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Ⅱ600.虐遇王女は戻る。


「あの、……~っ……プライド。ティアラ、そろそろ……~」


ジルベールが退室してから三十分。

ジルベールが王配であるアルバートの補佐に戻るのとすれ違いで短い休息時間を与えられたティアラが、プライドの部屋へと合流した。

早速フィリップの特殊能力を詳細に確認を終えたことも含め、妹であるティアラにもこの先の情報共有を行ったステイルとプライドだが、そこから三人は暫く膠着状態に入っていた。

近衛騎士二人も、なんとも言えない表情のまま見守ることしかできない。専属侍女と近衛兵も口を結び、あまり直視しないようにそっとする中でステイル一人だけが肩身を狭くしていた。部屋に入った時には堂々と王族の風格を纏っていた第一王子が今は見る影もない。

唇をぎゅっと絞り、顔の筋肉の部位全てに力を込め誰とも目が合わせられない。自分の傍らに控えている専属従者に助けを求めることもできず寧ろ目を合わせられない。

今すぐ瞬間移動で消えてしまいたいが、理性が死んでもそれを許さない。いっそ空気になりたいと思いながらも、今はただただ心臓の煩さをなんとかすることで精一杯だった。



姉妹二人に両側からしがみ付かれた今は。



「ご、ごめんなさい兄様っ……なんかいろいろびっくりで……」

「~~っ……も、もうちょっと……」

二人分の長ソファーに三人ぎっちり敷き詰まる王族三人は、ステイルを真ん中にして更に一個体のように固まっていた。

合流してから再びことのあらましを説明されたティアラがまず一番にステイルにくっつき、そして妹に触発されたプライドまで反対隣に座りくっつけばもうステイルは動くことができなくなった。左腕をぐるりと巻き付くようにティアラにしがみ付かれたまま寄りかかられ、更に右側からプライドに両手で左側の肩まで回され抱き締められるように捕まればもうどうすることもできない。

しかも二人揃って顔色も白に近い上に、微弱に震えたままである。

両側から姉妹に挟まれたステイルは言葉とは相反して無抵抗だった。ティアラとプライドがここまで動揺するとは思わなかったが、同時にこの状況の原因は嫌というほど理解している。


ジルベールから語られたフィリップの特殊能力の希少さと優秀さ。それを聞けば少し敗北感も覚えたステイルだが、今はそんな気落ちする余裕はない。

可愛い妹が動揺してくれているのは申し訳なさはあってもまだ良い。しかし反対側で自分をがっしりと抱き締めてくるプライドの顔が近すぎる。顔をあくまで正面に向けたまま固まるステイルだが、ここでプライドの方を向けてはいけないと自分に言い聞かす。今も顔を正面に向けているだけで彼女の深紅の髪の感触と、前かがみになった彼女の旋毛が見えるのだから。

肩には服越しではあるが彼女の柔らかな頬の感触まではっきりと伝わってくる。


近い、近い、近すぎる。と心の中で叫ぶが、それを言葉にすることはできない。

何度も息を止めて堪えるが、呼吸をすればそれだけで花のように甘い香りが鼻孔に届き意識をしてしまえば顔から湯気が出そうになる。ティアラと同様プライドも自分のことを想って動揺してくれているのにあまりに不謹慎過ぎる。……と、思うと同時にここまで動揺してくれる二人にどこかで擽ったさとそして胸の動悸が心地良くもなってしまう己を自覚する。口の中を必死に噛み、緩みそうな自分を叱咤した。


