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第五話 ギルド

本当にすいません

寝てしまっていました

 昨日飲み過ぎたせいで頭がガンガンする。

 こっちの世界にバファリンないんかな。

 そんなことを考えながら、俺はソニアを眺めていた。

 やっぱりかわいいな。

 頬をちょんちょんとすると、尻尾を振っている。


「ふぁぁ」


 間延びしたあくびと共にソニアが起きた。


「おはよう」

「んっんー おはようございます」


 ソニアが辺りを見渡す。


「ここは?」

「宿だよ。昨日酔っぱらってそのまま寝てたから、俺が運んできたんだよ」


 そう言うとソニアの体がだんだん赤くなっていく。

 ソニアの体は白いので、分かりやすいのだ。


「すいません」

「別にいいよ。それよりさ、俺が寝込みを襲ったとか考えないの?」

「そんなことするんですか?」


 ソニアが不思議そうな顔をした。


「そうだな、ごめんごめん、今のは忘れてくれ」

「早く朝食食べに行きましょ! 私お腹ペコペコなんですよ」

「わかったわかった、ちょっと待っててくれ」


 そう言って風呂に入りにいった。


 風呂から上がってから、俺達は食堂に向かった。

 朝食はパンと野菜スープ、サラダだった。

 パンは少し固く、スープに浸けるとちょうどいい固さになった。

 スープは塩味でさっぱりしていた。

 しかし配達技術が発達していないのか、野菜は新鮮さがなく、少し萎れていた。


 朝食を食べ終わって、宿代を払った。

 夕食がついていなかったので、少し安く8000ミルだった。


 ▶▶▶▶▶


 宿をでたあと、ギルドに向かった。

 ギルドは町で2番目に大きい建物で、とても荘厳な雰囲気を醸し出していた。

 1番目は言わずもがな王城だった。

 ギルドは二つに別れていて、冒険者ギルドと商人ギルドだ。

 俺達は冒険者になるので、商人ギルドには入らない。

 入ったところで意味がないからだ。 

 今日は朝が早かったのか、列に並ばずにすんだ。


「今日はどんなご用でしょうか?」

「冒険者登録をしたいんだが」

「はい、登録料として10000ミル必要ですが」


 俺は財布を取り出して、20000ミルを受付の人に渡した。


「確かにいただきました。それでは少々お待ちください」


 そう言って奥の棚をゴソゴソとして、2つのカードらしきものを取り出した。


「これはステータスプレートです。入国するときに聞かれませんでしたか?」


 そういえばこれを持ってるか聞かれたな。


「これを持ってると、自由に入国することが出来るんですよ。そしていつでも解体屋と素材屋を使うことができます」


 ほー便利だな。


「ランクについては知っていますか?」

「いや、知らない」

「この世界のお金は1ミルは青、10ミルは赤、100ミルは緑、1000ミルは白、1万ミルは黒、10万ミルは銀、100万ミルは金、となっています。ランクも下から青、赤、緑、白、黒、銀、金、となっていて依頼などの貢献度によって色が変わっていきます。上にいけばいくほど大きな依頼に行くことができます」


 つまり、上の色になればなるほど待遇が良くなっていくということか。


「では、ステータスプレートを作るために、この針で血を4、5滴垂らしてください」

「なぜそんなにいるんだ?」

「血が多いほど正確になるんですよ」


 へぇーそんなことがあるんだ。


「まずはそちらのお嬢さんから」

「はっ、はい!」


 ソニアが針で指を突いた。


「痛っ」


 血がポタポタと滴っている。

 すると古代文字ヒエログリフのようなものが浮き出てきて、消えていった。

 覗いてみると、そこにはこう書いてあった。


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

 名前:ソニア 16歳 女

 レベル:1

 筋力:1017

 体力:826

 敏速:915

 魔力:2098

 魔力耐性:1954

 物理耐性:951

 スキル:火魔法 風魔法 火耐性 風耐性 魔力感知 魔力操作 

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


「すごい、本当にすごい……」


 受付の人が言葉を失っていた。


「どうしたんだ?」


「……普通の人はステータスがだいたい100ぐらいなんですよ。しかもスキルは持ってないんですよ……」


 じゃあソニアは、めっちゃすごいってことじゃないか。


「ギルドマスターに会ってもらいたいんですが、あいにく今出掛けておりまして…… 帰って来たら、会っていただいても宜しいでしょうか?」

「……えっ? あっ、はい」


 自分のことで困惑しているようだ。

 それはそうだろう。

 突然ギルドマスターに会ってくれ、と言われたら誰だって困惑する。

 それはそうなんだが……


「あのー俺もやっていいですか?」


 そろーっと手をあげて言った。

 思わず敬語になってしまった。


「あっ、すいません。感動のあまり忘れていました」


 俺ってたまに空気になるんだよね。

 悲しいな……


 まぁそんなことはおいといて、俺も受付の人から針をもらう。

 ちくっとした痛みがあった。

 そしてそこからこぼれ落ちた血が、ステータスプレートに落ちる。

 するとやはり古代文字ヒエログリフが浮かび上がり、消えた。

 そこに表示されたものは……


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

 名前:八橋キラ 17歳 男

 レベル:1

 筋力:85

 体力:130

 敏速:96

 魔力:62

 魔力耐性:121

 物理耐性:119

 スキル:生産 錬成

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


 嘘、だろ?

 おい!


 俺は絶望した。

読んでくれてありがとう!

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次は絶対に時間守ります

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