63話 食欲の化身
自分のテントを建て終わる頃に二人は戻ってきた。
「もう~。夏蓮鬼過ぎるよ。」
「沙耶ちゃんが悪いんだからね。私は真剣に考えてたのに。」
「ごめんごめん。反省してるよ。もうしないから。」
「あっ!美月君はもうテント建て終わってるのね。私やり方分かんないの。簡易テントってどうやって建てるの?」
そう言われて、建て方を教えながら一緒に作業する。
所々二人が失敗することもあり手間取ったが何とか15分位で完成した。
「美月はこういうのあんまり上手じゃないイメージがあったよ。アウトドアとか得意なの?」
「別に得意という程ではないよ。まあ、小学校の頃とかは結構自然の中で遊ぶことも多かったから普通の男の子より少し経験があるっていうくらいかな。むしろそれより二人がこういうのが得意じゃないことの方がびっくりしたよ。」
「あんまり、こうゆうことする機会もなかったからね。そこは性別の違いってやつじゃないの。」
「そうゆうものなのかな?まあその話はここいらで終わりにして明日に備えて就寝しますか。僕は自分のテントに入ってるから、二人ともおやすみ。」
「「おやすみ。」」
さぁ~て、今日は一段と疲れた1日だったがまだやらないといけないことがあるな。
取り敢えず二人も向こうのテントに入ったみたいだし、テントから出て少し遠くに行こうか。
荷物も邪魔になるかもしれないから武器だけ持って行こう。
テントを出てから3分位歩いてテントの明かりが少し見えているくらいのところまで歩いてきた。
「よし、ここらでいいかな?出ておいで二人とも。」
「ムギュムキュ~」【マスター寂しかった。】
二人とも寂しがっていたようだ。
「よしよし、偉いな二人とも、しっかり[アイテムボックス]の中で待っててくれてあと10日間位は同じ所で待っててもらうけど我慢出来るかい?」
「ムギュムギュムギュ!」【我慢出来る!ラズリも頑張るっていってる。】
まあ、この調子ならなんとかなりそうかな?
さて二人のご飯を出してやるか。
あとどうでも良いけどニキスの声質がまた更に抑揚が無くなっているようなきがするんだが…………。
「ほらご飯だよ。安定の燻製肉と硬いパンしかないけどね。」
燻製肉とパンを[アイテムボックス]から出したら急にラズリの様子がおかしくなった。
「ムギムギムギュッギュ!!」
「どうした?なんかあったのか?」
【マスター、ラズリ曰く今日のご飯からものすごいおいしい匂いがするらしい。だから興奮しているみたい。」
美味しい匂い?
別に何時もと同じ燻製肉の筈なんだけど。
っ!まさかさっき食べたビックゴロンの肉の匂いか!
猫科のニキスも気付かない匂いに気付くなんてラズリの食に対する拘りはとてつもない!
だがもうビックゴロンの肉は食べてしまった。変に期待させておいて、食べたら何時もどうりなんて可哀想だし説明しよう。
「ラズリごめんな。もう魔物肉は食べちゃて今は殻くらいしか残ってないんだ。」
殻を[アイテムボックス]から取り出し見せてやるとラズリが飛び掛かってきて奪い取ってしまった。
ラズリは殻を自分の体内に取り込むと殻は泡を出しながら溶けてなくなってしまった。
「そう言えばラズリはどんなものでも大体はたべれるんだったな。」
「ムギュギュ~~♪」
とてもおいしいかったようで機嫌が良くなっている。
「ごめんね。ニキスの分はないんだ。今度は何か持ってくるようにするよ。」
【いい。ニキスはマスターに会えるだけで幸せだから。】
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