲームで明かされていたっけか。

 まあそれはこの際どうでもいい。


 「で、的はこれか」

 「攻撃してこないので集団単位で攻撃する事を考えてください。馬を攻撃するのはやめてくださいね」

 「当たり前だろう」


 馬の尻尾に括り付けた紐につながってるのは細い枝を束ねたものだ。太さだけなら人間の胴体ぐらいになってる。これを疾走する馬に引っ張ってもらうわけだ。

 藁束があればよかったんだが無いものはしょうがない。木の枝で我慢してもらおう。それにしても馬の尻尾って結構太いのな。人の腕ぐらいはあるんじゃねこれ。


 ちなみに騎乗してるのは全員うちの伯爵家でこれを俺にやらされてた騎士たちだ。今日はやる側になるのが楽しいらしい。やりすぎなきゃいいけど。


 訓練を受ける軍と相対する形で二〇頭の枝束を括り付けた馬が並ぶ。向こう側から馬に引かれて向かってくる的を突き刺すだけの簡単なお仕事だ。

 うん、嘘です。そう思えるように多少誘導はしたが。


 合図の旗を振ると二〇頭の馬が走り出す。尻尾に括りつけてある枝束が予想以上に砂埃を巻き上げる。あっという間に土埃で向こう側の視界が失われた。


 「意外と目立ちますな」

 「大軍が近づいて来るみたいに見えますね」 


 俺も想像以上の光景に少し驚いている。乾燥地だとこの偽兵は意外と有効なんだな。もしもあの後ろからついてくる兵士がいたら砂埃で目をやられそうだが。

 馬が訓練を受ける側の軍の横を駆け抜ける。的に向かって彼らが動き出し……大混乱になった。


 「危ない!」

 「違う、狙うのはこっちの奴だ!」

 「うわっ」


 後ろから押されて転がるやつ、手当たり次第に武器を振り回そうとして同じ組のメンバーに当ててしまう奴。あーあー、組同士で激突してるのまでいるよ。抜き身の武器でなくてよかったな。

 俺の隣でシャンデール伯爵たちが唖然として見ている。


 「思ったよりも混乱しているな」

 「個人戦に慣れているとああなります」


 集団戦の怖い所だ。どれを狙うのかはきちんと指示を出さないと組のメンバーには伝わらない。

 ところが個人戦に慣れているとつい「あれ」とか「あっち」とかいう聴く者によって勘違いする言い方になってしまう。部下も部下で勝手に動く癖がついていたりするともうだめだ。

 感性で部隊指示はできないんだがそれを理解させるのは実は難しい。自分に自信がある騎士には特に。なので一回しっちゃかめっちゃかになってもらった。

 この世界の騎士は個人戦に偏りすぎだ。これも本来はゲームのせいかね。あとどうでもいいが的役のうちの騎士たちは楽しそうに馬を駆っているなおい。


 ひとまず合図をして馬を止めさせる。翻弄されまくった伯爵の部下を含む皆さんは埃塗れで呆然自失だ。ここまで引っ掻き回されるとは思わなかったのだろう。


 「次はツェアフェルト隊がやり方をお見せいたしますので、的になる馬を交代させて下さい」


 やって見せ、言って聞かせてさせてみせ、ほめてやらねば人は動かじ、だ。ツェアフェルト隊のやり方を見る必要性は理解しただろうからここから集団戦の本格講義だな。

 範囲魔法の無効化と集団戦による戦闘力向上、チートのない身としてはこのぐらいはしておかないと怖くてやってられんのよ。

この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…


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