前へ次へ
61/547

防御特化と新要素。

ごめんなさい。

ちょっと遅れました。


感想を元にギルドマスターの所とお金の所に描写を追加しました。


メイプルが三日ぶりにログインして広場でサリーを待つ。

しばらく待っているとサリーがやってきた。


「ごめん、待った?」


「ううん、そんなに待ってないよ。今日はどうする?」


「うーん…そうだなぁ。メイプルはこの三日間のことをどれくらい知ってる?」


「え?…全く知らないよ?ゲームから離れるようにしたから」

メイプルはここ三日間でこのゲーム内で何があったのかを知らない。

ログインはしなかった上に、ゲームの情報すらシャットアウトしていた。


「じゃあ、一つずつ説明していくよ」


「うん、お願いします」


「まず一つ目は大盾のスキルが新しく追加された。貫通攻撃に対抗するスキルだったよ」


「おお!」

メイプルとしてはとても嬉しいことだった。

サリー曰く、取得方法も運営によって知らされているとのことだ。

スキルはメイプルが後で見ておくことにして、サリーが続きを話す。


「それでこれが重要なんだけど…メイプルのいないうちにイベントっていうか…新要素?とにかくそれが追加された」


「新要素?」



「【光虫】っていう金色の虫がフィールドのどこかに出るようになったんだよ」

サリー曰く、様々な種類の虫がフィールドに現れ、それを倒すと【光虫の証】を確定でドロップするとのことだ。


「その証は何に使うの?」


「新要素【ギルドホーム】を買うのに必要なんだよ」


「ギルド…ホーム?」


「この町ってさ、入れない建物がいっぱいあるよね」


「うん」

メイプルが周りを見回すだけでそれらしきものがいくつも見える。

この広い町のほとんどは入れない建物だった。

NPCの店や、プレイヤーがNPCにお金を払うことにより借りている鍛冶屋などを除けば全てこれにあたる。


「証一つにつきあれを一つ買える。虫の種類によって買える【ギルドホーム】のランクも違うんだよ」


「ふむふむなるほど」

サリーが【ギルドホーム】の良さとしてステータスアップの恩恵があることを話し、その後に【光虫】の数について話し始める。


「【光虫】の数には限りがあって…建物の数しかいない」


「ええ!?」


「運営は少しずつ建物の数を増やしていくつもりらしいけどね」

しかしそれは今の【光虫】の数を増やすことには繋がらない。

つまりメイプルは乗り遅れたのだ。


「じ、じゃあ急いで探しにいこう!」

メイプルとしては【ギルドホーム】というものを体験したかった。

今回証を取得出来なければ、次はいつになるか分からない。

ここでいつまでも話している訳にはいかなかった。


「メイプル」


「な、何?」

サリーがさっと青い画面を操作してインベントリからアイテムを取り出す。


「もう取ってある。メイプルが欲しがると思ってね」


「お…おおお!ありがとう!」


「ただ…これは【ギルドホーム】を買う権利を手に入れられるだけで、買うためにはお金も必要なんだ」


「それ…どれくらい?」


「五百万ゴールド」


「ごっ…!?え?」

メイプルは所持金を確認する。

メイプルはお金を必要としたことが少なく、貯めようとも思わなかった。

そのため、メイプルの所持金は五万ゴールドと少ししかなかった。


「じゃあ…今日はお金を稼ぎにいこうよ!早く【ギルドホーム】欲しいし」

そうしてメイプルが町の外へと歩き出そうとする。


「メイプル」


「な、何?」

サリーがステータス画面を出しつつメイプルに近づく。

その一部をちょんちょんと指差し、メイプルに見せる。

サリーの所持金の欄には五が一つにゼロが六つ。


「既に用意してあるんだなぁこれが」


「す、凄いよ!サリー凄い!」


「ふふふ…もっと褒めたまえー」

これだけの金額を稼いだのは裏技でもなんでもなく、ただただ三日間全力でドロップアイテムを集めて売るのを繰り返しただけである。


しばらくメイプルに褒め讃えられた後でサリーは話し出す。

サリーはメイプルに購入出来る家の方に向かおうと言い、メイプルもそれに賛成する。

場所を知っているサリーの後をついていくようにしてメイプルも歩き出した。


「お金、また今度返すね?」


「うーん…別にいいよ?そんなに必要としてないし。どうしても何か返したいなら私に合った装備品とかがいいかな?」


「分かった、探してみる!」


「いつでもいいからね」







町の端近くまで歩いた所でサリーが足を止める。

中心の広場やNPCの店などを利用するには不便だろう。


「この辺りかな」


