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日々評価ポイントやブクマが増えていてうれしいです。

読んでくださる方がいるので頑張りますよー!

 「つくづくヴェルナーって変だよ」

 「変言うな」


 ルゲンツに頼んだのは護衛の為に旅慣れた傭兵や冒険者の中でも口の堅い人の選別。ゲッケさんにも伝えておくという事でまとまった。

 目的を説明するとルゲンツは納得して戻ってくれた。マゼルと協力して行動してほしいと言ったら「マゼルの成長が楽しみだから」とゲームのセリフを聞けたのは面白かったが。

 そしてマゼルから非常に不本意な評価を受けている最中である。


 「そうは言うけど大陸のどこに町があるとか、把握しすぎ。僕なんか地図を見たこともないのに」

 「多分全部は把握していないぞ」


 覚えていないぞ、の方が正しいだろうか。三十年ぐらい前にやったゲームの中身なんか完璧に覚えてないって。

 まあそれでもイベントがあった町の場所とかいい装備の売ってた街の場所とかは大雑把になら把握してる。大体西の方とか北に行って東に行って川渡ってとかそんなレベルだが無いよりましだろう。


 そういえばゲームでは王様のくせに地図もくれないとぼやいた記憶がある。まあ結局攻略本――ネットが無い時代の話だからなあ――とかに頼って済ませたわけだが。

 これがこの世界だと正確な地図は国防のための国家機密になっていると言われて一応納得してしまった。

 とはいえ、無いと困るのでそこは色々記憶を何とか穿り出して大雑把な大陸の地図を作り上げた。俺頑張った。


 この時に気が付いたがゲームで登場しない町も結構多い。いや、逆か。要するにゲームに登場する町は何らかのイベントがある町限定だったようだ。

 ちなみに我が伯爵家の本拠はゲームに登場しなかった。田舎だからかと思ったがイベントが無いだけか。

 そういえばゲーム中で貴族にご挨拶とかなかったし、ゲームに登場した町に領主の館とか貴族の屋敷なんてのは……一か所あったか。隣国だが領主が魔族と入れ替わってた町が。

 そういうイベントのある町以外はゲームでは綺麗にスルーされていた。だからこの地図作る際にはゲームのマップ記憶と今の知識のフル回転で大変疲れた。

 ルゲンツはこの地図だけでも売れるとか言ってたが売らないでくれ。


 「予算はどうするの?」

 「最初は伯爵家の予算が基になるが最終的には国に出させる」

 「出させるって……」


 マゼルが苦笑した。まあ当然か。だが現実的に最後には国に動いてもらわんとどうにもならんのだよな。

 実際父には了承をもらっている。王太子のお声がかりの関係だと言ったからでもあるが。一応大臣と言う事で父も魔王復活の件は知っていたし。

 それに対する対策に関して相談にも乗ってもらっている。


 「こっちはこっちでやる事やっておくからマゼルは自分鍛えておいた方がいいぞ」

 「そうなるんだろうね」


 実際そうなるんだよ。最後には勇者パーティーで魔王倒してもらうしかないんだから。

 言っててなんだが英雄待望論ってのが問題になるのもよくわかる。そう都合よく物事の最も面倒な所を処理してくれる人がいてくれたら楽だよな。

 ある意味で俺の考えもそのダメ人間的思考なのかもしれない。とは言え自分の実力だと付いていくのは無理だ。むしろ確実に足手まとい。となればせめて出来る事をやるしかないからな。


 「南に少し行って川にぶつかったら東へ。その左手の森の中に古い祠があってそこはちょくちょく魔物が出るらしい。腕試しにどうだ?」

 「解った。ルゲンツさんとの息を合わせるのも必要だと思うしね。授業がないときに行くことにするよ」

 「ああ、気を付けてな」


 ゲームでは最序盤の稼ぎポイントなんだよな、古代の祠。ドロップしょぼいけどエンカウント率高くて序盤なりに経験点が美味しい。

 ちなみにこの世界でも一週間は七日だ。曜日の概念は何とかの日で分かれてる。農漁、商売、鍛冶、狩育、芸術、神儀、生誕のそれぞれの日だ。林業はなぜか狩育日に含まれるらしい。

