15話『この世界には怪人がいる』
世界中にいるように日本にも怪人が存在する。いや、ライダーとかで出てくるクリーチャーのことではないが、怪人は確かに現代社会にいる。
いつ頃から『怪人』という呼び名が定着したのか諸説あるけれど、江戸中期以降らしい。そのぐらいに出版された草紙本などに『江戸怪人百選』とかそういうのがある。どんだけ怪人が居たんだ。
この場合の怪人とは、異様な奇行・異常な思考をして社会へ迷惑をかけたり、公共の秩序を乱す──それでいて妙に喧嘩やら行動力やらの能力が高い人のことだ。パワー系変態とでも言おうか。まあ、言ってみればプリキュアも怪人に近い。
近頃の研究では昔に妖怪と呼ばれた存在の中には、こういった奇妙な行動を取る怪人が含まれていると言われている。昔から妙な行動を取る奇人は社会に存在していた。そして現代も。ぶっちゃけ、根津パパさんとか怪人に近い。身長2mの筋肉ムキムキマッチョ覆面で裸うろつきしたりして捕まるし。
さてこのオフィスを攻撃してきた女。ヨシ子と名乗った、恐らく二十代の女性である。
他人の建築物を破壊する攻撃性を持つレズビアン。立派な怪人であるように思えた。僕は外に複数設置してある監視カメラの映像をスマホで見ながらそう判断する。
ちなみに怪人判断の基準だと格好もヤバイ。ランナーのようなピッチリタイツの上に、ごっついミリタリーコートを羽織っている。怪人=変態という常識からしても一致した姿だ。
「貴様! それはヘイトスピーチだぞ!」
「何も言ってねえよ」
まだ僕が抱いてやってるレズ後輩から心の声を読んだ文句が来た。
「どうせ先輩のことだから『レズでさえ異常者なのにそれに犯罪者が加わるとか最底辺の存在だな。恐らくレズは全員ああいう性根に違いない』とか思ったんだろう!」
「別にそこまで思ってねえよ!? その失礼な発想が逆にすげえよ!」
「きゃあっ!?」
美月さんの悲鳴。二枚目のガラスが投石で割られ、オフィスの机に飾っていたフィギュアに直撃した。後輩の持ち物である。
「ナギ様ーッ!」
後輩がキャラ名の悲鳴を上げる。鋼鉄の咆哮シリーズのオペレーターのフィギュアとかどこで売ってたんだ。
「フハハハー! 貴様が建物から出ないというのならばひたすら投石してくれるわー!」
外から聞こえる声に僕らは戦慄しつつ話し合った。
「あの女、いい歳してお外で『フハハハー』とか声に出してるぞ……」
「ふっ。考えても見てくれ。石投げて窓ガラス割るぐらい精神性が幼いんだ。それぐらい素でやるだろう」
「ううう、わたしのオフィスがぁ……」
隠れながらさり気なくスマホで検索。レズビアン団体『動くレズとレズビアンの会』。東京を本拠、大阪に支部を置くカルト的同性愛主義団体だ。国際レズビアン・ゲイ協会から除名処分を受けた過激派らしい。なんだろう。全然詳しく関わり合いたくない。
「なんでちゃんとした団体じゃなくてこんなクソみたいなカルト団体に入った挙げ句、異端審問食らってるんだお前は」
「ししし、仕方なかっただろう! だってこの団体入るといろいろ特典あったし! 女の子たち沢山と同じ部屋でお香炊いて……いや! 詳しくは言えないけど!」
違法行為にしか思えない。僕はドン引きした視線を抱いている後輩のつむじあたりに向けた。
「最悪だなこの後輩……見捨てていい?」
「駄目だ! 先輩は絶対私を見捨てたりしてはいけない!」
「それより大丈夫かなあ……三枚目割れた」
