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防御特化と初交流。

ランキング入ってて変な笑いが出た。


所持金を千ゴールドから三千ゴールドに修正

「今日も来ちゃったなぁ…」

これで三日連続ログインである。理沙に付き合うなどと言って始めたもののどっぷりとはまってしまった。

新しいスキルが手に入った時の達成感と防御力を上げる達成感が病み付きになってついついハードに電源を入れてしまうのだ。

当の理沙はというと勉強するように親に言われてプレイ出来ないとのことだった。


「ふふふー…私一人で楽しんじゃうもんね」

そうやって今日も歩き出そうとした楓だったが周りを見渡してふとあることを思った。


「私…まだ初期装備のままだ!」

装飾の一切施されていない盾に弱々しい短刀

である。周りの人を見ると上級プレイヤーらしき人もチラホラいて、そういう人は装飾のついた格好良い装備を身にまとっている。

しばらくそういう人をキョロキョロと見渡していると、少し離れた所に格好良い大盾を装備している男性を見つけた。

楓はとてとてとその男性に近づくと声をかける。


「あのーそういう格好良い盾は何処で手に入れれば良いんですか?」


「ん?え?お、俺?」

男性は急に話しかけられて驚いているようだった。


「はい!その大盾格好良いですよね!」


「あ、ああ。それはどうも…これは、オーダーメイドだよ。生産職の人にお金を払って作って貰うんだよ」


「むむむ…成る程…」


「そうだな…紹介してあげようか?同じ大盾装備のよしみでね」


「っ!ぜひお願いします!」


「それじゃあついてきて」

これが詐欺である可能性も確かに存在するのだが、楓は既に大盾のことしか考えていなかったためそんな考えにはこれっぽっちも至らなかった。

楓にとって幸運だったのはこの男性が本当に唯の親切な男性だったことだろう。

というのも。


「マジか…まさか話しかけてくるとは……後で掲示板に書こう」

そう、この男性はとある掲示板の名無しの大盾使いだったのだ。







しばらく歩いた所で一軒の店に入る。

中には女の人が一人カウンター越しに作業をしていた。


「あら、いらっしゃいクロム。どうしたの?まだ盾のメンテには早いはずだけど?」


「ああ、ちょっと大盾装備の新入りを見つけてな…衝動的に連れてきた」

そう言ったクロムの後ろから、楓が姿を見せる。


「あら、可愛い子ね……クロム、衝動的にこの子を連れて来たの?通報した方がいいかしら?」

そう言って、店主の女性が青いパネルを空中に浮かべる。


「ち、ちょっと待てよ!それは、何ていうか言葉の綾だって!」


「ふふっ…分かってるわよ。冗談冗談」


「はー…心臓に悪いから止めてくれ」

クロムはそう言ってホッと息を吐く。


「あなたも怪しい人にそんなに簡単についていっちゃ駄目よ?」


「あぅ…分かりました」


「俺は怪しくねーよっ!?」


「ふふっ、まあ、お話はこれくらいにして、それで本題は?」


「この子が格好良い大盾が欲しいっていうから顔見せだけでもさせておこうと思ってな」


「成る程ね。私の名前はイズ。見ての通り生産職で、その中でも鍛冶を専門にしてるわ。調合とかも出来るけどね」


「へぇー…凄いんですね!あ、えっと私はメイプルって言います!」

ゲームの中で初めての交流だったので緊張したものの楓は無事噛まずに名前を伝えることが出来た。


「メイプルちゃんね。大盾を選んだのは何でかしら?」


「えっと…あの痛いのは嫌だったので、防御力を上げようと思ったんです」


「んー…成る程成る程。じゃあVIT特化装備が良さそうね…でも……予算、ないでしょ」

楓は予算を確認する。まだ何も買っていなかったため所持金は初期値の3000Gである。


「さ、三千ゴールドで足りますか?」

楓は駄目元で聞いてみる。


「ふふっ…それじゃあ足りないわね。最低でも百万ゴールドくらいはいるわ」

今の楓には目の眩むような金額である。


「うぐぐ……しばらくオシャレはお預けだなぁ」


「他にはダンジョンに潜るなんてのもあるわよ?ダンジョンにはお宝がいっぱいあるの。お金を貯めるのも兼ねて、一度行ってみたら?まあ、強力な大盾があるかは分からないけどね」

それからクロムとイズにフレンド登録して貰って何時でも連絡が取れるようになった。

親切な二人にぺこりと頭を下げて店を出る。

楓は取り敢えず現状の目標をお金を貯めることとダンジョンへと向かうことの二つに決めた。


「格好良い装備が欲しいよぉ!」










241名前:名無しの大盾使い

大盾の少女に遭遇したというかフレンド登録したw



242名前:名無しの槍使い

は?



243名前:名無しの弓使い

どうやって?



244名前:名無しの大盾使い

ログインしてきた時にめっちゃキョロキョロしてて一瞬目が合ったと思ったら走ってきて話しかけられたw



245名前:名無しの大剣使い

大盾少女コミュ力たけーなおい



246名前:名無しの魔法使い

>244

んでその後は?



247名前:名無しの大盾使い

格好良い大盾って言われて

俺が生産職の人紹介するからついてこいっていったら後ろついてきた

AGI低すぎて俺についてくるのもしんどそうだったな途中何度か止まってあげたし



248名前:名無しの槍使い

>247

お前のAGIいくつよ



249名前:名無しの大盾使い

まあ待て今まとめる

いくぞ


名前はメイプル

パーティーは組んでいない

大盾を選んだ理由は攻撃を受けて痛いのは嫌だから防御力を上げたかったとのこと

超素直で活発系少女


総評

めっちゃ良い子


あー見守ってあげてー

後お前らとはメイプルちゃんに関する情報を交換していきたいと思ってるから俺の情報晒すわ

取り敢えず俺はクロムって名前でやってる

んでAGIは20な

お前らとはフレンド登録しときてーから明日これる奴は22時頃に広場の噴水前に来てくれると嬉しい。



250名前:名無しの槍使い

情報サンクスっていうかお前クロムかよ!

バリッバリのトッププレイヤーじゃねーか!



251名前:名無しの魔法使い

有名人過ぎてビビったわw



252名前:名無しの弓使い

よっしゃその時間行けるわw

つーかAGI20に置いていかれるとかメイプルちゃん本当にVIT極振りかもしれん



253名前:名無しの大剣使い

じゃあこれからもメイプルちゃんを暖かく見守っていく方向でいいかなー?



254名前:名無しの槍使い

いいともー!



255名前:名無しの弓使い

いいともー!



256名前:名無しの魔法使い

いいともー!



257名前:名無しの大盾使い

いいともー!




もちろんこの掲示板のことを楓が知るはずもないのであった。







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