「わ、私はっ兄様が兄様で良かったと……兄様が兄様なのが絶対ですからっ」

カタカタと短い爪を震わせ立てるティアラに、頭を撫でてやりたいステイルだが今は両腕まともに動かせない。

ありがとう、と一生懸命言葉にしてくれた妹に微笑むが、やはり前宰相のことは言わない方が良かったかなと今更ながらに反省する。

しかし、ティアラが部屋に入って来た時点で未だ本調子ではなかったプライドへ「お姉様どうなさったのですか?!」と聞かれれば、ステイルも一から説明するしかなかった。


ステイルと同年齢且つ前宰相と同じく希少な特殊能力を持つ青年。

ステイルとフィリップが幼馴染の友人とまでは知らないティアラだが、それでもプライドが動揺を露わにする理由は痛いほどよくわかった。自分すら話を聞いた瞬間にステイルにしがみつかずにはいられなくなったのだから。


別に今更、ステイルとフィリップを入れ替えられるとは誰も思わない。しかし、ほんの少しボタンが掛け違っていればここにステイルはいなかったのかもしれないと一度考えれば、想像力が恐ろしく働いてしまった。

もし当時、急ぎ第一王女の義弟を探す中でフィリップとステイルの存在が同時に判明していた場合、間違いなく選ばれたのはフィリップの方だった。宰相が代替わりした後の最上層部の判断を考えれば、それは誰にでも想像つくことだ。王族だけではなく近衛騎士にも、使用人である専属侍女と近衛兵にも、そして当人である専属従者のフィリップにも。


顔が紅潮を隠しきれないステイルと相反するように、フィリップの顔色はジルベールが退室する前から蒼白だった。

なんとか必死に従者の皮を被り表情こそ整った状態維持しようとするが、膝が正直に笑ったまま自分の意思を聞かない。

従者としてプライド達の前でボロを出さないようにと口を閉じているが、心の中ではもう二十は「うわうわうわうわ」「やばいやばいやばいおちつけ」を繰り返したままだった。

子どもの頃から何度も頭に過りそして苛まれたことではあったが、本当にあの時状況が違えば自分が〝そう〟だったのだという事実が恐ろしくて仕方がない。自分の人生が一転して変わっていた分岐点を目の当たりにしたような気分だった。

今もこうしてステイルにしがみつく王族姉妹を見ると、自分も可愛い可愛い妹に会いたくて堪らなくなる。少なくとも今夜パウエルには会いに行こうと決めた。


未だに衝撃が抜けないティアラとプライド、そして振り返らずとも察せられるフィリップと同じくステイルもまた、自分の状況は正しく再認識している。

今更どう変わるというわけではなくただ単に真実が明らかになっただけの状況だが、それでも思う所がないわけじゃない。フィリップを誘った時に話した言葉通り、自分はもうこの人生を選んでいるし後悔も迷いもないが、自分が知っていた以上に自分とフィリップの人生は近接していたのだと理解する。

まさかあのジルベールが予想を上回る驚愕を露わにしたことも驚きだった。自分の自慢の専属従者の特殊能力に少しでもあっと言わせてやれれば満足だったが、現実はそんな域ではなかった。ジルベールどころか、フィリップの特殊能力を知っていたプライド達まで狼狽させてしまったのだから。


「……ごめんなさいステイル。……ちょっとびっくりしちゃって……」

ぎゅうっ、と一度強く抱きしめ直してからプライドがやっと深く呼吸をした。

まだ表情は硬いが、なんとか話せる程度には心を落ち着けられたプライドはそれでもステイルから手は離さない。衝撃的事実を知ってから一人戸惑いを持て余していたプライドだが、ティアラが第一線を切ってくれたお陰で気付けば衝動のままにステイルにくっついてしまった。

ちゃんと自分とティアラの間にステイルがいることを感触と温もりで確かめきって、やっと落ち着いた。今更事実を知ったからといって何が変わるというわけでもないが、それでも衝撃は自分もティアラも一緒なのだということも安堵した。


フィリップが嫌というわけでは決してない。今こうしてステイルの専属従者として、そして学校では良き兄であるフィリップを知るプライドも彼が好きだとは思う。

ゲーム設定という強制力や運命を考えれば最初からステイルで決まっていたと考えようもあったが、今はそう楽観的には考えられない。

ステイルではなくフィリップが義弟に選ばれていても、きっと良い姉弟に慣れたとは思う。そうすればステイルも母親と離れ離れにならなかった。しかし同時に自分にとっては数少ない女友達であるアムレットから大事な兄を奪っていた。