「むう……そろそろ警察が駆けつけてくるはずですけれど」
事情はともあれ、美月さんのオフィスを荒らすなど許されざることだ。恐らくやってきた警官に、警棒で一撃。即死ぐらいが妥当な判決だろう。
「っていうかお前出ていってアレを説得できないのか?」
「異端審問官を説得するなど不可能に決まってるだろ! あれは処刑人も同然だ! わた、私がのこのこ出ていって捕まれば石打ちの刑だ……!」
どんな組織だよ……もうね、レズビアン自体には悪くは言わないけれど、その組織に所属してるレズは頭おかしいと思う。まっとうな同性愛者の敵だとも。
ふと少し前に、アメリカにあるゲイ宗教団体が信者を死なせて問題になったことを思い出した。そこの宗教はガチムチの教祖(ボブ・ディランみたいな名前だったと思う)がガチムチの信者に首輪をつけて服従させ、睾丸にシリコンを注入し膨らませるという活動を行っていて、うっかり注入しすぎで信者が陰嚢破裂して死んだらしい。地元の警察は「事件性はなかった」ということで捜査を打ち切った。多分関わり合いたくなかったからだ。
ふと、スマホの画面でヨシ子の近くにパトカーが止まった映像が流れた。指向性マイクも監視カメラについているので音声も聞こえる。
『貴様ァー! これは何事だー!』
『署に連行しろ! 器物損壊の現行犯だ!』
荒々しく止める警察官二人を振り払って、完全にイってる目つきでヨシ子が叫ぶ。
『フハハハー! 黙れ! いいかこの官憲共! 私はレズだ! すなわちLGBT! それを逮捕するということは、日本の国家権力は性的マイノリティに対して違法だと断じて迫害するわけだな!? 少数派への差別! 思想弾圧! ナチス的行動! 全世界の同性愛者を日本警察は敵に回すぞ! 証拠の動画も撮影しているのだぞ!』
『くっ……我ら警察官はそういうのにめっぽう弱い!』
『まるで手出しができん……!』
『応援を呼びに行こう!』
駆けつけた警察官は明らかな怪人相手に後ずさりし、どこかへ走り去っていった。
「何やってんだよポリース!! さっさとそいつを逮捕しろー!」
「出た……うちの団体がよく使う手だ……!」
「最悪だなお前ら!」
「うるさい! ヘイトスピーチ!」
こいつの性格がゴミみたいになっていたのも、その怪しげな組織の影響があるのではないだろうk……いや、そんなことないな。話を聞く限り高校生ぐらいからゴミだし、そもそもマトモな性格してたら入らないだろう。普通。
それにしても警察もちゃんと逮捕とかして欲しい。僕の父さんとか警察官だけど、バンバン逮捕しまくるものだから誤認逮捕多すぎで懲戒とか訴訟とか受けたこともあるぐらいだというのに。別ベクトルで駄目な人だとは思う。
逃げた二人の顔は撮影しているので後で公安委員会にでも垂れ込もう。
『日本には思想の自由があり、私が道徳的優位にある思想のもとで建物や異端者に石を投げつけてもそれは自由! さあ出てこい異端者め! レズ失格の焼印を押してやる!』
「もう駄目だぁ……おしまいだぁ……」
「良いだろ別に! アレな組織に認められなくても!」
「焼印っていうか焼きごてだから痛そうだし……」
「もしもし警備会社の人!? 早く必殺部隊とか派遣してくれないかな!?」
美月さんも警備会社に連絡をしているが、再び窓が突き破られ今度は僕らが隠れているソファーに石が突き刺さった。投石用に削り上げた楕円形の殺意あふれる石だ。オフィスに飾ってるフルプレートアーマーを着ていても当たれば無事では済まないだろう。
