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83話 決着!


僕の一撃を受けた勇義は……。


「あり得ない!僕が負けるなんて!正義は敗れないんだぁ!」


あれだけ、くらってまだあんなに元気があるのか。

しかし、まだ立って来ないところを見るともう立てないのだろう。

これで僕の勝ちか……。

僕の状態異常が切れる直前だったから本当にギリギリの勝負立ったな。

だが、勝ちは勝ちだ。


「いいや。僕の勝ちだよ勇義君…………。」


「まだだ!まだ終われない……。」


勇義がまだなにか言っているが声が段々小さくなっていっている。

僕は背を向けて美樹ちゃんの方に歩きだす。


「お疲れ様。信じてたよ美月君。ありがとう。」


「お疲れ!まさかあの勇義に勝つなんて!しかも炎の精霊とか言う存在の力を借りてたのに勝っちゃうなんて美月凄すぎたよ。」


「あはは。まあ、美樹ちゃんのためにも頑張ったからかな?」


話をしながら美樹ちゃん達の待っている方向に足を進める。

あんまり目立つのは嫌だけど、たまにはこうゆうのもいいかもしれないな。

皆で勝った喜びを分かち合って、尚且つ感謝してもらえるってのは嬉しいものだ。


「まだだ………………[気合]。…………炎よ。」


?なにか、誰かの声が聞こえた気がする。

気のせいか?

一瞬、周りを見回したが、特に変なところはない、勘違いだったんだろう。

もう一度前を見て歩きだそうとすると、目の先にいる美樹ちゃんと沙耶さんが慌てているのが見えた。


「後ろ!危ない!」


咄嗟に後ろを振り向くと同時に声が聞こえた。


「[炎操作(ファイヤムーブ)]。」


目の前に見えるのは大きな火の玉。

後ろには、美樹ちゃんがいる、避けるのは無理そうだ。

かといって僕はこの火の玉を防ぐ術もない。

そのまま僕は茫然としたまま、勇義の炎に包まれた。

そう思ったところで僕の意識はなくなる。



ーーー



「う?!」


「だっ大丈夫!?」


気付いたら目の前には美樹ちゃんの顔がある。

周りを見渡してみるとまださっきのところにいるようだ。

試合は…………どうやら僕の負けみたいだな。


「美月君!左半身の火傷が酷いよ。ねぇ、本当に早く治療しないと。」


自分の左腕を見ると中程度の火傷って感じだな。

正直自分の体なのに痛々しくて見てられないと思うほどだ。


「ちょっと替わってください。私が回復させます。[ハイヒール]。」


今、[ハイヒール]を掛けてくれたのは、急いで駆けつけてきたエミリア王女だ。

ハイヒールの効果で左半身の熱が引いていった感じがする。

しかし、ヒール系の魔法は体力を回復させる効果と自然治癒効果を高めるだけなので火傷そのものが劇的に治ることはない。

だから自分で状態異常の[再生]を掛けておこう。


<[状態異常妄想]再生レベル1付与>


これで徐々に治っていくだろう……。

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