76話 アイスゴーレム
周りではアイスゴーレムのステータスを[鑑定]したクラスメイトが勇義にステータスを伝えている。
勇義は少し驚くがすぐ落ち着きを取り戻すと
「取り敢えず、一番ステータスの高い僕がタンクをするよ。耐久値に自信ある人は僕と一緒に。ほかの皆は側面から攻撃してくれ。」
僕に耐久力は期待できないし攻撃しよう。
「ウオォッ!、 [スラッシュ]!!」
結構いい一撃が入ったように見えたけど…………。
[高位鑑定]で確認しょう。
HP:9885/10000
たった100弱のダメージか。随分時間がかかりそうだな。
「ゴゴォーーーー」
次はアイスゴーレムが仕返しとばかりに攻撃を仕掛けている。
受けるのは当然、勇義。
「くっ!!ぐはっ!」
勇義は力を受け止めきれずに弾き飛ばされてしまったようだ。
流石の勇義でも厳しそうだ。
今までクラスを支えていたリーダーが初めて見せた弱った姿にクラスメイト達に動揺がはしる。
勇義の後ろにいた力自慢のタンクも後退りしている。
「お、おいどうすんだよ!」
「知らねえよ。取り敢えず下がるぞ」
タンクが退いたら前線を支えられずに、後衛隊や遊撃隊が危なくなる。
このままじゃ、このレイドが崩壊する。
取り敢えずゴーレムの気を引いてやらないと![隠密術]を活用しながら背後によって一撃加える
〈[波擊]!〉
僕が今使った[波擊]は対象物を打撃して、特定の振動を起こすことで内部からよく漫画とかであるような技だ。
当然日本にいたころは実現不可能な技だったけど、異世界補正と言ったところなのだろうか?
それはともかく、僕の放った一撃はアイスゴーレムの意識からのゴーレムへの内部破壊攻撃でそれなりにダメージを与えたと思うんだけど…………。
「ゴゴォー!」
アイスゴーレムは僕を殴ってこようとしている。
しかし、ゴブリンの時も思ったけど、リリアさんの動きと比べると遥かに遅い。やはり、リリアさんはこのゴーレムより遥かに格上なんだろう。
取り敢えず、ここは避けよう。
ゴーレムは攻撃を避ける僕に対して、攻撃をさらに加速させる。
しかし、僕は避け続ける。動きは大きいし、攻撃に溜めが有るため、動きを読める。
そして、隙を突き攻撃する。
そうこうしてると1分程で相手のHPを1500位は削った。
「おい……。美月って弱かったはずじゃないのかよ。」
「知らねえよ。相手が弱いだけなんだろ。」
「じゃあ、お前が戦ってこいよ。」
「無理に決まってんだろ。そんくらい見りゃぁ分かる。」
クラスメイト達も今の状況を見て空気が変わっている。あとは、勇義が戻ってくれさえすれば…………。
その時アイスゴーレムが初めて見せる挙動をした。
「ゴゴグォーー。」
溜めの体勢は腕によるパンチの動きをしている。
恐らく[掌打]か[冷撃]辺りのスキルを使おうとしているのだろう。
いくら威力が上がろうとも、当たらなければ問題ない。
アイスゴーレムの拳に氷がつくられている。予想通りアイスゴーレムの[冷撃]の効果によるものだろう。
僕は振り抜かれた拳を避ける。
しかし、その時一つだけ僕の予想外の事態が発生した。
アイスゴーレムの振り抜いた拳に付いていた氷の塊が拳から離れて飛んでいく。
くそ![冷撃]は、遠距離攻撃だったのか!
飛んでいく氷の先には後衛で後ろにいた美樹ちゃんの姿がある
遅くなってすいません