……ん? そういえばあの鎧、しまむらに返品に行くのすっかり忘れてるな……
『警告はここまでだ! これ以上出てこないようならばこの羽根が触れただけで爆発するヨウ化窒素の塊を投げ込んでやるぞ!!』
「そんなもん持ち歩くなよあいつ……」
「ううっ! このままでは美月さんのオフィスが……私が出ていくしかないのか……!」
「だ、大丈夫だよ汝鳥ちゃん! 今警備会社に連絡したら、既に手のつけられないぐらい獰猛な警備員を向かわしてるっていうから……もうちょっと時間を稼げば!」
「時間を……そうだ!」
後輩は何やら懐から布と写真を取り出した。
「これは美月さんの写真とパンツだが……これをセットで外に投げて気を逸らす!」
「ちょっと待てクソ後輩!? なんでそんなもん持ち歩いてんだお前も!?」
「汝鳥ちゃん!!」
「今は緊急事態なのです! 議論は後にしましょう!」
いや。
緊急事態になってから拝借するならまだしも、普段からパクって持ち歩いてただろそれ。
「たぁー!」
まるでブルセラショップで売ってる写真付き下着のようにクリップで写真を添付し、丸めた下着を割れた窓から外に投げた! 勢いのある掛け声でパンツ投げるのが凄いバカっぽい。
建物に投石してくる暴徒に対して、パンツを投げ返すオフィス。
一体僕らはなんで戦っているのだろう。パンツで? いやそういうことじゃなくて。
外の様子は監視カメラの映像でわかる。世の中の大抵の場所は僕のスマホか改造されたipadで見れるようになっている。大統領のオフィスも。九段下の飲み屋も。
レズ後輩も美月さんも僕のスマホに注目して怪人の様子を見る。
パサりと怪人の眼の前に落ちた布切れ。美月さんの写真。女性用下着。
女は拾った。
そして食べた。
『食べたー!?』
思わず僕と美月さんは同時に叫んだ。
「み、美月さんのクソダサパンツがァー!」
「成次くん! クソダサは余計だよ!?」
「やはりな……レズなら食べると思っていたよ私は」
「繊維質豊富すぎだろ」
※レズは落ちている女性用下着を食べる。
ヘイトスピーチ問題になりそうな情報だ。
「よし、これで石打ちに合う前にあいつに一矢報いる方法が思いつきました」
「いや汝鳥ちゃんもう警備員の人来るから」
「先輩! 靴下脱いで!」
「は、はあ!? なんで!?」
「いいから!」
「っていうか今抱きつき中な上にスマホ持ってるから手が使えない」
「使えない先輩!」
「うるせえ」
言うと、後輩は自分の余ってる手で僕のスニーカーを脱がせて、靴下を引っ張った。
イタタタ、無理な体勢で脱ごうとするから足の関節が……
すぽっと片足分脱げる。そして後輩は指先でつまんで持ちつつ嫌そうな顔をした。
「うっ……キモチワル。臭っ。クサクサ先輩」
「脱がせといてそれかよ! 腹立つな!」
「スンスン」
「お願いだから臭い嗅がないで美月さん!!」
しかしそれをどうするんだ?
疑問に思っていると後輩は懐から、美月さんのおみ足が見える感じの、ソファーに座っている写真を取り出した。いくらでも持ってるのか。
それをクリップで止めると……
「うわ」
僕は嫌な想像をした。靴下のサイズが大きいことが違和感だが、写真を添付するとまるで僕の脱ぎたて靴下が美月さんの靴下のように見える!
「そぉい!」
そしてまた外に放り投げた!
監視カメラの映像で怪人は再び投げ出された靴下を拾い上げて……
食ったァーッ!!
