道具の日常

作者: 星宮 空音

???「よう、消しゴム」


消しゴム「なんだよ、鉛筆」


鉛筆「ちょっと痒いから、掻いてくれない? 」


消しゴム「いいけど、どの辺? 」


鉛筆「尖ったところ」


消しゴム「それ、俺が汚れるだけだろ」


鉛筆「ちぇっ」


消しゴム「まあ、俺は汚れるだけで済むかも知れないが、お前は縮むんじゃね? 」


鉛筆「あ……」


消しゴム「と言うわけで、ケズリンにでも頼んでこい」


鉛筆削り(ケズリン)「呼んだか? 」


鉛筆「呼んでない」


消しゴム「うん、鉛筆君がねー」


鉛筆「やっぱ良いから! 」


消しゴム「鉛筆君はツンデレだからね」


鉛筆「違うから! 違うから! 」


ケズリン「なら、俺のこと嫌いなのか? 」


鉛筆「そうでもないけど……」


消しゴム「やっぱり……ツンデ」


鉛筆「違うから! 」


消しゴム「まあ、鉛筆(男)のツンデレなんて誰得だから、やめとくか」


鉛筆「だから、違うって……」


ケズリン「そろそろ、時間だから元の位置に戻ろう」


消しゴム「そうだね。全く、誰かさんがツンデレなせいで……」


鉛筆「ねえ、それ僕のこと? 僕のことかな? 」


消しゴム「さあね。じゃあ、また」


鉛筆「ちょっと、って……」



丁度、彼等の持ち主が帰ってきた。三人をどこかに連れていく。

彼等の決めたルール『人の前では喋らない』を守る彼等が持ち主に向かって喋ることもない。

それが、彼等〝道具トール〟だから。