防御特化とメンテナンス。
賛否両論あるかと思いますが。
この話を投稿します。
マンネリ化防止のためです。
ステータスに関する部分にのみかなりの感想を頂きました。
それに伴い、大規模な修正を行いました。
修正ミス発覚によりさらに修正します。
さらに修正。
感想を元に痛覚についてさらに修正。
「あうぅ…」
新しく二層の町を拠点として活動を始めた楓と理沙だったが、楓は暗い顔で唸っていた。
「うーん…私もまさかイベントの二週間前にメンテが来るとは思わなかった。しかも…」
そう、二人はメンテナンスが終わると早速ログインしたのだが……そのメンテナンス内容を見て愕然としたのだ。
主に楓が。
メンテナンス内容は一部スキルの弱体化とフィールドモンスターのAI強化。
対象となるスキルの名称はゲームの仕様上明かされてはいないため所持している者しか分からない。
そしてさらに残り一つ変わったことがある。
それは。
防御力貫通攻撃スキルの実装と、それに伴い痛みの軽減。
スキルは一つの武器につき三種から五種あり
威力もそこそこ確保出来るものだ。
問題はスキルの方だ。
「うぐぐ…」
「まあ…目立ち過ぎればよくあることかな」
理沙がドンマイドンマイと肩を叩く。
楓に関係する調整は主に二つ。
しかし、理沙が言うには遠回しなのも考えれば三つ全てとのことだ。
まずスキル修正では【悪食】が修正された。
【悪食】の修正後の能力は一日十回の回数制限が付き、吸収出来るMPが二倍になるというものだ。
常時発動は変わらないため十回攻撃を大盾で受けた後は、闇夜ノ写は唯の大盾になってしまう。吸収できるMPが二倍になっているためある程度の魔力タンクにはなるだろうが弱体化しているのは間違いない。
次に、AI強化はモンスターが回り込んで攻撃してくるようになったり、場合により逃走する様になるというものだ。
これは楓の再発防止だろうと理沙は楓に話した。どういう意味か分からないという様子の楓に理沙が詳しく説明する。
「だって…AIを強化すればメイプルの根本となる【絶対防御】が白兎っていう抜け道を使って取れなくなるでしょ?AIを強化した白兎が一時間も突進してこないだろうし…運営もあの取り方は予想外だったんじゃない?」
このメンテナンスで楓というイレギュラーの発生は防止されたが、理沙曰く流石に楓の今の性能を完全に殺してしまうピンポイントなメンテナンスは出来ないだろうとのことだった。
「例えば…【絶対防御】を消去するとか。そう言うのは無いと思う。
多分だけど…上位プレイヤーの持ってる様な強力なスキルは幾つか弱体化を受けてると思う。その一つがメイプルの【悪食】だったっていうわけ」
「んー…まあ仕方ないとも思うよ。【悪食】すっごい強かったもん。でも…あの修正がなぁ…」
楓の言いたいことを察した理沙が続きを話していく。
「これでメイプルもダメージを受ける様になっちゃったもんね……あの調整はメイプル対策だろうなぁ」
「うぐぐぐぐ…」
メイプルの耐久性が明らかに常軌を逸していたため運営側も苦肉の策としてこの修正を実装せざるを得なかったのだ。
「まあ、貫通攻撃はよくあるスキルだし、今までが少な過ぎたかな」
そう理沙が言うと楓は両手を合わせて申し訳なさそうに話し出した。
「あー…ごめんね!無敵じゃなくなっちゃった…これじゃあ無敵パーティーになれないし…せっかく回避盾になってもらったのに」
そう言って楓が理沙に謝る。二人のパーティーの理想は二人ともノーダメージというものだった。これではそれが出来ない。
「それは仕方ないよ。それに、ダメージは受ける様になったけど…絶対ノーダメージじゃなくなっただけだし……ダメージエフェクトが出る分削っても削っても死なない!ってなって無敵感が強調されるし。不敵に笑っていれば格好良いままだよ!」
楓は相手がダメージを与えられていることを唯一の希望にして、必死に攻撃してくるのをふふふと笑いつつ受け止めて、相手が疲労しきった所で倒す所を想像した。
「おー……確かにいいかも…」
「黒い笑みがこぼれてるよ?」
「わわっ!い、今のなし!なしで!」
そう言って手をぶんぶん振る。理沙は微笑みつつ話を続ける。
「んー…でもそうなるとHPも上げないといけないか。貫通で削られちゃうとまずいし………痛いのは平気?」
「まあ…どうしても無理、ではないかな?現実よりは全然痛くないし…しかも、痛みが軽減されたみたいだし」
「PSを磨いて出来るだけ防ぐのと……回復系のスキルと装備、MPとHP系統もいるかな?」
それさえあれば結局のところ無敵のようなものだろうと理沙は言う。
「装備品とか集めるの手伝ってあげる!あとはスキルも良さそうなのを探してみるね」
「い、いいの?」
「私が誘ったゲームなんだからメイプルと一緒に楽しむためならそれくらいするよ?っていうか今から一緒に行かない?」
「ありがとう!」
「まぁ私も手伝って欲しい時があるから…」
「うん!その時は頑張るね!」
楓は満面の笑みで答える。
「それじゃあ…まずはHPを上げるスキルを取得しに行こうか。それが一番大事そうだしね。私も幾つか知ってるし、それからだね。イベントも近いし急ごう!」
「おー!」
二人はフィールドに飛び出していった。
新たなスキルを手に入れて、楓の弱点をカバーして、第二回イベントでも好成績を残すために。
今出来ることをするのである。