「ふへはははは!! ざまあみろォ! 男靴下食った! 男靴下食った!」
おじいさんを騙して婆汁を食わせたカチカチ山のタヌキみたいに、後輩は嗜虐的に笑った。
「これであいつの魂は汚れた! 体内にまで汚染物質を取り入れたあいつが心の平穏を手に入れることは無い! あとはこれをどのタイミングで教えるのが一番効果的かだー!」
「汚染物質……」
「せ、成次くん落ち込まないで? その、足の臭い物質は老若男女違いはないって話だし……」
なにやらフォローしてくれる美月さん。だけど僕の足裏と美月さんの足裏では、ガンジス川の水と富士山バナジウム天然水ぐらい違うだろう。いくら主成分が同じ水分だからといって。
それにしても後輩の悪辣さには苦情のメールが来そうなぐらいだ。自分もレズなのでレズが嫌がる方法を的確に行っている。しかも取り返しのつかないことを。アメリカ軍がイスラム教徒相手に、豚骨粉を練り込んだ銃弾を作ったりするがごとく。
『貢物で時間稼ぎはここまでだ! 建物ごと爆破してやる! あと写真の女性紹介してください!』
「くっ……限界か……!」
「時間が稼げてたのが意味不明だけど……ん?」
オフィス周辺のカメラは結構多く設置されている。根津パパさんが娘の防犯対策にそうしたのだけど、その一つに映されている映像。
長い髪の毛を揺らしながら低い姿勢で疾走してくる警備員の服を着た……鮫島さんの姿があった。
『さあいざ爆──』
『いただきまぁぁぁぁす!』
『はァー!?』
「あっ」
「あっ」
「あっ」
怪人ヨシ子は羽根が触れただけで爆発するような爆弾を掲げて、その腕に鮫島さんは噛み付いた。
がしゅっと尖った歯が食い込み、そしてそのショックで爆弾が手から離れる。当然ながら鮫島さんは先制攻撃をいきなりかましたわけで、爆弾の危険性に気づいていない。
地面に落下。
閃光。爆発音。オフィスのガラスが全部割れる音。
「……」
「……」
「……と、とにかく犯人と警備の人ー!」
自宅がヤバイというのに最初に立ち直った美月さんがスリッパを履いて外へ向かう。
敵がまだ悪意を持っていたら危険なので僕も後輩を小脇に抱えて追いかけるのだが……
外は煙が晴れると、若干焦げた鮫島さんが伸びており……怪人は忽然と姿を消していた。
考察するようにレズ後輩はメガネを正しながら言う。
「やはりな……爆弾を取り出したあたりで思ったけど、あのレズが着ていた頑丈そうなコートは投石用の石を入れておくだけじゃなくて、対爆スーツの役割もあったようだ……それで爆発に紛れて逃げたようだな」
「なんなの。レズ業界では爆破に耐えるスーツが必要なの?」
「ふっ……どうやら知らないようだな先輩は。百合ビッグバンを」
「百合ビッグバン!?」
「創世記ではエデンの里でイヴとリリスが百合ってたと言われている」
「夫のアダムは!?」
「どうでもいいよ。アダムはサブと一緒に隔離されてたんでしょ」
「アダムとサブ!?」
「そんなことより、病院だよぅ!」
はっ。そうだ。レズ後輩と意味不明なやり取りをしている場合ではない。
僕は急いで救急車を呼んだ。その間、応急処置としてレズ後輩が鮫島さんの服を手慣れたように脱がせ、美月さんが火傷箇所を冷やすようの濡れタオルや軟膏を持ってきていた。
救急車が到着して救急隊員が載せようとする。
「こちらの担架に……うわっ! 出血が酷いぞこれは……!」
「いえそれこいつの鼻血なんで」
レズ後輩が鮫島さんを脱がしたらボタボタ鼻血を出していたのを勘違いされた。
*****
幸いなことに鮫島さんは、ごく軽度の火傷と打撲程度の怪我で済んだようだ。爆発の瞬間にどうにかこうにか防御姿勢を取っていたらしい。
爆音と衝撃波で気絶していたけれど、病院で意識が回復したらケロッとしていて安心させた。
それでも検査入院することになったけれど。
美月さんのオフィスは警備の人たちが業務外だというのに割れたガラスなどを手早く掃除してくれて、ガラス業者は明日にでも来るのでとりあえず今日は雨戸を閉めて対処することに。諸々のことがあって、午後からは仕事にはならなかった。
「それにしてもあのレズ処刑人め! 美月さんのオフィスを狙うとは! 許しがたいです!」
「うーん……困ったなあ。どうにかしないと汝鳥ちゃんも危ないし……」
「そうですね。とりあえず対処しましょう」
「どうやって?」
美月さんが小首を傾げる。
「監視カメラの映像から顔を撮影して、顔認証プログラムで東京中の監視カメラに映ったあの女の姿を捜索、或いはウェブ上に残る記録やSNS、『動くレズとレズビアンの会』のHPなども捜索。これまでの逮捕歴などもAIに調べさせまして、住所氏名ぐらいは割り出せました」
「うわ先輩なにその検索能力キッショ」
「キッショくねえよ! そんぐらいできるわ!」
僕が作ったAIがだけど。実際のところ、人間が人力で調べるより機械に任せた方が頼りになる。犯罪者を追うのにも莫大なデータがあるので大変なのだ。
例えばロサンゼルス市警はロサンゼルス市全体のとてつもないビッグデータをスーパーコンピューターで管理することで単純な窃盗の犯罪率を26%低下させた実績がある。それと似たようなものだ。
あのレズタイツコート投石爆破怪人の名は吉原ヨシ子(21歳)。板橋区に住んでいるようだ。っていうか板橋にある帝京大の学生だ。なにをトチ狂ってこんなことに。
まあしかし、大学生というのは石を投げたり爆発物を投げたりするのが似合っている立場ではある。
「そ、それでどうするの?」
「そいつの家にピザを死ぬほど送りつけてやりましょう!」
「駄目だよ汝鳥ちゃん! その人はともかく、ピザ屋さんが払えないってなると困るよ!」
心優しい美月さん……!
