防御特化とイベント開始。
最後のステータスチェックの為に青色のパネルを出す。
メイプル
Lv20
HP 40/40
MP 12/12
【STR 0】
【VIT 160〈+66〉】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭 【空欄】
体 【黒薔薇ノ鎧】
右手 【新月:毒竜】
左手【闇夜ノ写:悪食】
足 【黒薔薇ノ鎧】
靴 【黒薔薇ノ鎧】
装飾品 【フォレストクインビーの指輪】
【空欄】
【空欄】
スキル
【絶対防御】【大物喰らい】【毒竜喰らい】【爆弾喰らい】【瞑想】【挑発】【極悪非道】【大盾の心得Ⅳ】【体捌き】【攻撃逸らし】【シールドアタック】
「よし!準備万端。ダメージ受けないといいなぁ…」
ダメージを受けた回数が少な過ぎてまだダメージを受ける感覚に慣れていないのだ。
それに、対人戦は初めてのことである。緊張してしまうのも無理は無いだろう。
暫く最初の広場で待っていると参加者が続々と集まってきた。
さらに空中には巨大スクリーンが浮かんでいる。あれで面白いプレイヤーを中継するのである。それは、生産職の人や参加しなかった人が主に見ることになる。
「それでは、第一回イベント!バトルロワイヤルを開始します!」
あっちこっちからうおおおおおといった怒号が響く。楓も少し恥ずかしそうにしながら手を突き上げて叫んでおいた。
そこで大音量でアナウンスが流れる。
「それでは、もう一度改めてルールを説明します!制限時間は三時間。ステージは新たに作られたイベント専用マップです!
倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出し、順位を出します!さらに上位十名には記念品が贈られます!頑張って下さい!」
そう言い終わるとスクリーンに転移までのカウントダウンが表示され、ゼロになった瞬間楓は光に包まれて転移した。
「ん…ここは?」
楓は眩しくなくなっていることに気付きゆっくりと目を開ける。
どうやら崩れかけた廃墟の中心の広場にいるようである。
周りにはパッと見渡した分には誰もいない。
「どうせ動いても誰にも追いつけないし…ここで待ってようっと!」
楓は大きめの石レンガの上に座ると、他のプレイヤーが襲撃してくるのを待つ。
暫く地面に棒で絵を描きながら待っているとあっちこっちからがさがさと音が聞こえてきた。
「来たかな!」
そう思って顔を上げるともう既に振りかぶった剣が当たる距離にまで詰め寄られていた。
「貰った!」
以前の楓なら受けられなかっただろうが、今の楓は【大盾の心得Ⅳ】を持っているのだ。体が以前よりスムーズに動いて大盾が剣を受け止めて。
飲み込み、消し飛ばした。
「は?う、うわああああっ!」
襲撃してきた男は盾に剣を弾かれなかったために、そのまま盾に剣を持っていた手から順に突っ込んでいってその半身を飲み込まれて粒子となって消えた。メインウェポンを失った今、彼はもう戦線復帰出来ず、観戦者になることだろう。
そして、その命は綺麗な赤い結晶となって盾の装飾として浮かび上がる。
「続きを描こっと!」
そうしてまた楓は隙だらけの姿を見せて地面に絵を描き始める。
そう、楽しそうに絵を描く楓は本当に隙だらけなのだ。それは狙ってやっている訳では無いが、結果として今度は三人で構成されたパーティーを釣り上げた。
パーティーを組むことは反則では無い。パーティーメンバーの一人を十位以内に入れようと結束しているのだろう。
剣士の男性が駆けてくる。何の工夫も無い直線のダッシュだ。それでも【AGI 0】の楓からすればかなりの速度である。
しかし、十メートルの距離を詰めるのと楓が新月の納刀音を鳴らすのでは速さが違いすぎた。
「【パラライズシャウト】」
キンッと小気味いい音がなって三人のプレイヤーがばたりと倒れる。
そして盾の赤い結晶がパリンという音と共に砕ける。楓は大盾を持って立ち上がる。
「むふー…私の勝ちだね!」
今回はメインウェポンを破損させないように頭だけを大盾に付ける。その瞬間、剣士のプレイヤーは光の粒子となって消えた。
同じ様にして他の二人も倒してしまう。
三個の結晶が新たに大盾に浮かび上がる。
「大盾って…思ってたより強い!」
これで不遇だなんてありえないという風に頷いてもう一度定位置に戻った。
そんな化け物じみた大盾使いはお前だけだと
いう人は、この場に誰一人としていなかったのである。
黒薔薇ノ鎧は全身鎧のため、装備枠足と靴にも黒薔薇ノ鎧を適応させました。