4話 プロローグ4
次の日学校に行くと美樹ちゃんに声を掛けられた。
「おはよう。美月君」
昼休みになると
「何してる?」
放課後は、
「みんなで買い食いしに行こー!」
この一週間いつも話し掛けてくる。放課後遊ぶ予定の彼女の友達も若干困惑してる。
そして今日も
「勉強教えてあげる!分からないんでしょ」
一人で逃げて引きこもりをしていた僕に一年も経ったのに、声を掛けてくれたのは、嬉しいがあまり良くないな。
初日のホームルームが終わり、各自下校している中で噂話に聞き耳たていたが、どうやら美樹ちゃんは、学年のマドンナらしい。
そんな彼女に声を掛けているなど、要らない嫉妬を買うだけだ。
「美樹さん、わざわざそこまでしてくれなくても大丈夫ですよ」
「もー!そんなよそよそしい話し方しないで、昔みたいに美樹ちゃんって呼んで。なんなら夏蓮って呼び捨てでもいいよ。」
「いや!それはさすがに~。」
「いいから早く呼んでよ」
「美樹ちゃん……これでいい?」
「嬉しい。ありがとう。」
めっちゃ可愛い。
めんどくさいことになっても、後悔なんてしないだろう。
ほんのり頬を赤めながら嬉、しそうにしてる姿が見れてすごい癒された。
「ちょっと美樹さん!こんなやつと、話したらダメだよ。ましてや、美樹ちゃんなんて呼ばせるなんて!」
癒された心がストレスで一瞬でだるくなってしまった。
ちょっと前の言葉を前言撤回したくなってきた。
こいつは、勇義
端から見れば美男美女でクラスの中心人物という完璧お似合いカップルに見えるため女の子たちは「美樹ちゃんなら仕方ない」と諦めているが実際は違う。
勇義には、いくつかの、欠点があるのだ。
まず正義感が強いのは、良いことだけど、後のことは、何も考えてない。
僕と同じように男子にイジメられている女の子を守ったことがあるそうだ。
さすがは、高スペックその人望を恐れて男子は、仕返ししなかったようだ。
しかしその怒りの矛先は、さっきまでイジメられていた女の子に向かっていた。
今まで以上のイジメに彼女は、不登校になってしまったらしい。
勇義は、目に見えないところで女の子がどんなことをされているか知らず自分は、正義を執行したと思っている。
空気が読めないというのとは、ちょっと違うかもしれないがニュアンス的には、近いのではないだろうか?
もし、イジメから助けるなら、イジメ側を改心させる必要があったのだ。
彼にとって悪は、改心させるのではなく、倒すものなのだろう。それでは、女の子は守れない。
まあ、勇義の取り巻きにいる女の子(通称:勇義ハーレム)がライバルを増やさないように意図して、その女の子の情報が届かないようにしていたらしいから、少しは同情出来るかもしれない。
しかし、取り巻きの管理をある程度しっかりしていれば、誰か一人くらい、勇義に伝えてくれたはずなのに。
次に勘違いしやすく、一度思い込むとその間違いに気づかないというのがある。むしろ間違いであることの証拠の方が違うのでは?と思うようだ。
その他にも空気が読めない。
自分目立ってないと嫌だなどいろいろある。
ここまで説明すればなんとなく人物像が伝わってくるのではないか?
どうやら今、彼は[美樹ちゃんは、自分のことを好きでその美樹ちゃんにちょっかいを掛けているこの美月とか言うやつは、悪いやつ]と思い込み、[その悪を倒す]という正義を執行したいようだ。
「無理してこんなやつにわざわざ声をかけなくていいんだ。何かされても僕が必ず守るから」
「無理に声かけたりしないよ。それに美月くんは、いい人だよ。」
美樹ちゃんさすがに可哀想だ。
たがその程度の言い方では、勇義の思い込みは正せないというか、さらに思い込みは加速するだけだろう。
「くそっ!あいつに脅されているのか?あいつは、二股して女の子を傷つけてそれで学校に来なかったやつらしいじゃないか?そんなのと関わってると人生台無しにされるよ!」
「美月君は、そんな人じゃない勇義君こそなんでそんなひどいこと言えるの!?」
確かに!本人の前でここまで言うなんて酷すぎやしないだろうか?
「第一きみは、僕のパートナーなんだ。あんなやつと関わらないでくれ」
ついにあまりの勘違いの連続に美樹ちゃんは、怒ってしまった。
「私の話しを聞いて、私が好きな人は、勇義君じゃなくて、み……」
突然床が光った。
円形でアニメとかでよくあるような魔方陣の模様をしている。
美樹ちゃんは、何か言っていたが途中で聞こえなくなってしまった。
これは、学園異能バトル開始の幕開けなのだろうか?まあ、流石にそれはないだろう
ストレスいっぱいな日常がなくなればいいのにと思うと同時に意識が遠くなってしまった。
ついにプロローグ終わった。
作品書くのって難しいね。なろうで書いてくださってる他の作者さん凄すぎです。