八歳だった自分にとっては弟の特殊能力が違うか、前世のゲームと一緒が違うか程度だが、今の自分にはそれどころで済まない。


「もしステイルに会えてなかったと思うと、……怖くて」

眉を垂らしながら、はにかもうとして弱弱しく笑うプライドはそう呟きながらなんとか自分の意思で腕を緩めた。

自分でも恥ずかしい理由だなと思いながら指先で誤魔化しに頬を掻いてしまう。

8歳の頃はステイルを母親のところへ逃がそうとも考えたことのある自分だが、今はステイル以外が義弟など考えられない。なんとか話せる程度には落ち着けたが、それでも情けない顔をしている自覚がある為、腕をおろした後も自分からステイルの方を見れなかった。

良い年して子どもみたいな姿見を見られてしまったなと思えば、今こうしてステイルから向けられている視線が感じられるだけで恥ずかしい。せめて妹のティアラよりは早く立て直さないとと、ステイルにしがみつかないように自分の両手首を掴み固くするプライドだがそれでも甘えるように肩はステイルにくっつけ身体を預けたままになった。

今はただ過去の分岐点に対して、気持ちだけが胸に残る。そんなプライドの横顔に



ステイルはとどめを刺された。



ドッドッドッドッ、と動悸音がさっきまでの比ではない。

紅潮程度でなんとか思いとどまっていた顔色が今は茹蛸のように赤かった。心臓の収縮音が姉妹に聞こえるどころか、自分の肩も揺れているのではないかと思う。俄かに口が開いたまま力が入らない。黒縁の眼鏡が完全に曇り、今は殆どプライドの姿も靄がかって見えなくなっていた。


途中までは顔を正面に向けたまま固まっていたステイルだったが、プライドに腕を緩められる名残惜しさと弱弱しい声にうっかり顔を向けてしまった。その直後に「怖くて」など、あまりに大きな爆弾だった。

プライドがまた自責の念に駆られなかったことを安堵する程度で済めば良かったのに、それどころで済まない。

自分が居なかったらということだけでそんな表情をして寂しがってくれるのかと、弱弱しい表情に心臓を止められ直後にはその分激しく暴れ出した。このまま死ぬのではないかと思うほど全身が熱く、そして胸が甘く苦しい。いっそ発作か急病ではないかと自分で自分を頭の隅の隅で疑った。

無意識に自由になった右手で服越しに心臓を鷲掴めば、そのまま足りず爪を立てた。死ぬ、と縫合した感想がそれだった。

プライドが自責の念とは別に自分の不在に戸惑ってくれた事実も、そんな風に弱弱しい姿を見せてくれるのも皮肉にも嬉しくて堪らない。


ガチリ、と固まったまま化石のようになってしまったステイルに、ティアラはしがみついた腕の温度が急激に熱くなったことに気付きながら目だけで見上げる。

完全に眼鏡が曇り真っ赤な顔で固まる兄に、眼鏡を外してあげようかしらとこっそり思う。せっかく自分の姉があんなに可愛いのに見れないのが勿体ないと思う。


そして、ステイルの刺さるような熱の視線にこそ気づいても、自分自身も顔が熱いプライドはまだステイルに顔を向けれないまま気付かない。むしろ視線から逃げるように、自分を手でパタパタと扇ぎながらステイルの背後に控えるフィリップの方へと顔を向けた。


