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日間ファンタジー異世界転生/転移ランキングBEST300で162位ランクインしてましたー
二回目のランクイン、嬉しいです。
ブクマも50件超え、期待してくださっている方がいると思うと頑張れますー!
昼から王城に出仕して王太子や王宮詰めの父と打ち合わせか、冒険者ギルドで打ち合わせか槍の訓練。一応学生のはずがマンガかと自分で突っ込みたくなるような生活を送る羽目になっている。
ゲームなら遠征部隊の担当を決定すればその日のうちに出発できるが、現実にはそうはいかない。準備時間に一週間という時間は短すぎるぐらいだ。
お貴族特権で無理押ししているとしか言いようがない。傍から見ればなぜこんなに急いでいるのかと思うだろうな。
そんな忙しい中で狩育日の夜。
「んじゃまあ面倒なんで自己紹介。ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトだ」
「マゼル・ハルティングです。学生です」
「ルゲンツ・ラーザー。冒険者だな」
「オリヴァー・ゲッケ。傭兵をやっている」
「ビアステッド商会のアヴァンと言います。商隊の責任者を任されました」
「おいらはフェリ。フェリックスだ」
主役級三人と無名三人と言う奇妙な組み合わせだな。フェリの存在にほとんどの人間は妙な顔していたが。
最年長はアヴァンだがそれでもまあ三〇代。学生が二人でフェリにいたっちゃ一〇代前半だ。
伯爵家のメイドさんが淹れた紅茶に全員が満足してくれてるんでよかった。フェリの奴は遠慮なく砂糖ぶち込んでたけど。砂糖は高いんだぞ。
「お集まりいただき感謝、と言いたいところだが忙しいだろうから貴族的な挨拶はすっ飛ばさせてもらう。全員敬語もなしだ」
ぶった切った。と言っても社交辞令に慣れていそうなのはアヴァンぐらいでフェリ辺りは飽きて帰りかねん。ざっくり進める。
「まずマゼルとルゲンツ。先週の古い祠での件を簡単に説明してくれ」
「解った」
俺が商隊編成の下準備をしている日にマゼルとルゲンツは俺の助言を受けて古代の祠に向かって腕試しを行っていたらしい。
それ自体は問題が無かったらしいがルゲンツが異変に気が付き彼らなりに調べていたようだ。
「結論から言えば、道中がおかしい。俺は何度かあのあたりに行ったことがあったが、見たこともない魔物が出没していた」
「先日の魔物暴走の残党かと思ったけどどうもそれとも違うみたいです」
「……商人仲間からも似たような話は聞き及んでいます。見たこともない魔物の目撃例が王都近辺でも起きていると」
アヴァンが口を挟んだ。やはり商人は情報が早いな。フェリとゲッケが何も言わずに紅茶を口に運んでいるが表情は真剣だ。
「どうも予想より面倒な状況になっているみたいだ。アヴァン殿、それにゲッケとフェリ。商隊はかなり危険かもしれない」
半分嘘。予想通り、という表現の方が近い。だからこそあえて問うてみた。ティーカップを置いたゲッケの反応はシンプルである。
「仕事である以上問題は無い。いつもより警戒度を上げて荷を守るだけだ」
ちなみにゲッケが商隊の護衛隊長を引き受けてくれたと聞いたときは結構驚いた。どうも彼も先の魔物暴走で俺を高く評価してくれているらしい。
貴族家との関係があるのは利点欠点両方があるようだが、それを考慮しても今回はこの面倒な仕事を引き受けてくれるとの事。
予想外ではあったが正直俺の方も有難い。あの混戦で隊長級の仕事が出来たという事は統率力に優れている証拠だしな。
ただこの人も元貴族のせいか結構ハンサムなんだよ。何度か思っているがなぜ俺の周りは顔面偏差値がこうも高いのか。
「おいらも構わないよ。周辺警戒が大変になるのと、襲われるかもしれないってことだよな」
フェリがあっさりと言うが俺以外の全員が疑いの目を向ける。そりゃそうか。フェリが有名になるのはこれからだからな。とりあえずそっちはスルーだ。
「俺が言うのも何だが本当に大変だぞ」
「やる」
即答だけして茶菓子をかじりだしやがった。なんだかよくわからんがどうやらやる気になってくれているらしい。なら助かる。
そのやる気というか覚悟を感じ取ったのかゲッケとルゲンツは何も言わなかった。小声で口を開いたのはマゼルだ。
「……ヴェルナー、彼、大丈夫なんだよね」
「ああ。実力は信用していい」
「ヴェルナーがそう言うならいいのかな」
お前も何でそう信じるかねマゼル。変な宗教家に騙されても知らんぞ。それともフェリが後で仲間になる事を本能的に察しているんだろうか。
それはそれとして聞きたい事がある。
「ところでフェリ、ずいぶんやる気になってくれてるみたいだな。助かるけど」
俺が話を振るとフェリが茶菓子を口から離してこっちを見る。真面目な目だ。自然と背筋が伸びた。
「この間、声を掛けさせてもらったときさ」
「ああ、覚えてる」
いきなりだったから驚いたが。
「あの日、院で酷い病気の子がいてさ。でも院には医者に見せる金も薬代もなくて。だから仕事が欲しかったんだ」
……ああ、そういう事か。フェリから声をかけてきた割に気が向いたらとか、途中で意欲を感じなくなったのは。
あの日すぐに必要な金をフェリは必要としていたんだ。長期の仕事は必要じゃなかったんだな。
「けど、あの袋の金貨があったから、その子を医者に診せられたし薬も買えた。助かったんだ」
はっきりと俺と視線を合わせる。この時点だと十三か十四歳のはずなのに意志の強さとかやる気がすげぇ。これが勇者パーティーメンバーの眼力か。
「子爵様には借りがある。だからやる。それだけ」
「よくわかった。だが子爵様はやめてくれ。それと恩に着るのは勝手だが貸しにした気はないぞ」
「ん」
最後のは返事なのか。ともかくやる気は良くわかったしあの時の投資がこんな形で返ってくるとは思わなかったが結果オーライという事にしておこう。
中断していた菓子の咀嚼に戻ったフェリからアヴァンに目を向ける。途中でマゼルが軽くうなずいていたのは理解したのか納得したのか。
「私も大丈夫です」
最後にアヴァンが気合を入れるように頷いた。この中で一番荒事向きではない人なので念のために確認しておく。
「本当に大丈夫か?」
「ええ、危険な時なら仕入れた品は高く売れます」
商売根性だった。商人つええ。
商売目的でモンスターとの危険に命を懸けられるってやっぱすごいなこの世界の住人。感心しつつ話題を次に移すことにする。
この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…
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