 生誕日が日曜日にあたるが、演奏会開催は芸術日がいいとか結婚式なんかは神儀日に、みたいな縁起担ぎがこの世界にもある。まあそれは余談だ。

 マゼルとルゲンツが実戦経験に励んでる間にこっちもいろいろやっておかないと。




 「ふむ……」


 書面を見ながら王太子が軽く考え込んでいる。流石に王族は生誕日も何もないらしい。

 今現在、畏れ多くも俺は王太子殿下の執務室で殿下と一対一である。王太子の執事とかも同室にいるが話には参加しないので数えない。まあ今回は俺一人で話になるのは仕方がない。胃が痛い。


 「内容は大体理解した。実物を見てから判断するという事で構わないな?」

 「はい。先に了解をいただきたいと思いまして」

 「理由は理解している。良く先に伝えてくれた」


 根回し大事ですから。突然持ち込んでも困ることもあるだろうしな。日本的と言えなくもないのは日本のゲームだからか?


 「しかし本当にそんな質の武器が手に入るのか?」

 「調べた限りでは。ただ数に関しては把握できておりませんが」

 「そこは仕方があるまい」


 時々思っていたんだが、何でRPGで王都がスタートのゲームだと辺境の町とかで王都より高性能の武器や防具を売ってるのか。

 と言うか王都で売ってる武器より桁二つ違う武器とかそんな辺境でどうやって手配してどこに売るのか。そもそも買う人いるのかって疑問が。


 と思っていたら意外な事実を聞いてびっくりである。一言でいえばあれは発掘品というかもっと露骨にいうと墓荒らしの結果なんだそうだ。

 いや遺跡とか迷宮とかある世界だから発掘品を売ること自体は違法ではない。ただ、たまに遺跡とか迷宮クラスではない集合墓が見つかったりするらしい。

 以前、と言うか歴史的に言えば先代の魔王に滅ぼされた古代王国の風習だったのか、兵士とか騎士とかは纏めて巨大な集合墓地に埋められている。しかも装備を着たまま。

 そこを掘り当てると大量の装備が手に入るんだそうだ。軍団単位で同じ装備を身に付けて埋葬されているので品ぞろえは固定されるが高性能な装備でも数が揃えられる。

 その結果、その近くで生活しやすい所に販売用の町や村が自然形成されるらしい。なんてこった。


 装備類は呪われてたりしないのかと思うのだが、例えば迷宮で死んだ冒険者の装備が一々呪われているわけでもないとの事。そりゃそうだというしかない。

 高級品ばかりで生活成り立つのかと思っていたら、あの手の店は前世で言うところの金物屋らしい。普段は包丁や鍋を売ってるんだそうだ。

 ヤカンや鍋と墓から掘り出した金属鎧を一緒のスペースで売るのはどうかと思うが、この世界では普通だということで考えるのをやめた。


 ちなみに道具屋で売ってるレアなアイテム類は墓の副葬品らしい。使うと強制戦闘に入る魔呼びの笛なんかはこれ。何のために作ったんだ古代王国。

 墓から掘り出された笛を吹いたりしていたのかと思うが吹いてたのは俺じゃなくてゲームの中のマゼルか。

 魔力切れじゃなくて――いやそれもあるのかもしれんが――古い笛だから何度か使うと壊れて買いなおすしかなかったのか。納得いくようないかないような。うーむ。


 「わかった。やってみるといい」

 「ありがとうございます」


 王太子殿下から必要な許可を書面でいただく。ないと後でややこしいから。

 さらにもう一つお願いをする。ヴェリーザ砦の改修に関する件だ。王太子殿下の方から改修工事に携わる関係者に狼煙の準備と夜間連絡用の道具も準備してもらう。

 念のためとか万一に備えてと言う事にしてあるが襲撃があるのは確実だからな。時期が不明なだけで。怪しい占い師になるから時期が確定できないことはしゃべらない。


 話を終えると早急にその場を退かせてもらった。前世で社長室に入るときより緊張したわ。当然か。王太子がその気になれば物理的に首飛ぶしな。

この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…


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