「ごめんなさいフィリップ、失礼な反応をしちゃって。決して貴方のことが嫌いなわけではないしとても好きではあるのよ」

「……いいえ。いいえ、いいえ……!~っ……す、申し訳ありません。俺、わたしッも、……お気持ちは皆様と全面的に一緒ですので謝らないで下さ……~~」

「????あっあの、えふっ、フィリップ……??」

しおらしくしていたプライドの目が、急激に開かれる。

なんとかプライドが言い切るまでは唇を絞って待ったフィリップだが、そこから大分困難だった。言葉に詰まり、片手で口を覆い隠し誤魔化すがそれでも謝罪と共に自分の口で感情を言語化しようとするとうっかり目の奥に込み上げる。

この場で最も失礼な態度になるのが自分だと、誰よりも自覚しながら止まらない。

黙っている間はなんとか飲み込み抑えられたが、口にするとじんわりと言葉と一緒に感情も否が応なくこぼれて来た。


途中から苦しそうなフィリップの声に続いてプライドからの戸惑いの声に、ティアラだけでなくステイルもハッと我に返り顔を上げた。一部始終を目撃していたアーサーとカラムもこれには目を見張る。笑顔のまま表情を作って固まっていたフィリップの目からジュワリと涙が溢れ出していた。


未来の摂政だったかもしれない本人の目の前で、ステイルで良かったと明け透けにしてしまったことに申し訳なさがあったプライドだが、それでも目の前で急に涙を零し出すフィリップには目を疑った。

え?え?えええ??と音を漏らす中、従者としての仮面だけ被りつつ素の感情が前に出てしまったフィリップは隠しようのない号泣だった。

だばー--っと、涙が出てると自分でわかった瞬間に一気に量が増し流れ出すフィリップは整った顔の表情が固まったまま声が出ない。

その瞬間、短く悲鳴を上げたプライド達は席を立つ。フィリップ?!と叫びながら、駆け寄れば王族来たことにフィリップも慌てて目を擦って拭った。まずいまずいと頭では思うがもう自分の意思では止まらない。


「ご、ごめんなさいフィリップ!そんなに傷つけるとは思わなくて!!……あっ!良いのよ?!あの、もし安心の方でも全然っ……」

「ごめんなさいフィリップもきっとびっくりでしたよねっ!私達兄様のことばっかりでつい!!そうですよね!いきなり王族とか言われちゃうとフィリップもちょっぴり怖かったですよね!!!?」

申し訳ありませっ……、と早口でも堪らず両手で眼鏡ごと顔を覆ってしまうフィリップに全力で王女二人が間に挟み励ます。

正面に立ちあがったステイルもこれには雇用主としてどう言うべきか考えながら、最初に「しまった」と思う。

フィリップが泣くのを我慢していたのはよく考えれば簡単に気付けたことだった。もともと感情で泣きやすい上に、自分以上に昔から重く過去を受け止めていた人間だ。

旧友としては「相変わらずそういうことで泣く」と軽い皮肉で紛わせてやりたいが、それはできない。仕事中に泣いてしまう失態を犯しながら心優しい姉妹に慰められる従者を、今は腕を組みながらただ黙認する。ここで自分が中途半端な慰めを行ってもフィリップの涙を誘発させるだけである。


フィリップも、プライド達の反応に傷付いたわけではない。

ただ、仲良しの三人を見つめながら、ステイルで良かったと安堵する姉妹とプライドの「怖い」という言葉に同意だと口にしてしまえば、自分も蘇るように「良かった」と「もしアムレットと離れてたら」の恐怖が同時に沸き上がって来た。

アムレットと離れ離れになるなど考えるだけで辛い。プライド達と同じく、フィリップ本人もまた自分の特殊能力の希少さと凄まじさを知ったのは一緒なのだから。

泣き出す自分に怒るどころか、揃って駆け寄り自分の気持ちを汲んでくれる王女二人に余計涙がダバダバ溢れてくる。優しさが恐ろしく身に染みる。

ぐすぐすと鼻まで啜って背中も肩も丸くなってしまうフィリップに、プライドは無我夢中で抱き締めた。ティアラも自分より小さくなってしまったフィリップの頭をよしよしと撫でる。

