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評価とかブクマが増えているのでうれしいです。

続きを書くための燃料になります(感謝)。

 翌日は学園に行ったが早朝から学友やら教師やらに囲まれて大変だった。もちろんマゼルも一緒だ。

 ちなみに先日あのあとは少しラウラ殿下と話をしてから戻る事になった。学園での話を楽しそうに聴いていたのが実に根が御茶目なラウラらしかった。

 後どうでもいいが俺のことをネタにするのやめてくれ。そりゃ貴族の子弟でありながらやらかしたこともあるけどさ。

 とりあえず王家が結婚取り持つとかいう話が出なかったんでそこはほっとしている。


 ただ、昨日は昨日、今日は今日である。戦場に直接参加していた学生はそれほど多くないようだが、親から聞いたとかいうやつは当然多い。

 言ってしまえば平民の星であるマゼルと貴族の出世頭である俺だ。話題には十分だろうし、中には多分親から言われての事だろうがハニトラ仕掛けてくる奴までいる。邪魔だっての。


 「気が休まらないね」

 「全くだ。授業が始まるのがこれほど待ち遠しかったことはない」


 マゼルも俺も朝からへとへとだ。むしろラウラと話してる時の方が楽だったかもしれん。

 なおマゼルにはお茶会のお誘いとかは全部断るように言ってある。薬でも盛られたらシャレにならん。既成事実作ろうとか考えるのもたまにいるからな。貴族の女は油断ならない。

 いや貴族の家が油断ならないというべきか。そういう教育が普通だと思っているんだからな。


 「そういえば、ヴェルナー」

 「何だ?」


 授業中こそこそ。褒められたもんじゃないがこんな時間でもないと話も出来ない。


 「今度知り合いにあってほしいんだ」

 「知り合い?」

 「うん。今回の魔族討伐で協力してくれた人」


 あーあー、はいはい。誰だかは解った。そういえばこの時点での勇者パーティーは二人組だったな。


 「そりゃ構わないが何で俺?」

 「これからの時に力になってくれると思う人だからかな」


 魔王討伐の際のパーティーメンバーだしな。マゼルの判断は正しい。今後魔王討伐に参加するのなら王城窓口となっている俺と顔を繋がせておきたいというのもわかる。

 断る理由が無いな。


 「解った。俺もマゼルに話すことがあるしな」

 「例の件だね」


 まだ魔王復活はシークレットだ。例ので済ますしかないがお互いそれで十分ともいえる。

 やることいっぱいあるからなるべく雑用は早く済ませたいんだが。


 「あ、授業の終鐘だ」

 「よし、逃げるぞ」


 まずは学園生徒から逃げるミッションのスタートである。校庭はさっき使ったし図書室は追いつめられると逃げ場がない。屋上もダメとなると屋内剣技場がいいか。あそこからなら回廊にも抜けられるしな。

 マゼルと素早く打ち合わせて逃亡開始。廊下は走るなと怒られるのが前世を思い出してつい笑ってしまう。同級生は魔物より手強いです。


 結局これから数日は騒動が収まらなかった。仮病でも使えばよかっただろうか。マゼルが一人で困るか。貴族社会の縮図だからな、学園の一部は。




 「ルゲンツだ。よろしく頼む」


 マゼルのあわせたい相手と言うのはやはり予想通りだった。ルゲンツ・ラーザー。ゲームの設定だと二十代半ばだったか。

 町の酒場で向こうはいかにも冒険者風。こっちは学生服じゃないがまあ学生っぽい格好だ。

 お忍び? まあ俺は一応子爵ではあるがお忍びってもんでもない。貴族の自覚なんてものははっきり言ってない。


 それはそれとしてルゲンツだ。マゼルのと言うかゲームの主人公の頼れる兄貴分って感じのキャラなんだよな。イベントでの出番は多くないけど。

 スキル《武器の達人》のおかげで勇者には及ばないが物理攻撃面では相当強い。ただし魔法は全然と言う典型的戦士系だ。

 最初のボスバトルから参戦して最後までパーティーメンバーで居続ける。かわいい女の子じゃないが人気は結構あったような気もする。声が渋いんだよな、この声優さん。


 「ヴェルナーです。よろしく」

 「ほう」


 軽く頭を下げるとルゲンツが驚いた表情を浮かべた。そうそう、こいつはこういうキャラだ。

 マゼルが言ったとおりでしょ、とでも言いそうな表情で笑ってる。


 「ね」

 「確かにマゼルの言うとおりだな。お貴族様なのにお高くない」


 フルネームを名乗らなかったのもその反応を予想してのことだ。貴族の家柄をアピールするのはルゲンツ相手には悪手になる。

 卑屈になりすぎない程度にマゼルの友人として接するのが距離感的には一番いいだろうという判断だ。これで王族のラウラとは不思議と仲がいい……ってラウラの方も王族とは思えんタイプだったな。


 「実の所話は聴いていたが、実際に会ってみるとまた違うな」

 「聴いていた?」

 「仲間からな。ゲッケの奴が槍使いとして見どころがあるって言ってた」


 あー、オリヴァー・ゲッケさんか。あんまり話してなかったが魔物暴走の時は小隊長として頑張ってくれたっけ。父が特別報酬も出したとか言ってたな。

 まさかこんな繋がりがあるとは。いやありえるか。傭兵と冒険者だもんな。


 「で、マゼルが会わせたいってんだから顔合わせをしたが、その顔はそれだけじゃないんだろう?」


 とりあえず酒を注文しつつルゲンツが俺に話を振る。解ってらっしゃる。


 「傭兵とか冒険者は秘密保持も仕事だよな」

 「当然だな」


 俺の問いにルゲンツが何をいまさらと言う口調で応じてジョッキを傾ける。


 「どうやら魔王が復活したらしいんだ」


 あ、むせた。そりゃそうか。


 「冗談にしちゃきついな」

 「それが冗談じゃすまなさそうなんだ」


 俺より先にマゼルが答える。今度はルゲンツがジト目を向けてきた。


 「本当だったらこんなところで言う事か?」


 さすがに多少声を潜めながらそういう。実の所マゼルもそう思っているだろう。だが俺としてはばれるのもどうせ時間の問題だと思ってる。むしろ下準備の時間が欲しい。

 それにこの店はそういう意味では密談に向いている店でもある。周りが大騒ぎしてるからよほど注意深く聞き耳を立てないと隣のテーブルの会話も聞こえないんだ。

 ここの方が貴族が冒険者を一人だけ屋敷に招くよりよほど秘密を守り易い。勇者パーティーメンバーのルゲンツなら口の堅さは十分信用できるしな。


 「大声でいう気もないけど、事実だと判明する前に色々と準備しておきたい。国は国で動いてるだろうけどね」

 「……マゼルの言うとおり、学生には見えねぇな」


 マゼル、何を言った。思わず視線を向けたら思いっきり目をそらしやがった。何か話盛ったなこいつ。


 「んで、何がご希望なんだ」

この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…


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