「じゃあここはスワッティングしてみましょうか」
「すわってぃんぐ? ってなに?」
「それはですね美月すわぁぁぁん! レズ仲間同士で自分のパートナーを交換してネチョってみるかな? みたいな試みですよ! 大抵イザコザのもとに」
「スワッピングだろそれ!」
なんでレズ仲間を交換しないといかんのだ!
「スワッティングってのはアメリカのネットゲームなどで使われる嫌がらせですよ。簡単に言うと、住所を割り出した相手の自宅をSWATに通報します。『その住所では過激派テロリストが立て籠もっていて今にも爆弾を爆破させそうだ』とでも緊張感たっぷりに」
「ど、どうなるの?」
「いやーこれが。なんと本気になったSWATにテロリスト扱いで即射殺された事件になりまして」
「ひどっ!?」
「まあ日本なのでそこまで酷いことにはならないと思いますが……」
言ってみれば悪戯通報の、過激版か。僕はipadを操作して通報フォームへと向かう。
警察も常日頃から犯罪の情報を求めているのだけれど、もちろん寄せられる通報にはイタズラレベルやデマ、誤情報なども多く含まれている。
しかしながら一般的な通報フォームとは違い、確度の高い『檀家』と呼ばれる情報提供者からの通報では信用度が違う。
別に僕が檀家なわけじゃないけれど情報提供者からの通報だと誤認させるようにアクセスを経由させ、緊急性の高い通報として警察を動かすことができる。東京の警官は誰もが無能なわけではなくて、変態や怪人に対する必殺部隊みたいな人たちも居る。
なるべく危険を煽るような、いかに逼迫した事態であの女がテロを起こしかねないとばかりに通報内容を綴った。しかしながらオフィスに投石してきて爆発物まで所持してるので、大げさな通報ではないのでは?
「通報っと」
さてこれでどうなるかな?
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夜のニュースにて、板橋区で大学生が逮捕されたことが報道された。
自宅からは危険な爆発物が大量に発見され、昨今の爆発物郵送事件とも関連されて取り調べを受ける見込みだという。
まあ……三ヨウ化窒素なんて自宅にあったらそりゃ大事だよねマジ。
「だが……レズ業界からの刺客があれで終わりとは思えない……第二第三の刺客がやってくるだろう……」
「もうお前差し出していいか?」
「駄目だ! 先輩は私を守ることを人生の目標としないと!」
なんでやねん。でも美月さんが握りこぶしを作って、「気をつけて行こうね成次くん!」って意気込んでいるので、僕はため息と共に脇腹に抱きついている後輩の頭をチョップして憂さを晴らした。
「いたっ! 軽めのDVだ! 訴訟だ!」
「成次くんはおばちゃんにも平等にDVをするべきだねぃ」
「なんで!?」
江戸の怪人……いったい誰たちなんだ……!
ちなみに参考までにヒロイン図
https://twitter.com/sadakareyama/status/1086755015249735680