「結構歩いたね」


「私が手に入れた証はランクが低いからね…もっといいランクの証なら町の中心の【ギルドホーム】が買えるんだけど」


「手に入れてくれただけで十分十分!」

メイプルは【ギルドホーム】の大きさなど気にしていなかった。

メイプルの性格、思考からすればそう思うのは普通だった。



メイプルはしばらく歩いているうちに一つの【ギルドホーム】を見つけた。


「ここ…いいかも」

人通りの無い道の奥。

ひっそりと存在する【ギルドホーム】は隠れ家的雰囲気をかもし出していた。


「確かに、メイプルが好きそう」


「ここでいい?」


「うん、いいんじゃないかな」

そう言うとサリーは【光虫の証】を取り出して扉に押し付けた。


白い輝きが路地を埋め尽くし、扉がゆっくりと開いた。

二人は中に入っていく。



「おー…結構広いね」

ぱっと内装を確認したところ落ち着いた色合いの木製の家具が中心だった。

部屋の奥には青いパネルが壁に嵌め込まれておりそこに情報を入力することでギルドメンバーを登録出来た。

サリーがメイプルにギルドマスターを譲ったためメイプルがギルドマスターである。

サリーは今回は止めておくと言ってギルドマスターを辞退したのだ。


「これでも最下級だけどね。ギルドメンバーは…五十人まで登録出来るね」


「二階もあるけど…そんなに入る?」


「まあ、限界値だから快適ではないかもしれないね…誰か誘ってみる?急がないと皆他のギルドに入っちゃうよ?」


「……カスミとカナデに聞いてみようか!」


「そう言うと思った。いいと思うよ」

メイプルは二人にメッセージを送る。

数分後に二人から返事がくる。

幸い二人ともまだギルドに所属していなかった。

そして、メイプルの誘いに快く乗ってくれたのだ。


「やった!サリー!ちょっと広場まで行ってくる!」


「いってらっしゃい」

メイプルは扉を勢いよく開けて駆け出していった。








メイプルが広場に着く。

二人は中心にある噴水の縁に座っていたが、メイプルに気づくとそれぞれ近づいてきた。

カナデとカスミが自己紹介をし合った所でメイプルが話し出す。


「二人ともありがとう!嬉しいよ」


「僕も誘ってくれて嬉しいよ」


「ああ、ありがとうな」

それぞれお礼を言い合って歩き始めようとした。

その時。


「ん?あれは…」

メイプルがじっとその人物を見ていると向こうもそれに気付いたようで近づいてきた。


「お、イベント振りだな」


「クロムさん!久しぶりです」

その人物とはクロムだった。

メイプルとしては雪山の頂上で会ったきりだった。


「メイプルはイベントはどうだった?俺達の後で雪山のあれ入ったんだろ?」

あれとはもちろん怪鳥の住処のことである。


「強かったですよー!なんとか勝てましたけど」

クロムとしてはメイプルが倒したのだと予想していたが、実際に本人の口から聞いたことで改めて驚愕した。

そう、【あれ】を倒したのかと。


「その強さならギルドにも入り放題だろうな、まぁ…条件をつけている所もあるが…」


「ギルド……そうだ!良かったらクロムさんも私のギルドに入りませんか?まだ予定がなければですけど」

クロムは第二回イベントでパーティーを組んでいたため、メイプルは無理だと思っていた。

そのためメッセージも送らなかったのだが、せっかく会えたのだから取り敢えず話してみようと思ったのだ。


「いいのか?メイプルがいいなら喜んで入るが…」

クロム曰く、前回イベントのパーティーはその時限りのものだったとのことだ。

つまり 今の所はクロムはフリーである。


それならばとメイプルはクロムも連れて四人で【ギルドホーム】へと向かった。






「ただいまー!」


「おかえり、あれ?クロムさんも連れてきたんだね」


「偶然会って、入ってくれるって!」


「じゃあ全員登録しちゃおう」

新たに入ってきた三人がそれぞれ部屋の奥にある青いパネルに入力を済ませていく。


「そういえば…ギルドの名前を決めないとね」


「メイプルが決めてよ、ギルドマスターだし」


「私もそれがいいと思うぞ」


「そうだな、俺も賛成だ」

四人から言われてメイプルが考える。

しばらくしてメイプルがパネルに名前を入力した。


【楓の木】


メイプルが名付けたこのギルドは少人数のギルドとして活動していく。


そして後に【人外魔境】や【魔界】などと呼ばれたりするようになるが、それはまだまだ先のことである。








このギルドのシステム。

リアルマネーとか動きそうですよね。

そこは気にしないで下さい。

お願いします。お願いします。

前へ次へ目次