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21話 問題解決の活路

それから一週間、師匠とみっちり格闘を教えてもらった。

師匠と信頼を深めながら楽しくも厳しい訓練をしたお陰でスキルも充実してきた。


ただ魔法関係は全く進展がない。

クラスメイトもそれなりにスキルを覚えていて、そろそろレベルを上げようということらしい。

しかし、魔物と戦う上で[マナ操作]は、かなり重要らしい。

[マナ操作]があると無魔法の[ブースト]により身体強化ができるので、攻撃力が上がり魔物相手にも強い効果があるようだ。

近接戦組の方もとっくに全員覚えているだし。


「リリアさん助けてくださいよ。[マナ操作]が習得できないんです。」


「そんな事を私に言われても私は、魔法は本職ではないですから分かりませんよ。」


「ですよね…………。」


「そ~ですね。う~ん。マナの総量が多いなら減してみてはどうですか?」


「それもそうなんですが、[状態異常妄想]しか、マナを減す方法がないんですよ。麻痺や毒は何かあると危険かもしれないですし、幻覚はもっての他、痛覚麻痺はレベル1しかなく自分に掛ける際はMP3しか、かからなくてMP自動回復の方が早い。睡眠は何度か試してみたんですがあんまりやると頭が痛くなってきたので無理だったんですよ。」


「そこは、MP消費のある魔道具を使えばいいんじゃないですか?」


「え?そんなものあるんですか?」


「あると思いますよ。王城ですし。」


まじか~。そんなのあるんならとっくに問題解決じゃないか!

エミリア王女気付いてくださいよ~!!

まあ、いい早速やってもらいにいこう。


「ありがとうございます。早速エミリア王女に魔道具を貸してもらいにいきます。」


「分かりました。お気をつけてください。」



僕らの宿舎をでると、王城に行く。

途中クラスメイトに声を掛けられる


「おい!能無し君。ちょっと待てよ。」


はぁ~。

声をかけてきたのは、高橋と遠藤の二人だ。

面倒くさい奴にからまれてしまった。


「能無しの分際で調子にのってないか?お前。」


「そうだよな~!俺らが汗流しながら訓練してる時に、メイドさんと話してたり、本読んでんだもんな!」


メイドさんと話してることはおいといて本を読むことは、訓練より大事だと思うけどな。

それに。


「僕だって遊んでたわけじゃないよ。ちゃんと近接戦の練習もしてるよ。」


「あぁ~?お前は[マナ操作]も使えないし、ステータスも俺らの半分で、さらに使えないMP特化、そいつがどうやって近接戦すんだよ。」


「お前日本で空手やってたからって調子のり過ぎ(笑)!お前ごときが何しようと俺らには敵わないって教えてやるよ。」


「[ブースト]。」


「おら!行くぞ。死にたくなければ死ぬ気でガードしろよ!」


高橋のブーストの掛かった拳が僕の顔に飛んでくる。


「!」


なんだこれ?

めっちゃ遅いし、狙いもガバガバだ。

本気でやっているのだろうか?

仮にも異世界で、レベルは同じとはいえ基礎ステータスの物理系統は、倍近い差がある筈なのに。

余裕をもって拳を受けそのまま一本背負いしてやった。


「かはっ!」


「おい!大丈夫か高橋!」


高橋は、今の衝撃で痛いらしく遠藤に支えられながら、宿舎に戻っていった。


「近接訓練真面目にやってんのか?」


聞いた話しによると近接戦担当の指導者はこの国の騎士団長ってきいたんだが、こんなレベルの奴等がいるってことは、たいしたことないのか?

まあ、これでちょっかい掛けてくることは無くなるだろう。

内心は、恨まれているだろうが襲われなければ問題ない。

おっと、そんなことより速く[マナ操作]を習得しなければ。

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