幕間
「―――見つからない?」
「手がかりが何も無い状況なので……厳しいでしょうね」
会議室めいて、長大な机と幾つもの椅子が並ぶ空間。
交わされる声は二つ、どちらも静かな女性の声だった。
「件の祝砲が確認されてから一週間ですが、怪しいプレイヤーの影すら浮かばないのが現状です。このまま闇雲に探していても、進歩は望めないかと」
真面目を体現したような、やや硬質な声音が溜息交じりに言う。
「そう」
感情に乏しい、けれども甘く涼やかな声音が落胆交じりに零す。
「そういうわけですから、一旦は捜索を切り上げる旨を伝達しようと思います」
「うん、それでいいと思う」
いつも通りの、無感情な言葉。けれども一方の声の主は、『彼女』が本当は無感情でも無ければ、この件に関して強く興味を示している事も理解している。
なればこそ、
「もし、そうなら」
続く言葉は、想像の通り。
「きっとすぐに、会えるはずだから」
『誰か』を望む孤高の王は、変わらずにその時を待ち続けている。