王子の従者でありながら、王女二人に慰められるという失態を重ねるフィリップだが、この場で責める気になる者は皆無だった。ステイルと同年の青年が、今はティアラよりも年下に見えてしまう。


「だ、大丈夫よ。ごめんなさいねいきなり色々お願いしたり試したり騒いだりして。ちょっと疲れちゃったわね」

子どもをあやすように言いながら、抱き締めた手でフィリップの背中を繰り返し撫で下ろす。気付けば心の中でのエフロンお兄様から従者フィリップへと変わっていく。自分より年下のフィリップを純粋に年上王女として宥めてしまう。


アムレットに似た小さな手に頭を撫でられ、仮の姿と職場ということも手伝いじわじわと頭が冷えていったフィリップは覆った両手を下ろす。最後にぐいっと服の袖で両目を拭った。

大変失礼致しました。と、言葉遣いはなんとか直したが、なんとも頭が冷えれば今度は別の理由で泣きたくなる。サァーーッと血の気が引いていくのが自分でもわかった。

職場で、城で、しかも王女と騎士の前でやっちまったと思う。


今まで、従者として働いてきた中では個人的な感情は抑えてあくまで別人の従者の皮と仮面でやってきた。こんな風にうっかり泣いたことなんかない。なのに、従者として少しずつ肩の力を自分なりに抜くようにした弊害とあまりにも子どもの頃から気にしていた事が思い切り涙腺に響いてしまった。

フィリップの顔色が変わったことに、正面で様子を観察していたステイルがそこで静かに息を吐く。思ったより早く終わったと頭の中で考えながら、「落ち着いたか?」とゆっくり歩み寄る。


「たとえ天地がひっくり返ろうと、お前には譲らないから安心しろ」

ポン、と。伸ばした手で主人として従者の背を叩く。

フィリップにだけではない、プライドにもティアラにも全員への宣言に近かった。

既に一度は断った恨みのない言葉に、フィリップも「はい」と少し巻き舌気味に返す。ステイルの助け船に乗ろうと背筋を伸ばせば、……そこで少なからずジトリとした眼差しを向けられ出したことに気付く。

恨んでいない、もう今はこの立場に満足していると意志を含んだ言葉に反し、ステイルの眼差しが平温まで冷めている。

ぱちりぱちりと大きくフィリップが瞬きをすれば、プライドとティアラも正直なその視線を追い、ステイルへ真っ直ぐとぶつかった。

顔ごと向けるプライドと首ごと振り返るティアラ、そして真っ直ぐ姿勢を向けるフィリップ三人へ向け、ステイルは眼鏡の黒縁を静かに押さえた。



「……だからそろそろ、()()()()()返してくれないか」



プライドに抱き締められティアラに頭を撫でられたフィリップに。

寧ろ今こそ自分の立ち位置を奪われたような錯覚で、少なからずの面白なさを露わにした。ついさっきまではソファー上で自分がその立場だったのだから。

姉妹二人も、ステイルの言葉とじんわりと遅れて無に帰していく表情に、彼が発言と表面以上に不服で不貞腐れているのだと長年の経験で理解する。

くすり。と、気付けば示し合わせる必要なく姉妹で揃って顔を見合わせて笑ってしまった。ほとんど同時にアーサーもブッとまた噴き出したが、直前に口を押さえて音はなんとか最小限に抑えた。


〝家族〟の言葉にハッと気付き両手をバンザイする形で王女二人から離れるフィリップに、合わせるようにプライドもティアラも手を離し下ろした。

長年の経験からわかるむくれた顔と隠し方に、二人も笑いながらステイルへ歩み寄った。

両手を広げ、二人で抱き締める。瞬間、うっかり自分で自分の首を絞めてしまったことに気付くステイルは顔を紅潮させ唇を結んだ。

その様子にフィリップも、やっと張り詰めた顔の筋肉が緩みだす。


自分の入る隙間がないことを再認識し、無意識に肩が降りた。


活動報告を更新致しました。

是非、確認頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

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